「不貞裁判で負けたらどうなるの?」
「お金が払えないとどうなるの?」
不貞慰謝料の示談交渉がなかなか進まず、相手から「話がまとまらないようなら裁判を起こす!」と言われている状況の人もいるかもしれません。
既に不貞裁判を起こされた人もいるでしょう。相手の要求に応じるくらいなら裁判で徹底的に争いたいと考える人もいるかもしれません。
まずはこの記事を読み、不貞裁判で負けた場合のリスクについて知っておきましょう。そのうえで、示談に応じるか裁判で争うかを検討することをおすすめします。
この記事では、主に次のことについて解説しています。
- 不貞裁判で負けたらどうなる?
- 不貞裁判で負ける可能性の高いケース
- 不貞裁判で負ける前に示談での解決をおすすめする理由
ぜひ参考にしてください。
目次
不貞裁判で負けたらどうなる?
不貞裁判で負けたらどうなるのでしょうか?
不貞裁判で負けた場合には、次の3つのことが考えられます。
- 慰謝料を支払う必要がある
- 訴訟費用を支払わなければならない可能性がある
- 慰謝料を支払わないと差押えのリスクがある
以下、詳しく見ていきましょう。
慰謝料を支払う必要がある
慰謝料を支払う必要があります。
不貞裁判で負けるということは、裁判所から、[被告は、原告に対し、○○万円を支払え。]との判決が下されることです。
不貞裁判に負けた場合には、当然慰謝料の支払いをする必要があります。
一般的に、不貞の慰謝料相場は50~300万円程度とされています。不貞裁判では、慰謝料の支払いは一括払いが原則です。
不貞裁判に負けた場合には、速やかに慰謝料の支払いを行う必要があるでしょう。
相手の訴訟費用を支払わなければならない可能性がある
相手の訴訟費用を支払わなければならない可能性があります。
訴訟費用とは、当事者が裁判の手続きを遂行するうえで必要になった費用のうち、訴訟費用法2条に定められているものです。主に次のようなものが挙げられます。
- 訴状その他の申立書に添付された収入印紙(申立手数料)
- 書類を送る際に使用した郵便切手
- 当事者本人・証人の旅費日当
- 官公庁等の公的書類の発行費用 など
訴訟費用は、原則敗訴者の負担となります。
判決主文にも、訴訟費用の負担について、[訴訟費用は被告の負担とする。]との記載がされます。
訴訟費用を請求してくるケースは多くありませんが、相手から訴訟費用の請求がされた場合には、相手の裁判手続きにかかった費用を支払う必要があるでしょう。
慰謝料を支払わないと差押えのリスクがある
慰謝料を支払わないと差押えのリスクがあります。
あなたが慰謝料を支払わない場合、相手は判決をもとに強制執行の手続きを取れます。
「強制執行されると聞いたことはあるけれど、具体的にどんな手続きなの?」
実際にどのようなことが自分の身に起きるのかをあまり理解していない方も多いかと思います。
以下では、強制執行の手続きについて解説しています。
強制執行の手続きとは?
強制執行の手続きとは、判決が出たにもかかわらず、お金が支払われない場合に、判決などの債務名義を得た人(慰謝料を受け取る側の人)の申立てに基づいて、強制的に権利を実現する手続きです。
差押えの対象となる財産は?
差押えの対象となる財産には、次のようなものがあります。
- 給与
- 預貯金
- 不動産
- 自動車
- その他動産
慰謝料請求の場合は、一般的に、給与・預貯金が差し押さえられることが多いでしょう。
給与
給与の差押えをする場合、裁判所から債権差押命令が出され、その通知は給与を支給している勤務先に送られます。
給与の場合は、手取り額の1/4、もしくは手取り額が44万円以上の場合33万円を超える部分が毎月差し押さえられることになります。差し押さえられる給与には、月給だけでなくボーナスや退職金も含まれます。
差押えは、裁判所から勤務先に送られる債権差押命令の通知が届いた時点以降に支給される給与から行われ、慰謝料全額(差押債権目録に記載されている金額)に達するか、債権者が申立てを取り下げるまで毎月差押えが行われます。
預貯金
預貯金を差押えする場合、裁判所から債権差押命令が出され、その通知は債務者が口座を持つ金融機関に送られます。
預貯金の場合は、裁判所から金融機関に送られる債権差押命令の通知が届いた時点に口座に入っている全額(ただし、慰謝料額(差押債権目録に記載されている金額)よりも口座残高が多い場合には、慰謝料額(差押債権目録に記載されている金額))が差し押さえられることになります。
したがって、不貞裁判で負けたのに慰謝料を支払わないと、強制執行をされ、あなたの給与や預金等が差し押さえられる可能性が高いでしょう。
不貞裁判で負けた場合には控訴が可能
不貞裁判で負けた場合には控訴が可能です。
裁判の内容に不服がある場合には、控訴をして、控訴審で争うことになります。
控訴ができる期間は、判決を受け取った日から2週間です。控訴をする場合には、別途控訴費用がかかります。解決までの期間もさらに伸びてしまうでしょう。
控訴をするかどうかは、事件の状況やあなたの意向を踏まえて、慎重に検討する必要があるでしょう。
不貞裁判で負けたら家族や会社の人に知られる?
不貞裁判で負けても、必ず家族や会社の人に知られるわけではありません。
不貞裁判で負けた場合でも、裁判所から家族や会社に通知が行くことはありません。
したがって、家族や会社の人に知られずに裁判が終わる場合もあるでしょう。
ただし、裁判所からあなた宛の書類は、原則自宅に、不在が続いた場合には会社に送られる場合があります。裁判の書類が自宅に届いたのを家族に見られる可能性はあるでしょう。
裁判の書類をあなたが受け取らなかったために会社に送付され、会社の人に知られるケースも考えられます。
家族や会社に知られたくない場合には、弁護士をつけるのもひとつの方法です。
弁護士に依頼することで、裁判の書類の送り先は全て弁護士宛になることから、家族や会社の人に知られるリスクを最小限にできるでしょう。
不貞裁判で負けたら前科が付く?
不貞裁判で負けても、前科は付きません。
民事裁判と刑事裁判を混同している人がいますが、不貞裁判は民事裁判ですから、不貞裁判で負けても前科はつきません。
「転職の際に知られるのかな。」等の不安を抱えている人もいるかもしれませんが、その心配はないでしょう。
不貞裁判で負ける可能性の高い3つのケース
不貞裁判で負ける可能性の高いケースは、次の3つです。
- 相手の主張する不貞の事実に間違いがない
- 証拠がある
- 相手の主張に反論するための証拠がない
以下、詳しく見ていきましょう。
相手の主張する不貞の事実に間違いがない
相手の主張する不貞の事実に間違いがないケースです。
あなたが反論する余地がない場合には、負ける可能性が高いでしょう。
なぜなら、裁判を起こしてくるということは、相手には不貞慰謝料を請求できる条件が揃っていると考えられるからです。
不貞慰謝料が請求できる条件は、次の4つです。
- 相手夫婦が婚姻関係にある
- あなたと不倫相手との間に肉体関係がある
- 不貞行為によって婚姻関係が破綻した
- あなたが不倫相手を既婚者であると知っていた・知る余地があった
したがって、相手の主張するこれらの事実に間違いがないケースでは、負ける可能性が高いでしょう。
証拠がある
証拠があるケースです。
裁判では、当事者双方の主張が異なる場合には、証拠をもとに事実を認定します。
次のような決定的な証拠がある場合には、負ける可能性が高いでしょう。
- 性交渉中の写真・動画
- 2人でラブホテルに出入りする写真・動画 など
決定的な証拠以外にも、LINEのやり取りや探偵の調査報告書等、複数の証拠によって肉体関係があったことを証明できる場合には、負ける可能性が高いでしょう。
相手の主張に反論するための証拠がない
相手の主張に反論するための証拠がないケースです。
不貞裁判の反論として、例えば次のようなものが考えられます。
- 既に婚姻関係は破綻していた
- 不倫相手が既婚者であると知らなかった
このような反論をする場合には、あなたがこれらの事実を立証しなければなりません。
相手の主張に反論するための証拠がない場合には、負ける可能性が高いでしょう。
不貞裁判で負ける前に示談での解決をおすすめする2つの理由
不貞裁判で負ける前に示談での解決をおすすめする理由は、次の2つです。
- 慰謝料の減額・分割払いに応じてもらえる可能性がある
- 早期解決を図れる
以下、詳しく見ていきましょう。
慰謝料の減額・分割払いに応じてもらえる可能性がある
示談の場合には、慰謝料の減額・分割払いに応じてもらえる可能性があります。
示談の場合には、交渉次第で相場よりも低い慰謝料に減額できる可能性があります。
1章で解説したとおり、判決になると慰謝料の支払いは一括払いが原則です。数百万円の支払いを一括でするとなると、あなたにとって大きな負担になるでしょう。
示談の場合には、相手が応じてくれれば、分割払いでの支払いも可能です。
示談の場合には、裁判よりも負担の少ない支払いになる可能性が高いでしょう。
早期解決を図れる
示談によって、早期解決を図れます。
裁判になった場合には、早くて数か月、長いと1年以上かかるケースもあります。
1年以上もの間、裁判のことを考えなければならないのは精神的に大きな負担になるでしょう。
示談の場合には、裁判よりも早期解決を図れる可能性が高いでしょう。
不貞裁判を起こされそうな場合には早めに弁護士に相談を!
不貞裁判を起こされそうな場合には、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に依頼することで、次のようなメリットがあります。
- 相手が示談に応じてくれる可能性
- 裁判の手続きを全て任せられる
以下、詳しく見ていきましょう。
相手が示談に応じてくれる可能性
弁護士がつくことで相手が示談に応じてくれる可能性があるでしょう。
当事者同士の話し合いですと、どうしても感情的になってしまうことから、話し合いがなかなかまとまらない傾向にあります。
相手も、あなた本人には譲歩したくない・折れたくないという感情を抱いてしまいがちです。
第三者である弁護士が介入することで、冷静な話し合いができ、裁判にならず示談で解決できるケースも多いでしょう。
裁判の手続きを全て任せられる
弁護士がつくことで裁判の手続きを全て任せられます。
裁判になった場合には、裁判所に提出する書類の作成のほか、裁判の日には裁判所に出廷する必要があります。
裁判の対応を全て一人で行うには、法的知識が必要なことはもちろん、時間と労力が必要です。
弁護士に依頼することで、裁判手続きの対応を全て任せられるでしょう。
まとめ
不貞裁判を起こされた場合には、書類の作成や提出、裁判所への出廷等大きな負担になるでしょう。裁判に負けてしまうと、原則慰謝料は一括で支払う必要があります。
不貞裁判を起こされそうな場合には、一度弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に依頼することで、裁判を起こされる前に示談で解決できることもあるでしょう。裁判になった場合も、弁護士が手続きを代理することから、あなたの負担は大きく減るでしょう。
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