夫婦のどちらか一方が離婚を希望していても、相手が拒否しているために離婚できないことがあります。離婚するには夫婦双方の合意が必要なため、離婚したければ相手を説得するしかありません。

しかし、早く離婚したい人にとっては、離婚してくれない夫や妻と結婚生活を続けるのは精神的に苦痛になるかもしれません。ここでは、離婚してくれない夫や妻の心理について、離婚するために相手を説得する方法をご紹介します。

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離婚してくれない配偶者の心理や理由

なぜ離婚を拒むのでしょうか。考えられる理由を見ていきましょう。

まだ愛情がある

離婚を拒むのは配偶者に対して愛情があって離婚をしたがらないこともあります。愛情がある相手から離婚を切り出されたら拒否されるのは自然なことです。

一度は愛し合った仲だからこそ、今は離婚をしたがっているけどいずれ元の関係に戻るのではないかと期待している可能性もあります。

意地やプライド、世間体のため

例えば不倫した側から離婚を申し出た場合、離婚を言い渡された側は「自分と別れて不倫相手と幸せになるのが許せない」として離婚を拒むことがあります。たとえ配偶者に対して愛情がなくても意地を張って離婚したがらない人も少なくありません。

また、離婚すれば親戚や周囲の人に離婚の事実が知られることとなります。「あの夫婦は離婚したという噂が流れるのは嫌」と、世間体を気にして離婚を嫌がるケースもあります。

子どものことを考えて離婚を避けたい

「親が2人いた方が子どもの成長には良い」「子どもが父母のことを大好きだから、離してしまうのは可哀想」など、子どものことを考えて離婚しない人は少なくありません。

また、離婚する夫婦に子がいる場合、日本では妻が親権者になることがほとんどです。親権者になれなかった夫側が、離婚後に子どもと離れて暮らすのが嫌で離婚はしないと主張するかもしれません。

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経済的な理由

とくに妻側は、経済的な理由で離婚を拒否することがあります。専業主婦やパートで働く女性にとって、家計を支えている夫の収入が途絶えてしまったら、生活が成り立たなくなります。たとえ夫婦関係が冷え切っていても、妻側は金銭的に苦しくなることを想定して離婚を避けようとするのです。

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離婚してくれない夫・妻を説得するには

では、離婚してくれない夫や妻を説得するためにはどのような方法があるでしょうか。

第三者を入れて話し合う

夫婦間で離婚の話し合いをしても平行線に終わってしまうという時、第三者からのアドバイスを受けながら話し合いを進めてみましょう。当事者ではない第三者が加われば、客観的なアドバイスや意見が聞けるので、妥協点を見つけられるかもしれません。

離婚の原因となった証拠を用意する

配偶者が離婚の原因を作った「有責配偶者」であれば、離婚を拒否していたとしても最終的に裁判で離婚が原則認められます。裁判で離婚を認めてもらうためには、離婚の原因となったことを証明できる客観的な証拠が必要となります。

例えば、不倫の場合はホテルに出入りしている時の映像や画像、DVなら負傷した箇所の画像や医師の診断書などが証拠になります。また、裁判でなくても、こういった証拠を相手に提示することで離婚を認めざる得ない状況になることもあるでしょう。

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相手に配慮した離婚条件を提示する

相手が離婚を拒否する理由を考え、それに応じた離婚条件を提示してみます。例えば、相手が経済的な不安を抱えて離婚を拒否している場合は財産分与で少し多めに譲ったり、慰謝料を相場以上の金額で提示したりして離婚に応じてもらえないか交渉するのです。

また、離婚後に子どもに会えなくなるのを心配しているのであれば、定期的に面会交流を行うことを約束し、相手の希望する面会交流のルールを受け入れるなど譲歩の姿勢を見せてもいいかもしれません。

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夫・妻が離婚してくれないときの対処法

配偶者が離婚してくれないけど、自分はどうしても離婚したい。そんなときにできることをご紹介します。

別居をする

離婚する夫婦の多くは別居から始まり、そこから離婚に向けて話し合いや手続きを進めていきます。仮に別居期間が長期に渡れば、離婚裁判になったときに夫婦関係が破綻していると判断され、離婚請求が認められる可能性が高くなります。

別居することで夫婦ともに離婚後を意識した生活ができるメリットもあります。離婚に向けて必要な過程のひとつと捉えても良いでしょう。

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調停離婚や裁判をする

離婚する夫婦の多くは、夫婦間で協議した末に離婚できる「協議離婚」をしていますが、夫婦間で話し合って解決するのが難しい場合、裁判所の調停や裁判で離婚することがあります。

調停は裁判所の調停員が夫婦双方の話を聞き解決策を提案します。第三者が間に入ってくれるため、スムーズに離婚の話し合いが進む可能性があります。調停でも離婚ができない場合は裁判に移行し、最終的には判決によって離婚の有無が決まります。

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弁護士に相談する

夫や妻が離婚してくれない場合は、弁護士に依頼するのも選択肢のひとつです。弁護士に依頼することで、離婚の本気度を相手に示すことができ、これまでまともに応じてくれなかった相手も離婚を真剣に考えるようになることもあります。

また、離婚の際は財産分与や養育費など夫婦で話し合って決めなければならない事項がたくさんあります。離婚の条件に折り合いがつかず、離婚が進まないケースも多いです。弁護士は交渉のプロですので、スムーズに離婚条件を決められる可能性が高くなります。

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離婚してくれない夫や妻から逃げるには

DVやモラハラによって身体的・精神的なダメージを負う可能性があり、今すぐ配偶者から距離を置きたいという時の対処法をご紹介します。

別居や実家に帰る

自分で新しい住まいを探して別居を始めるか、自分の実家を頼る方法です。賃貸で部屋を借りる場合家賃を払い続けることになるので、専業主婦やパートの方は婚姻期間中にある程度の貯蓄しておくと良いでしょう。

実家なら親の手助けを借りながら自立に向けて準備できます。小さい子どもがいる場合は親に面倒を見てもらってもいでしょう。ただ、居場所がわかってしまうためDVなど身体に危害が及ぶ可能性がある場合は注意が必要です。

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暴力を振るう場合は警察や専門機関に相談する

配偶者から暴力を振るわれている場合は、身の安全を確保するためにしかるべき専門機関に相談してシェルターに避難しましょう。最寄りの警察署のほか、福祉事務所、女性相談窓口、配偶者暴力支援センターを通じてシェルターに入ることができます。

配偶者暴力相談支援センターでは、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るため、
・相談や相談機関の紹介
・カウンセリング
・被害者及び同伴者の緊急時における安全の確保及び一時保護(※)
・自立して生活することを促進するための情報提供その他の援助
・被害者を居住させ保護する施設の利用についての情報提供その他の援助
・保護命令制度の利用についての情報提供その他の援助
を行います。

引用元:配偶者暴力相談支援センター | 内閣府男女共同参画局

通常2週間ほど子どもも同じ施設に入所できます。その間に新たな住まいを探し、生活の基盤を作る必要があります。DVシェルターに相談員がいるので、今後の生活について相談しながら就職先や新たな住まいを探すと良いでしょう。

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保護命令も視野に入れて離婚を進める

保護命令とは、配偶者から暴力を受けた被害者からの申し立てにより、裁判所が配偶者に対して接近禁止命令、退去命令等を発することです。裁判所への申し立て、口頭弁論などを経て保護命令が発令されます。

なお、違反した配偶者は1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。保護命令を発令してもらうためには申立書の作成や裁判所での口頭弁論など、法的な知識を要するため、検討している方は弁護士に相談することをおすすめします。

保護命令手続について | 裁判所
DV夫が離婚してくれない!安全に離婚するための対処法

まとめ

夫や妻が離婚してくれないときに説得する方法や対処法をご紹介しました。相手がかたくなに離婚を拒むほど、離婚するまでに時間がかかります。夫婦で話し合っても折り合いがつかず、なかなか離婚できないケースも少なくありません。

自分だけで解決するのが難しいと感じたら、離婚に詳しい弁護士にご相談ください。離婚問題に精通している弁護士なら、離婚についてわからないことがあれば気軽に質問・相談できるので、心強くなるはずです。ご相談内容に応じて適切なご提案をさせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。