離婚することを決意して弁護士を立てる際、相手側が原因なのにどうして弁護士費用を自分で支払わなければならないのか?と疑問に感じる方もいると思います。
また、離婚の弁護士費用を相手に支払わせることはできないのでしょうか?このページでは、離婚を進める際の弁護士費用の相場や相手側に費用を請求できるのかについてお伝えします。
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目次
弁護士費用を相手に支払わせることは基本的にはできない
結論から言うと、離婚する際の弁護士費用は原則自己負担となります。弁護士費用を相手に請求しても支払わせることは難しいです。
離婚裁判の場合は、裁判費用の負担割合を最終的に裁判官が認定しますが、弁護士費用については基本的に依頼した方が全額負担します。
離婚の弁護士費用を相手方に請求できる場合の例外
弁護士費用を相手側に請求できる例外として、一方の非が大きい場合に損害額の10%を弁護士費用として請求できることがあります。例えば、相手の不貞行為が原因で離婚することになり、慰謝料として300万円の請求が認められた場合は、慰謝料金額の10%(30万円)を弁護士費用として上乗せできます。しかし、これはあくまで離婚裁判で判決が出た場合です。
離婚したい夫婦が裁判までいくケースは決して多くはなく、離婚協議や調停で離婚が成立した場合、基本的に相手側に弁護士費用を請求することは難しいです。ただ、示談などでも相手側が納得すれば弁護士費用を請求することは可能です。
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離婚の弁護士費用の相場と支払うタイミング
では、弁護士費用を自分で支払わなければならないとして、どの程度の弁護士費用の支払いが必要になるのか、どのタイミングで支払いが発生するのかについて確認しましょう。また、前提として弁護士費用はかつて弁護士会が定める報酬規定がありました。
しかし、現在では報酬規定は廃止されており、弁護士・法律事務所が自由に設定することができますので費用は事務所毎に異なります。弁護士費用の内訳には、以下のようなものがあります。
- 法律相談料(弁護士に法律相談をする際にかかる費用)
- 着手金(弁護士に依頼をする段階で支払う費用)
- 成功報酬(弁護士が依頼された目的を達成したときに支払う費用)
- 実費(訴訟にかかる印紙代・切手代や弁護士が使う切手代・通信費など)
- 日当(弁護士が裁判所に出頭するなどの拘束をされる際にかかる費用)
それぞれ費用の相場などをご紹介します。
法律相談料
法律相談料は弁護士に相談をする際に支払う必要があり、法律相談料の一般的な相場は30分5,000円~です。ただし、初回の相談料を無料とする弁護士も多いので、まずはそういった事務所に探して相談してみると良いでしょう。
着手金
着手金は弁護士に依頼することが決定したタイミングで支払う必要があり、概ね次のような相場です。
項目 | 金額 |
---|---|
協議離婚 | 20万円~40万円 |
離婚調停 | 30万円~50万円 |
離婚訴訟 | 40万円~60万円 |
慰謝料・財産分与 | 5~10%程度 |
慰謝料や財産分与の金額が多いか少ないか、子供が居て親権・養育費を勝ち取ることができるか、などによって幅があります。
離婚を進める際は、まず協議離婚(示談交渉)を行い、協議で解決しない場合は離婚調停、調停でも難しい場合は訴訟・裁判となることが一般的で、それぞれの段階ごとに弁護士費用が必要です。ただし、例えば協議離婚から依頼していて離婚調停になった場合に、費用を割引してくれるような事務所もあります。
成功報酬
成功報酬は離婚が成立した後に支払うお金で、相場としては以下のような金額帯となります。
項目 | 金額 |
---|---|
協議離婚 | 30万円~50万円 |
離婚調停 | 40万円~60万円 |
離婚裁判 | 50万円~70万円 |
慰謝料・財産分与 | 10%~20% |
養育費 | 2年分の10% |
成功報酬の金額もケースによって大きく異なります。例えば、上記の相場で計算すると「離婚協議が成立し慰謝料を300万円獲得できた場合」は、20万円と慰謝料の10%にあたる30万円で合計50万円の成功報酬となります。
実費
離婚の手続きにかかる印紙代や弁護士の交通費などが実費にあたります。離婚調停をする場合には、申立をするための申立手数料(収入印紙)と、裁判所に納める予納郵券の費用が数千円かかり合計で4,000円程度が必要です。
離婚訴訟をする場合にも、別途申立手数料(収入印紙)と予納郵券の費用が4,000円程度必要となり、弁護士が裁判所まで赴く交通費もかかります。弁護士の事務所が裁判所の近くであれば気にする必要はありませんが、遠方の場合には実費が高くなる場合があるので注意しましょう。
日当
日当は弁護士が事務所を離れて活動する際にかかる費用です。例えば裁判所が遠方にあり、移動で1日かかるような場合には、その1日分の日当が発生します。
日当の費用相場は半日で3~5万円、1日で5~10万円となります。しかし、日当に関しても事務所毎に異なりますので、事前に確認しておきましょう。
弁護士費用をすぐに支払えない場合の対応方法
弁護士費用は決して安い金額ではありません。離婚のために弁護士に依頼しようと思っても、すぐにお金を用意できない、ということも考えられます。すぐに弁護士費用を用意できない場合は、次のようなことを検討しましょう。
離婚に詳しい相談料無料の事務所に相談する
法律相談料については、相談料が無料の弁護士事務所、法テラス・弁護士会、市区町村の無料法律相談を利用することで無料で相談することは可能です。
その際に、今の自分の状況を伝え、弁護士費用をどのように賄うべきかアドバイスを貰うことも可能です。なお、住むところの確保にも困難な状況であったり、生活費が底をつきそうな場合には、市区町村に相談をして、住居や生活費の確保を行なうようにしましょう。
※なお、当事務所では法テラスの民事法律扶助制度の利用を希望される方からのご相談は現在受け付けておりません。
法テラスの民事扶助を検討する
収入がない・少ない場合には、法テラスの民事扶助の利用を検討しましょう。民事扶助とは、法テラスが弁護士費用を立て替えてくれる制度です。
民事法律扶助業務とは、法律問題を抱えながら、経済的な理由で解決できないでいる方又は、大規模災害の被災者のために、無料法律相談を行い、経済的に余裕のない方に対しては更に、弁護士又は司法書士の費用等を立て替える業務です。
引用元:民事法律扶助|法テラス
※なお、当事務所では法テラスの民事法律扶助制度の利用を希望される方からのご相談は現在受け付けておりません。
親族に借りられないかを検討
弁護士費用を親族に借りるのも一つの手段です。実際に親族に弁護士費用を借りる方は多いです。頼れる親族がいる場合には、まずは相談してみると良いでしょう。
分割払いが可能か弁護士に相談する
分割払いや後払いに応じてくれる弁護士事務所もあります。基本的に着手金などの費用は一括払いが原則ですが、事案や依頼者の状況によって柔軟に対応してくれる場合もあります。
まとめ
このページでは、離婚問題を弁護士に依頼する場合に、誰が弁護士費用を払うのか、相手に支払わせることができないのか、自分が支払う場合の費用の相場についてお伝えしました。
弁護士に依頼することは、法的なサポートを得られるだけではなく、精神的にも心強い味方となってくれます。弁護士費用が払えない場合でも、様々な制度を活用することで弁護士への依頼が可能となることもありますので、この記事でご紹介した方法をぜひ参考にしてみてください。