
医師は結婚相手として好条件といわれていますが、残念ながら離婚を考える方もいらっしゃるでしょう。医師との離婚は、財産分与や親権等でトラブルになるケースがあります。
この記事では、医師との離婚を考えている方に向けて、生じうる問題や準備すべきことについて解説します。
目次
医師と離婚する際に生じる問題は?
医師と離婚する際に生じる可能性がある問題点は、以下の3つです。
2分の1ルールで財産分与ができない可能性がある
財産分与をする際に、2分の1ルールを適用できない可能性があります。
財産分与の2分の1ルールとは、婚姻期間に夫婦で築いた財産を離婚時に2分の1ずつ分けることです。これは、財産を築けたのは、夫婦が寄与した割合が等しいからとの考え方が基になっています。
ただし、夫婦の一方の特別な資格や能力によって高額の財産を築けた場合は、例外的に2分の1ルール適用を修正されることがあります。
医師は一般的に入学が難しいとされる医学部で6年間学び、国家試験に合格しなければ得られない特別な資格です。こうした事情から例外が認められるケースがあります。
例えば、病院を経営している医師の夫に対して、専業主婦の妻が約3億円の共有財産の半分となる1億5千万円を請求した裁判で、財産分与の割合を6対4とした事例があります(平成26年3月13日大阪高裁判決)。
裁判所は、財産分与は2分の1ルールが基本となるものの、医師になるまでの本人の努力、医師になってから高額の収入を得るまでの労力を考えると6対4が適当と判断しました。
この判例でもわかるとおり、医師と離婚をする際の財産分与では2分の1ルールが適用されない可能性があります。
相手が親権獲得を主張してくる可能性がある
医師である相手側が、親権獲得を主張してくる可能性があります。
代々医師の家系で跡取り問題を抱えている家庭もあり、双方が親権を主張して話し合いが難航する可能性があります。
親権を決めるにあたって最も重視されるのは、婚姻期間中に子どもの監護をどちらが主に担っていたかという点です。つまり、将来病院を継ぐ跡取りという理由だけで、親権獲得は主張できず、双方がどれだけ子どもの監護に関わってきたかを証明しなければいけません。
例えば、夫が医師で妻が専業主婦の場合、一般的に医師は激務であることから、夫は子どもの養育に携わる時間がそれほどなかった可能性が高いので、妻が有利になるケースが考えられます。
夫が医師で自身も医師であったり仕事を持っていたりする場合は、どちらが主に子どもの監護を行ってきたかがキーポイントとなります。
従業員や理事としての地位を手放さざるを得ない可能性がある
相手の病院に従業員として雇用されている場合や、役員(理事等)に就任している場合は、離婚に際して、その地位を手放さざるを得ない可能性があります。
例えば、夫が病院を経営し、従業員として妻が雇用されるケースはよくみられます。この場合、離婚は解雇の理由に当たらないので、夫側は離婚のみを原因に妻を解雇できません。しかし、現実問題として、離婚後に元夫が経営する病院に引き続き勤務したいと望む人は少ないでしょう。感情的な視点から、話し合いで雇用関係を合意解約せざるを得ないケースがあるかもしれません。
夫が経営する病院で、妻が役員(理事等)に就任している場合、その地位を失う可能性もあります。役員(理事等)などは、委任契約に基づくため、離婚前後に任期が経過し、再任されなければ役員としての地位を失うからです。
このように、医師と離婚すれば、医師の配偶者という立場だからこそ得られた社会的地位を手放す可能性があります。
医師と離婚する際にやっておくべきことは?
医師と離婚する際に、事前にやっておくべきことは、以下の3つです。
医師特有の財産の価値を事前に調査する
医師特有の財産の価値を事前に調査しましょう。
例えば、夫が医療法人を設立して病院を経営している場合、設立時に妻が出資金を出していれば、払い戻しができるかどうかを確認しましょう。
医療法人とは、病院、医師もしくは歯科医師が常時勤務する診療所または介護老人保健施設の開設を目的として医療法の規定に基づき設立される法人で、出資持分がある法人とない法人に分けられます。2007年4月の改正で出資持分がある医療法人は新たに設立できなくなりましたが、それ以前に設立された医療法人は、経過措置で存続しています。
出資持分がある法人の場合、定款で社員資格を喪失した者は、その出資額に応じて払戻しを請求できると定めているケースが多いです。出資持分があるのなら、払い戻しができるかどうか、事前に医療法人の定款を調べておきましょう。
子の監護に尽くした実績をまとめておく
子の監護に尽くした実績をまとめましょう。
お互いに親権を主張して譲らない場合、調停・裁判になる可能性があります。子の親権は、子の監護にどの程度携わっていたかが重要なポイントです。
婚姻期間中に、どれだけ子の面倒を見てきたかまとめておくとよいでしょう。育児日記などをつけている場合は、活用できる可能性がありますので、準備しましょう。
従業員や理事としての問題も同時に解決できるよう備える
相手が経営する病院の従業員や理事の場合、問題が生じないように備えましょう。
離婚後に相手の病院で引き続き働くことを望まない方も多いと思いますが、退職するにしろ理事を退任するにしろ、ご自身に不利益が生じないように、納得がいくまで夫婦間で話し合いましょう。
医師との離婚を考えた場合は弁護士に相談・依頼を!
医師との離婚を考えた場合は、早い段階で弁護士に相談・依頼をおすすめします。
これまでに述べたように、医師と離婚をする際には、医師だからこそ生じる問題があります。財産分与、親権問題をはじめとして、養育費、場合によっては慰謝料の問題も発生するでしょう。
相手が所有している財産や、経営している病院について、ご自身ですべて調査するのは困難です。弁護士であれば、法的な視点でアドバイスができますし、代理人として相手と交渉が可能です。
後悔しない離婚をするために、ぜひ離婚案件を多数手掛けている弁護士に相談・依頼をしましょう。
まとめ
今回の記事で、医師との離婚は、通常の離婚と比べて特殊な点が多いことがおわかりいただけたと思います。後悔しない離婚をするには、弁護士のサポートが不可欠ですので、ぜひ早めにご相談ください。
ネクスパート法律事務所には、離婚案件に強い弁護士が在籍しています。初回相談は30分無料ですので、お気軽にお問合せください。


