今この記事を読んでくださっているあなたは、和解をすべきかどうか悩んでいるのではないでしょうか。
今まさに裁判所から和解案が提示されている方も居るでしょう。
裁判所から提示されている和解案に納得できないけれど、和解を拒否すると判決に影響するのでは?と不安を抱えている方も多いかと思います。
この記事では、和解をしない場合の裁判の進み方や和解を拒否することによる影響、和解をした方がよいケースとしない方がよいケースについて解説しています。ぜひ、参考にしてください。
目次
不貞行為の裁判で和解しないとどうなる?
不貞行為の裁判で和解をしない場合、通常どおり判決に向けて手続きが進められます。
裁判所から和解案が提示されるタイミングは様々ですが、不貞行為の裁判の場合、当事者双方の主張と証拠が出揃い、尋問手続きを行う前に和解案が提示されることが多いでしょう。
したがって、このタイミングで和解をしない場合には、原則、尋問手続きをしたうえで、判決になります。
判決の内容
判決の内容は、原告の請求が全部または一部認められた場合、[被告は、原告に対し、○○円を支払え。]となります。原告の請求が全く認められなかった場合、[原告の請求を棄却する。]となります。
判決の内容に不服がある場合は控訴できる
判決の内容に不服がある場合は控訴ができます。
和解が成立した場合、和解で決まった内容を変更することは、原則できません。
ですから、判決の場合は控訴ができる点で、和解成立により終わる場合とは大きく異なります。
不貞行為の裁判で和解を拒否したら裁判官の心証は悪くなる?
不貞行為の裁判で和解を拒否しても、裁判官の心証に影響することはないでしょう。
裁判所からの和解案を受け入れるか否かは、裁判の当事者であるあなたが判断できます。
和解が成立しない場合、裁判官は判決を下しますが、判決は、裁判で争われている事実関係を当事者双方の主張と証拠をもとに認定します。
ですから、あなたが和解を拒否したことは、判決の内容を検討するうえでの判断に影響を及ぼさないと考えられます。
拒否した方がよいとまでは言えませんが、拒否したことによりあなたが不利になることはないでしょう。
不貞行為の裁判で和解をしない方がよい4つのケース
不貞行為の裁判で和解をしない方がよいケースは、次の4つです。
- 不貞行為の事実が全くない
- 不倫相手が既婚者であることを知らなかった
- 相手の主張を覆す有効な証拠がある
- 金銭のみでの解決をしたい
以下、詳しく見ていきましょう。
不貞行為の事実が全くない
不貞行為の事実が全くないケースです。
そもそも不貞行為とは、既婚者が配偶者以外の人と自由な意思に基づいて、性的関係を結ぶことです。性的関係には、性交渉そのものだけでなく、性交類似行為も含まれます。
不貞行為の事実が全くない場合には、民法上の不法行為に該当しないことから、不貞慰謝料の支払い義務は生じません。
したがって、不貞行為を推認させる事実が全くない場合には、和解をしない方がよいでしょう。
不倫相手が既婚者であることを知らなかった
不倫相手が既婚者であることを知らなかったケースです。
民法上の不法行為が成立するためには、加害者の故意または過失が必要です。
不倫相手が既婚者であることを知らなかった場合には、故意がありませんから、不法行為が成立せず、不貞慰謝料の支払い義務は生じません。
したがって、不倫相手が既婚者であると知らなかった場合には、和解をしない方がよいでしょう。
ただし、あなたの不注意で既婚者であることを知らなかった場合、つまり交際中の言動や態度により普通の人なら気付くような場合には、あなたに過失があったとして、不法行為が成立するので注意しましょう。
相手の主張を覆す有効な証拠がある
相手の主張を覆す有効な証拠があるケースです。
裁判では、当事者双方の主張が異なる場合、裁判官が証拠に基づき事実を認定します。
したがって、裁判では証拠が重要になります。
「相手の主張が事実ではない!」と単に反論するのではなく、相手の主張が事実ではないことを証明する証拠を提出する必要があります。
相手の主張を覆す有効な証拠がある場合には、和解をしない方がよいでしょう。
しかし、有効な証拠であるか否かの判断は、難しいことが多いです。
あなたが、十分な証拠であると思っていても、その証拠によってあなたに有利な方向へ働くとは限りませんので注意しましょう。
金銭の支払いのみでの解決をしたい
金銭の支払いのみでの解決をしたいケースです。
不貞行為の裁判の判決は、原則、金銭の支払いのみでの解決になります。
しかし、和解の場合は、金銭面のほかにも当事者の合意があれば、原則、その内容を自由に決められます。
そのため、相手側は金銭面のみではなく、あなたに謝罪を求めるといった精神面でも納得できるような内容を要求してくることが多いです。
不貞慰謝料裁判の和解の場合、以下のような内容が入れられることが多いです。
- 不貞行為について謝罪する文言
- 不倫相手との接触を禁止する文言
- 裁判の内容について第三者に口外しない文言
- 求償権を放棄する文言
したがって、あなたが上記のような取り決めはせずに、金銭の支払いのみでの解決をしたい場合には、和解をしない方がよいでしょう。
不貞行為の裁判で和解をした方がよい3つのケース
不貞行為の裁判で和解をした方がよいケースは、次の3つです。
- 敗訴する可能性が高い
- 早期に解決したい
- 経済的余裕がない
以下、詳しく見ていきましょう。
敗訴する可能性が高い
敗訴する可能性が高いケースです。
裁判官から和解案が提示された場合、その内容は判決になった場合を見越した内容になっていることから、和解案の内容と判決で示される内容が大きく異なることはほとんどありません。
裁判官によっては、和解案を提示した時点で、具体的な内容を示す場合もあります。これを、裁判官の心証開示と言います。
もちろん、尋問前に和解案が提示されたのであれば、尋問手続きを経たことによって、裁判官の心証が変わることもあるでしょう。しかし、その確率はかなり低いと考えられます。
したがって、和解案が提示されている段階で、その内容からあなたが敗訴する可能性が高い場合には、和解をした方がよいでしょう。
早期の解決を目指したい
早期の解決を目指したいケースです。
和解成立で終わる場合、判決で終わる場合と比較して、早期の解決ができるでしょう。
判決は、控訴ができることから、控訴がされた場合にはさらに裁判が長引くことになります。
したがって、早期の解決を目指したい場合には、和解をした方がよいでしょう。
あなたに経済的余裕がない
あなたに経済的余裕がないケースです。
判決の場合には、一括払いが原則です。しかし、和解の場合には、当事者間の合意で、分割払いの方法にできます。
話し合いによっては、提示されている和解案の慰謝料額よりも低い金額で和解が成立することもあるでしょう。
したがって、あなたに経済的余裕がない場合には、和解をした方がよいでしょう。
まとめ
和解をした方がよいかどうかは、事案によって異なることや、あなたがこの裁判で何を重視するかによって異なります。
この記事で紹介した和解をした方がよいケースとしない方がよいケースを参考に、和解をするかどうか検討していただければと思います。