不倫裁判の陳述書の書き方|記載例と上手く書くコツをご紹介

  • 最終更新日: 2025.02.10

裁判では、陳述書の提出を求められることがよくあります。
提出を求められるタイミングは様々ですが、尋問手続の前に提出を求められることが多いでしょう。

裁判が初めての方にとっては、陳述書という聞き慣れない言葉に戸惑う人も多いでしょう。
「陳述書ってどんな書面?」
「陳述書には何を書けばよいの?」

この記事では、このような疑問にお答えすべく、不倫裁判の陳述書に書くべき主な事項作成のポイントについて解説しています。ぜひ参考にしてください。

不倫裁判の陳述書とは?

不貞慰謝料請求事件(不倫裁判)の陳述書とは、紛争となっている不倫問題の事実関係について、あなたが認識した事実等を記載した書面です。

陳述書は、主張ではなく証拠として扱われます。

今までの証拠からは読み取れない事実客観的な証拠のない事実について証明する役割もあります。

不倫裁判で陳述書を提出する4つの目的

不倫裁判で陳述書を提出する目的として、次の4つが挙げられます。

  • 裁判所に自らの言葉で言い分を伝えるため
  • 被告の言い分を把握し反対尋問の準備をするため
  • 既に提出した証拠からは読み取れない事情を主張するため
  • 当事者尋問に落ち着いて臨むため

以下、詳しく見ていきましょう。

裁判官に自らの言葉で言い分を伝えるため

裁判官に自らの言葉で言い分を伝えるためです。

陳述書には、あなたが認識した事実(客観面)とそれに対してどのように感じたか(主観面)を記載します。
裁判官は、その陳述書を見て争点を絞り、尋問手続であなたに聞くべき事項を整理します。

陳述書には、あなたの言い分を裁判官に伝え、尋問手続を有意義なものにする役割があります。

被告の言い分を把握し反対尋問の準備をするため

被告の言い分を把握し反対尋問の準備をするためです。

あなたが陳述書を作成するのと同様に、被告(不貞相手)も陳述書を作成します。
被告の陳述書には、被告側が認識した事実や被告の意見等が記載されています。

あなたの認識と被告の認識にズレがある部分は、裁判官が尋問手続で詳しく知りたい部分でもあります。
事前に被告の陳述書を読むことで、被告の認識の矛盾点等を指摘したり、反論したりするための準備ができます。被告側も同じく、あなたの陳述書を読み、反論するための準備をしてくるでしょう。

陳述書には、尋問手続前に相手の言い分を把握し、反対尋問に備えるための役割があります。

既に提出した証拠からは読み取れない事情を主張するため

既に提出した証拠からは読み取れない事情を主張するためです。

例えば、既に証拠として配偶者の作成した念書を提出している場合を考えてみましょう。
念書からは、配偶者が不貞を認めていること配偶者が謝罪の意を示したことが読み取れるでしょう。

しかし、念書が作成されるにあたって、あなたと配偶者の間にどのようなやり取りがあったのか配偶者はどのような態度であったか等は念書から読み取れません。

このような部分を陳述書に詳細に書くことで、裁判官に念書を作成した背景事情についても伝えられます。
陳述書には、既に提出した証拠からは読み取れない事情を補完する役割があります。

当事者尋問に落ち着いて臨むため

当事者尋問に落ち着いて臨むためです。

裁判所の法廷に立つのは、誰でも緊張するでしょう。緊張から伝え忘れてしまったり、上手く伝えられなかったりするでしょう。

尋問の場で、あなたの発言に不足があった場合に、陳述書に具体的な記載があれば、裁判官から「陳述書には、○○○○といった記載があるけれど、この部分について詳しく聞かせてください。」と言われることもあります。

陳述書には、尋問中に手助けをしてくれる役割があります。

不倫裁判で原告のあなたが陳述書に書くべき主な事項と記載例

不倫裁判の陳述書の記載例は次のとおりです。

形式的な記載事項については、水色の吹き出し部分の説明を参考に記載してください。
次に、本文(中身)についてどのような事項について記載すればよいのか、見ていきましょう。

①身上経歴

身上経歴についてです。

あなたの身上経歴(出生、家族構成、学歴、職歴等)を簡潔に書きましょう。

配偶者と婚姻関係に至るまでの経緯や、子どもがいる場合には、子どもを出産した事実とその時期についても書きましょう。

②不倫発覚前の婚姻生活の状況

不倫発覚前の婚姻生活の状況についてです。

不倫慰謝料請求が認められる要件の一つとして、不貞行為によって婚姻関係が破綻したことが必要です。

したがって、不倫発覚の前後で夫婦関係がどのように変化したかがわかることが重要です。
特に、相手側が「交際前から婚姻関係は破綻していると聞いていた。」と言うように、婚姻関係破綻の抗弁をしているケースでは、不倫発覚前の夫婦関係が円満であったことを具体的に書く必要があります。

例えば、夫婦で一緒に食事をする頻度や、連絡を取り合う頻度、お出かけの有無等に関して、具体的なエピソードを書くとよいでしょう。

③不倫発覚の経緯

不倫発覚の経緯です。

不倫が発覚した経緯や発覚時の状況等を具体的に書きましょう。

特に、不倫発覚時の配偶者や不倫相手の態度といったように、既に提出している証拠からは読み取れない背景事情についても書くとよいでしょう。

④不倫発覚後の婚姻生活の状況

不倫発覚後の婚姻生活の状況についてです。

②と同様に、不倫発覚の前後で夫婦関係がどのように変化したかを具体的に書きましょう。
既に離婚している場合には、客観的な事実として婚姻関係の破綻が認められる可能性が高いですが、同居を継続している場合や別居中の場合には、婚姻関係の破綻の程度が重要なポイントになります。

同居を継続している場合には、現在の婚姻生活はどうであるか・離婚を考えているかを具体的に書きましょう。

別居中の場合には、いつ・どのような経緯で家を出たのか・その後の夫婦の関わり合いはどの程度か・離婚を考えているかを具体的に書きましょう。

⑤不倫によって心身に生じた損害の内容

不倫によって心身に生じた損害の内容についてです。

通院等を余儀なくされた場合には、診断書等客観的な証拠があるでしょう。
通院等まではいかなくても、不倫によってあなたの心身に何らかの影響が生じていることでしょう。

その部分を、具体的に、あなたの主観面も含めて書きましょう。

不倫裁判の陳述書を作成する際の6つのポイント

陳述書を作成する際のポイントは、次の6つです。

  • 時系列に沿って書く
  • 具体的に(どこで・誰が・誰と・何を・どうしたか)書く
  • あいまいな部分を断定的に書かない
  • 裁判の内容に関係のないことは書かない
  • 感情的な部分は少なくする
  • 一文が長すぎないようにする

以下、詳しく見ていきましょう。

時系列に沿って書く

時系列に沿って書きましょう。

時系列がバラバラだと、裁判官が内容を把握するのが難しくなります。

時系列を意識して書くようにしましょう。

具体的に(いつ・どこで・誰が・誰と・どうしたか)書く

具体的に(いつ・どこで・誰が・誰と・どうしたか)書きましょう。

書き手からすると、書かなくても当然わかるだろうと思っていても、読み手からしたら書いていないことを把握するのは難しいです。第三者の視点でも事実を把握できるような文章を書くことを心がけましょう。

特に、それがいつ(日付)起こったかは、裁判において重要です。
例えば、次の文章を見てみましょう。

自宅で一緒に食事をしている際(どこで)、夫○○○○が(誰が)私に(誰に)対して、突然離婚を切り出しました(どうしたか)

この文章では、いつ(日付)が抜けています。
この出来事が、被告(不倫相手)との交際前の場合には、既に婚姻関係が破綻していたと判断されることもあるでしょう。

その出来事がいつ(日付)起こったのかは、判決を大きく左右することになります。
いつ(日付)はできるだけ明確に書くようにしましょう。

曖昧な部分を断定的に書かない

曖昧な部分を断定的に書かないようにしましょう。

「わからない。」「よく覚えていない。」と記載すると、裁判官にマイナスな印象を抱かれるのではないかと考える人もいるかもしれません。

過去の出来事は、誰しも記憶が曖昧になってしまうものです。記憶が明確でない部分は、正直に記載して問題ありません。

むしろ、記憶が明確でない部分を断定的に書いてしまうと、尋問で詳しく聞かれた時に、上手く答えられなかったり、今までの話と矛盾してしまったりするでしょう。
この場合には、裁判官から「この人は嘘を言っている。」と思われかねません。

曖昧な部分は断定的に書かないようにしましょう。

裁判の内容に関係のないことは書かない

裁判の内容に関係のないことは書かないようにしましょう。

感情的になるあまり、裁判の内容とは関係のない被告側のうわさ話や評判等を書く人がいます。
裁判は、あくまで今回紛争となっている不倫問題に対して判断するものであって、紛争外の出来事を記載しても、裁判官はただ読み飛ばすだけになります。

関係のないことが溢れていることで、重要な部分が薄れてしまうことにもなりかねません。
あくまで、不倫問題に関係している事実や主張を書くのであって、関係のないことを書くことは避けましょう。

感情的な部分は少なくする

感情的な部分は少なくしましょう。

もちろん、陳述書にはあなたの気持ち(主観面)を伝える役割もあります。
不貞が発覚した際にどう思ったか、今後の夫婦関係をどのようにしていきたいか等、あなたの感情面も含めて裁判官に伝える部分もあるでしょう。

しかし、「不貞相手が許せません。」「酷いと思います。」等、感情のみが羅列された文章では裁判官に具体的な事実が伝わりません。

例えば、不貞発覚後の不貞相手の態度によって、「不貞相手が許せない。」と感じたのであれば、次のように、不貞発覚後の不貞相手の態度の部分を具体的な事実で書く方が、裁判官にはあなたの感情も含めて伝わりやすいでしょう。

【記載例】

令和〇年〇月〇日、不倫がバレたことを夫より聞いた被告(不貞相手)から、私に対して電話があり、「離婚したらどうですか。」「○○(夫)は奥さんと居るのが辛いみたいですよ。」と言われました。

一文が長すぎないようにする

一文が長すぎないようにしましょう。

一文がだらだらと長いと、何が重要なのかが分かりづらくなります。

一文が長くなり過ぎないように心がけましょう。

まとめ

陳述書は、あなたの言い分を裁判官に伝えたり、紛争の背景事情や争点を裁判官が把握したりと、裁判をするうえで重要な書面です。

ご自身で陳述書を作成する際には、この記事でご紹介した6つのポイントを参考に、簡潔で伝えたいことが明確な文書を作成するように心がけましょう。

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