「妻のことはもう愛していない」「夫婦関係は冷え切っている」などと言いながらも、妻となかなか離婚しない彼に苛立ちを覚えていませんか?
妻とは離婚すると嘘をついて気を引いていただけだったことに気づき、彼に対して憤りを感じているかもしれません。
奥さんと離婚すれば私と再婚してくれるかもしれない、との思いから、浮気相手の配偶者に不倫をばらしてやりたいと考えていませんか。
しかし、不倫をばらす行為は違法になる可能性があるため、賢明ではありません。
この記事では、浮気相手の配偶者に不倫をばらす行為が違法になる可能性がある6つのケースや、ばらしたらどうなるかについて解説します。
目次
浮気相手の配偶者に不倫をばらすのは罪になる?
浮気相手の配偶者に不倫をばらす行為は、罪に問われる可能性があります。
あなたは今、妻とは離婚すると嘘をついた彼が許せない、奥さんに不倫をばらして離婚に追い込んでやりたい衝動を抑えられなくなっているかもしれません。
しかし、浮気相手の配偶者に不倫をばらす行為は脅迫罪や名誉毀損罪などの犯罪に該当する可能性があります。犯罪が成立した場合、刑事処分を受ける可能性があります。
次章で、浮気相手の配偶者に不倫をばらす行為が違法になる可能性があるケースについて詳しく解説しますので、どのような行為が犯罪になるか知っていただければと存じます。
浮気相手の配偶者にばらす行為が違法になりえる6つのケース
浮気相手の配偶者に不倫をばらす行為が違法になる可能性があるケースは、主に以下の6つです。
- 配偶者にばらすと脅迫した場合
- 配偶者にばらす際に配偶者や浮気相手を侮辱した場合
- 配偶者にばらされたくなければ金を支払え等と脅迫して金銭を要求した場合
- 配偶者にばらすと脅迫し浮気相手に義務のないことを行わせた場合
- 配偶者だけでなく周囲の人にもばらした場合
- 配偶者にばらすために浮気相手につきまといや待ち伏せをした場合
以下で、詳しく解説します。
配偶者にばらすと脅迫した場合
浮気相手の配偶者にばらす行為が違法になる可能性があるケースとして、配偶者にばらすと脅迫した場合が挙げられます。
「配偶者に不倫をばらす」と脅迫する行為は、脅迫罪に該当する可能性があるからです。脅迫とは、相手に恐怖心を生じさせる目的で、生命、身体、自由、名誉、財産などに対し害を加える旨を告知することです。
例えば、離婚してくれないなら奥さんに不倫していることをばらす、と浮気相手に伝えた場合、相手の名誉に害を加えるとして、脅迫罪が成立するおそれがあります。
脅迫罪が成立する場合、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます(刑法第222条第1項)。
なお、害を加える対象は被害者だけでなく、被害者の親族の生命、身体、自由、名誉、財産などに対し害を加える旨を告知した場合も、脅迫罪が成立する可能性があります。
配偶者に実際に不倫をばらさなくても、ばらすと脅す行為は、脅迫罪に該当する可能性があります。
配偶者にばらす際に浮気相手や配偶者を侮辱した場合
浮気相手の配偶者にばらす行為が違法になる可能性があるケースとして、配偶者にばらす際に浮気相手や配偶者を侮辱した場合が挙げられます。
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した場合、侮辱罪に該当する可能性があるからです。
例えば、「あなたの夫は最低な人間です」と配偶者に伝え、これが不特定または多数の人に知られた場合、侮辱罪が成立するおそれがあります。
具体的な事実内容を示していれば真実であるかは問われないため、バカ、ブサイク、最低などの抽象的な表現であっても侮辱罪に該当するおそれがあります。侮辱罪が成立する場合、拘留または過料が科されます(刑法第231条)。
配偶者に不倫の事実を適示しなくても、暴言等によって浮気相手や配偶者を侮辱した場合、侮辱罪が成立する可能性があります。
配偶者にばらされたくなければ金を支払え等と脅迫して金銭を要求した場合
浮気相手の配偶者にばらす行為が違法になる可能性があるケースとして、「配偶者にばらされたくなければ金を支払え」などと脅迫して金銭を要求した場合が挙げられます。
暴行や脅迫などの手段を用いて相手を怖がらせ、金銭などの財物を交付させた場合、恐喝罪に該当する可能性があるからです。
例えば、「奥さんに不倫していることをばらされたくなかったら100万円支払って」と浮気相手に伝えた場合、恐喝罪が成立するおそれがあります。恐喝罪が成立する場合、10年以下の懲役が科されます(刑法第249条)。
浮気相手を脅してお金をとる行為は、恐喝罪が成立する可能性があります。
配偶者にばらすと脅迫し浮気相手に義務のないことを行わせた場合
浮気相手の配偶者にばらす行為が違法になる可能性があるケースとして、配偶者にばらすと脅迫し浮気相手に義務のないことを行わせた場合が挙げられます。
生命、身体、自由、名誉、財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、または暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、または権利の行使を妨害した場合、強要罪に該当する可能性があるからです。
例えば、「奥さんに不倫していることをばらされたくなかったら土下座しろ」と浮気相手に強要した場合、強要罪が成立するおそれがあります。
強要罪が成立する場合、3年以下の懲役が科されます(刑法第223条)。
脅迫して相手に義務のないことを行わせることは強要罪に該当する可能性があります。
配偶者だけでなく周囲の人にもばらした場合
浮気相手の配偶者にばらす行為が違法になる可能性があるケースとして、配偶者だけでなく周囲の人にもばらした場合が挙げられます。
公然と事実を摘示し人の名誉を毀損した場合、事実の有無にかかわらず、名誉毀損罪に該当する可能性があるからです。
例えば、浮気相手の職場に不倫していることをばらしたり、不特定多数の人の目に付くSNSに不倫の事実を書き込んだりすると、不倫相手の名誉を毀損したとして、名誉毀損罪が成立するおそれがあります。名誉毀損罪が成立する場合、3年以下の懲役・禁錮または50万円以下の罰金が科されます(刑法第230条)。
たとえ不倫が事実であっても、それを他人にばらすと、名誉毀損罪に問われる可能性があります。
配偶者にばらすために浮気相手につきまといや待ち伏せをした場合
浮気相手の配偶者にばらす行為が違法になる可能性があるケースとして、配偶者にばらすために浮気相手につきまといや待ち伏せをした場合が挙げられます。
浮気相手へのつきまといや待ち伏せは、ストーカー行為に該当する可能性があるからです。
ストーカー行為と判断される可能性がある行為は、主に以下の8つです。
- つきまとい・待ち伏せなどの行為
- 監視していると告げる行為
- 面会や交際を要求する行為
- 乱暴な言動
- 電話やLINEなどを繰り返す行為
- 汚物等を送りつける行為
- 名誉を傷つける行為
- 性的羞恥心を侵害する行為
例えば、浮気相手に対して、配偶者に自ら不倫の事実を暴露することを求めて、「奥さんに不倫していると伝えるところを監視している」と伝えたり、伝えるところを確認するために待ち伏せしたりすると、ストーカー規制法違反となるおそれがあります。
ストーカー行為をした場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます(ストーカー規制法第18条)。
なかなか離婚をしてくれない浮気相手にしびれをきらした結果、付きまといや執拗な連絡など嫌がらせ行為に出ると、ストーカー規制法違反に該当する可能性があります。
浮気相手の配偶者に不倫をばらすと慰謝料を請求されるおそれが
浮気相手の配偶者に不倫をばらした場合、慰謝料を請求されるおそれがあります。
不倫(不貞行為)によって平穏な婚姻生活を侵害したと言える場合、不法行為が成立するからです。
そのため、浮気相手の配偶者に不倫の事実をばらした場合、不法行為に基づく慰謝料を請求される可能性があります。
不倫慰謝料の相場は、不倫の回数や期間、不倫による妊娠・出産の有無など個々の状況により異なりますが、50〜300万円程度です。
不倫慰謝料の相場については、「不倫(不貞行為)の慰謝料相場と過去の判例」をご参照ください。
不倫の当事者であるあなたが浮気相手の配偶者に不倫をばらす行為は、慰謝料を請求されるリスクをはらんでいます。高額な慰謝料を支払うことになっても浮気相手の配偶者に不倫の事実をばらすべきか、冷静に考えてみてください。
浮気相手の配偶者にばらすとあなたとの関係は高確率で終わる
浮気相手の配偶者に不倫をばらした場合、あなたとの関係は高確率で終わるでしょう。
浮気相手の配偶者に不倫をばらしても、奥さんと離婚するとは限りません。たとえ離婚したとしても、不倫をばらすような相手と関係を継続し、再婚したいと思うでしょうか。
浮気相手の配偶者に不倫をばらすと、たとえ夫婦が離婚したとしても、あなたとの関係は終わることを覚悟しておきましょう。
まとめ
浮気相手の配偶者に不倫をばらすと、罪に問われる危険性があることに加え、配偶者から不倫慰謝料を請求されるおそれがあります。
配偶者に不倫をばらしたあなたと浮気相手との関係も高確率で終わってしまうでしょう。
不倫は、未来がない恋愛である場合がほとんどです。妻とは離婚するという彼の言葉を信じて待ち続けても、あなたと再婚する可能性は高いとはいえません。
長い時間を不倫に費やしてしまったと後悔しても、時間も若さも取り戻せません。不倫が泥沼化する前に、今すぐ彼と別れることをおすすめします。
不倫が原因で慰謝料を請求される等トラブルに発展したら、弁護士に対応を依頼することも検討しましょう。法的知識が豊富な弁護士に依頼すると、あなたの状況に合わせた的確なアドバイスが期待でき、スムーズな解決が望めます。