「不倫相手が慰謝料を支払ったと言っていたのに、自分にも慰謝料の請求がきた!」
不倫相手が、慰謝料を支払ったと言っていたので安心していたら、急に不倫相手の配偶者から、自分にも慰謝料請求がきて焦っている人もいるでしょう。
不倫慰謝料は、原則として二重取りできません。
ただし、二人に請求しているからといって必ずしも二重取りに該当するわけではありません。二重取りが疑われる場合には、本当に二重取りにあたるのかを確認しましょう。
この記事では、主に次のことについて解説しています。
- 二重取りされた!と思ったら確認すべき3つのこと
- 二重取りが疑われる場合の対処法
ぜひ参考にしてください。
不倫慰謝料を二重取りされた!と思ったら確認すべき3つのこと
不倫慰謝料を二重取りされた!と思ったら、すぐに反論をするのではなく、まずは本当に二重取りに該当するのかを確認しましょう。
二重取りに該当するかを判断するポイントとして、次の3つが挙げられます。
- 不倫相手が既に慰謝料を支払っているか
- 不倫相手が支払った慰謝料がいくらか
- 不倫相手の慰謝料に不貞行為以外の有責行為も含まれていないか
以下、詳しく見ていきましょう。
不倫相手が既に慰謝料を支払っているか
1つめは、不倫相手が既に慰謝料を支払っているかです。
不倫相手が、慰謝料を請求されている段階では、二重取りにはあたりません。
あなたと不倫相手は、慰謝料の支払い義務を二人で連帯して負っています(不真正連帯債務)。
不真正連帯債務のポイントは、次の3つです。
- 請求者は、債務を負う人全員に対して、全額の請求ができる
- いずれかが債務の全額を支払ったら、もう一方の債務は消滅する
- 負担を超えて支払いをした人は、もう一方の債務者に対し負担を超えた部分について求償できる
つまり、不倫相手の配偶者(慰謝料請求者)は、あなたと不倫相手の両方に対して、慰謝料全額の支払いを請求できます。
二重取りにあたるのは、いずれか一方から全額の支払いを受けたのに、もう一方からも受け取った場合です。
したがって、不倫相手が慰謝料を請求されている段階の場合は、二重取りにはあたらないでしょう。
不倫相手が支払った慰謝料がいくらか
2つめは、不倫相手が支払った慰謝料がいくらかです。
不倫相手が既に慰謝料を支払っていても、それが慰謝料の一部である場合には、あなたに残りの部分を支払う義務があります。
例えば、適正な慰謝料額が200万円のケースで、既に不倫相手が200万円を支払っている場合には、あなたに対する請求が二重取りにあたります。しかし、不倫相手が支払った額が100万円の場合には、まだ100万円の債務が残っていますから、あなたに100万円を請求しても二重取りにはあたりません。
慰謝料の一部であるかの判断はなかなか難しいですが、不倫相手が支払った額が慰謝料の相場を大きく超えている場合には、既に十分な慰謝料を受け取っていると考えられ、あなたに対する請求が二重取りにあたる可能性があるでしょう。
不倫相手の慰謝料に不貞行為以外の有責行為も含まれていないか
3つめは、不倫相手の慰謝料に不貞行為以外の有責行為に対応する部分が含まれていないかです。
離婚時に、不貞相手が配偶者に支払った慰謝料の金額が大きい場合、不貞行為以外の有責行為に対する慰謝料が含まれている可能性があります。例えば、不倫相手に、配偶者に対するDVやモラハラ等の有責行為があった場合などです。
仮に、不倫相手が配偶者に対して支払った慰謝料200万円のうち150万円がDVやモラハラに対する慰謝料であるとすると、不貞行為に対する慰謝料は50万円にとどまります。この場合、不貞相手の配偶者は、不貞行為に対する慰謝料として十分な額を受け取っていないと考えられる余地があります。
したがって、不倫相手の慰謝料に不貞行為以外の有責行為の部分も含まれている場合は、二重取りにはあたらない可能性があるでしょう。
不倫慰謝料の二重取りが疑われる場合の対処法
不倫慰謝料の二重取りが疑われる場合の対処法としては、次の3つが挙げられます。
- 請求を無視したりすぐに支払いに応じたりしない
- 誠実な対応をとる
- 不倫相手も示談交渉中であれば3者間での示談を目指す
以下、詳しく見ていきましょう。
請求を無視したりすぐに支払いに応じたりしない
請求を無視したりすぐに支払いに応じたりしないことです。
二重取りであると勝手に判断して、請求を無視した場合、裁判を起こされる可能性があるでしょう。
反対に、焦ってすぐに支払いに応じると、たとえ二重取りに該当しても、既に支払った慰謝料を返してもらうのは難しいでしょう。
二重取りが疑われる場合には、請求を無視したりすぐに支払いに応じたりせず、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
誠実な対応をとる
誠実な対応をとることです。
二重取りが疑われる場合、「二重取りはできないはずなのになぜ?」と思う気持ちもわかりますが、不倫が事実である以上、謝罪の意を示し、誠実な対応をとりましょう。
ただし、誠実な対応=相手の要求に全て応じることではありません。
誠実な対応をとりつつ、支払い義務の有無を確認することが重要です。
不倫相手も示談交渉中であれば三者間での示談を目指す
不倫相手も示談交渉中であれば三者間での示談を目指すことです。
二者間で示談した内容は、二者間にしか効力が生じません。二者間で示談した内容が考慮されずに、もう一方との間で示談が成立する可能性があります。
例えば、あなたと不倫相手の配偶者の二者間で、適正な慰謝料額を300万円、そのうちの250万円をあなたが支払う合意をしたとします。不倫相手は残りの50万円を支払うのだろうと考えていたら、不倫相手も250万円で合意していたことが後に判明することもあり得ます。
不倫相手も示談交渉中であれば、三者間による話し合いの中で適正な慰謝料額の総額とそれぞれの負担割合をきちんと決めることで、二重取りを回避できるでしょう。
慰謝料の二重取りを確認するために不倫相手に連絡するのはあり?
不倫慰謝料の二重取りが疑われる場合、不倫相手に慰謝料の支払いについて直接確認したいと考える人が多いでしょう。
不倫相手と連絡を取ることは法的には問題ありません。ただし、相手の怒りを買う可能性が高いことから弁護士を介して連絡することをおすすめします。
不倫相手と連絡を取ることは正当な理由に該当するため法的には問題ない
不倫相手と連絡を取ることは正当な理由に該当するため、法的には問題ありません。
しかし、相手の怒りを買うおそれがあるでしょう。
相手の怒りを買わないためにも弁護士に相談することをおすすめ
相手の怒りを買わないためにも弁護士に相談することをおすすめします。
相手の怒りを買うことで、示談交渉がスムーズに進まなくなるおそれがあります。
相手の怒りを買わないためにも、すぐに不倫相手に連絡を取るのではなく、弁護士に相談をし、必要であれば弁護士から不倫相手に確認してもらう方が良いでしょう。
まとめ
不倫慰謝料は、原則として二重取りできません。
しかし、勝手に二重取りであると判断して、請求を無視したり反論したりするのはおすすめしません。本当に二重取りにあたるのか、自分に支払い義務があるのかを確認する必要があります。
二重取りが疑われる場合には、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
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