あなたは今、「浮気相手との関係を断ち切ってほしい」との思いから、浮気相手に自主退社を要求したいと考えていませんか?
夫が同じ職場の女性と浮気をしていることが発覚したら、「ほとぼりが冷めたら浮気が再発するのではないか」と疑ってしまうのも無理もありません。
この記事では、夫の浮気相手に自主退社を要求できるか、自主退社してほしくてもやってはいけないことなどについて解説します。
感情に任せて発言したり、行動したりするのは賢明ではありません。この記事を参考に、今後の対応を冷静に検討しましょう。
目次
旦那の浮気相手に自主退社を要求できる?
あなたには、夫の浮気相手に対し、自主退社を強制できる法的な権利はありません。
退社するか否かは浮気相手が自分の意思で決定すべき事項であり、会社と浮気相手との雇用契約の問題であるためです。たとえあなたが浮気の被害者でも、その雇用契約の問題に関与できません。
なお、「自主退社してほしい」とのあなたの要望を、浮気相手に伝えること自体に問題はありません。あなたの要望を受け入れて自主退社する可能性もゼロではないため、希望として伝えてみてもいいでしょう。
夫との婚姻関係を継続する場合、浮気相手に自主退社してほしいと思うのは当然の感情ですが、自主退社の強制はできません。
浮気相手に自主退社してほしくてもやってはいけない4つのこと
浮気相手に自主退社してほしくてもやってはいけないこととして、主に以下の4つが挙げられます。
- 浮気相手に自主退社するよう脅す
- 浮気相手に暴力を振るい自主退社を促す
- 浮気相手の職場の第三者に浮気の事実をバラす
- 退職を促してもらうために浮気相手の職場に乗り込む
以下で、詳しく解説します。
浮気相手に自主退社するよう脅す
浮気相手に自主退社するよう脅してはいけません。
「自主退社しなければ浮気の事実をSNSで拡散する」「自主退社しなければ痛い目に合わせる」などと、害を加えることを告知して脅した場合、刑法第222条の脅迫罪が成立する可能性があるためです。
脅迫罪が成立した場合、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。
浮気相手に自主退社してほしくても、自主退社するよう脅す行為は控えましょう。
浮気相手に暴力を振るい自主退社を促す
浮気相手に暴力を振るい自主退職を促してはいけません。
浮気相手に対して暴行を加えた場合、刑法第208条の暴行罪が成立する可能性があるためです。
暴行罪が成立した場合、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料が科されます。浮気相手に自主退社してほしくても、暴力を振るい自主退社を促す行為は控えましょう。
浮気相手の職場の第三者に浮気の事実をバラす
浮気相手の職場の第三者に浮気の事実をバラしてはいけません。
第三者に浮気の事実をバラした場合、刑法第230条の名誉毀損罪が成立する可能性があるためです。
名誉毀損罪が成立した場合、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金が科されます。
浮気相手に自主退社してほしくても、職場の第三者に浮気の事実をバラす行為は控えましょう。
退職を促してもらうために浮気相手の職場に乗り込む
退職を促してもらうために、浮気相手の職場に乗り込んではいけません。
職場に乗り込んで業務を妨害した場合、刑法第234条の業務妨害罪が成立する可能性があるためです。
業務妨害罪が成立した場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。
浮気相手に自主退社をしてほしくても、退職を促してもらうために浮気相手の職場に乗り込む行為は控えましょう。
夫と浮気相手が同じ職場で再発が不安な場合の対処法
夫と浮気相手が同じ職場で再発が不安な場合の対処法として、主に以下の3つが挙げられます。
- 慰謝料を請求して不法行為であることを認識させる
- 浮気相手と誓約書を交わす
- 浮気相手に謝罪文を要求する
以下で、詳しく解説します。
慰謝料を請求して不法行為であることを認識させる
慰謝料を請求して不法行為であることを認識させることで、浮気の再発を防止できるかもしれません。
自らの行為が不法行為であることを知れば、再び関係を持つことを躊躇する可能性があるためです。
既婚者が配偶者以外の人と肉体関係を持つ行為(不貞行為)は、刑法上の罪ではありませんが、民法上の不法行為に当たります。そのため、浮気の被害者であるあなたは、民法第709条に基づき、当事者に対して不法行為に基づく損害賠償を請求できます。
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
慰謝料を請求すれば、夫と浮気相手の行為が不法行為であることを認識させられるため、浮気の再発を防止する効果が期待できます。
浮気相手と誓約書を交わす
浮気相手と誓約書を交わすことで、浮気の再発を防止できるかもしれません。
再度浮気をした場合の違約金について記載した誓約書を交わすことで、浮気の再発防止の抑止力となることが期待できるためです。
誓約書とは、関係の解消や慰謝料の支払いなど、当事者間で取り決めたことを記載した書面です。書面にすることで、浮気相手が浮気の事実や慰謝料の支払い義務を認めたことを、客観的に証明しやすくなります。そのため、約束が守られず訴訟となった場合も、重要な証拠となり得ます。
誓約書には、以下のような事項を記載すると良いでしょう。
- 浮気の事実
- 関係を解消することの誓約
- 慰謝料の金額と支払い方法
- 違反した場合のペナルティ
浮気相手に謝罪文を要求する
「浮気をしたことを謝罪してほしい」と思っているなら、浮気相手に謝罪文を要求しても良いでしょう。
浮気相手から謝罪を受けることで、気持ちを整理しやすくなるかもしれません。謝罪文を受け取ることで、浮気相手が浮気の事実を認めた証拠にもなり得ます。
ただし、浮気をしたからといって、相手には謝罪文を書かなければならない法的な義務はありません。謝罪や謝罪文の作成を強要するのは控えましょう。思わぬトラブルに発展するおそれがあります。
浮気相手に謝罪文を要求することで、怒りや悲しみの感情が和らぎ、冷静に対処しやすくなることが期待できます。
まとめ
浮気相手に自主退社するよう強制することはできません。
夫と浮気相手が同じ職場で働き続けることに不安を抱くのは当然ですが、感情的になって自主退社を強要すれば、あなたが罪に問われるおそれがあります。冷静な対応を心がけましょう。
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