既婚者なのに不倫をしてしまい、別れようと思ったら手切れ金を請求された。
できれば手切れ金を支払いたくないけど、家族や職場には、不倫をしたことは絶対にばれたくない。
手切れ金を支払うしかないのか、支払いさえすれば安心なのか。
穏便に不倫関係を清算する方法について、悩みますよね。
手切れ金を請求されたら状況に応じて対応を変えるべきです。なぜなら手切れ金の支払義務がない一方で、支払わないことによるリスクも存在するからです。
そこでこの記事では、以下のテーマについて解説をしていきます。
・手切れ金の支払いを検討した方が良い2つのケース
・手切れ金を支払うことによる2つのメリット
・手切れ金を支払う上で知ってほしい5つのポイント
この記事を読み終わったあなたは、手切れ金を支払うべきかどうかという悩みから解放され、不倫相手と穏便に別れるための第一歩を踏み出すことができるでしょう。
目次
不倫相手から請求された手切れ金に支払の義務はない
不倫相手から請求された手切れ金に支払の義務はありません。
手切れ金とは不倫関係を清算するために便宜上使われている言葉にすぎず、不倫をして別れるからといって、不倫相手に対して何らかの法的な義務が発生するわけではないからです。
法的な義務がないということは、たとえば、手切れ金を支払えという裁判を起こされたとしても、不倫をして別れることを理由に手切れ金を支払いなさいという判決は出ないということです。
法的な義務がないからといって、手切れ金を支払う必要がないとは言い切れません。
以下で、手切れ金の支払いを検討した方が良いケースについて紹介します。
手切れ金の支払いを検討した方が良い2つのケース
手切れ金の支払いを検討した方が良いケースとは、下記①②のようなケースです。
- ケース①:不倫相手が配偶者や就業先の情報を持っている
- ケース②:不倫相手にストーカーの気質がある
ケース①②のどちらか、あるいはどちらも当てはまる人は、手切れ金の支払いを検討しましょう。
①②のいずれも当てはまらない人は、支払いを拒否して、不倫相手との連絡を断ってもいいかもしれません。
①②のいずれも当てはまらない人でも、下記の手切れ金を支払うメリットや支払う場合の注意点を確認してみてください。
不倫相手の性質によっては、手切れ金を支払った方が円滑に協議できるかもしれません。
ケース①:不倫相手が配偶者や就業先の情報を持っている
不倫相手があなたの配偶者や就業先の情報を持っている場合、手切れ金の支払いを検討すべきです。
既婚者にとって、不倫の事実を配偶者や就業先に暴露されることは避けたいはずです。
不倫相手は、あなたの配偶者の情報を持っていますか。
【ここでいう配偶者の情報とは】
- 名前
- 住所
- 電話番号
- メールアドレス
- SNSアカウント
- 就業先 等
【不倫相手が配偶者の情報を持っている場合に想定されるリスク】
名前
インターネット検索 ⇒ SNSアカウント判明 ⇒ SNSを通して配偶者に連絡
住所
・自宅に訪問
・手紙送付
電話番号・メールアドレス
・電話をかける
・メールを送る
就業先
・配偶者就業先に訪問
・電話をかける
・手紙送付
【不倫相手があなたの就業先を知っている場合に想定されるリスク】
・不倫相手が就業先に乗り込んでくる
・不倫相手が就業先に電話をかける
⇒従業員の個人的な情報として無視される場合もありますが、上司から事実関係を確認されたり、場合によっては降格されたり不利益を被ることもあります。
不倫を理由とした降格人事の当否は別としても、このような事実が就業先に知られること自体避けたいところです。
不倫相手があなたの配偶者の情報を持っているときは、手切れ金の支払いを検討しましょう。
ケース②:不倫相手にストーカーの気質がある
不倫相手にストーカーの気質がある場合、手切れ金の支払いを検討すべきです。
一方的に別れを告げられ、要求した金銭も支払われないということで、精神的に追い詰められ、ストーカー化してしまう人がいます。
ストーカー化してしまう人の特徴は、
- 嫉妬深い
- 交際時、あなたの予定を知りたがっていた
- あたたからの連絡に対して、返信が遅いなどよく文句を言っていた
- あなたの交流関係に口を出していた
- あなたの行動を制限したがった
- あなたの家族のことを知りたがった
- 恋愛経験が過度に少ない
- 妄想的
- 思い込みが激しい
など、恋愛感情以上の執着心を持つタイプです。
不倫相手がこれらにあてはまるときは、手切れ金の支払いを検討しましょう。
手切れ金を支払うことによる2つのメリット
手切れ金を支払うことには下記2つのメリットがあります。
- 不倫相手の怒りを鎮めるきっかけとなる
- 不倫の暴露やストーカー化などのリスクを抑えられる
手切れ金を支払う法的義務はなくても、円満に不倫関係を解消することも大切です。法的義務がないということで手切れ金の請求を拒否すると、不倫相手の神経を逆なですることになります。
以下で、手切れ金を支払うことによる2つのメリットについて紹介します。
不倫相手の怒りを鎮めるきっかけになる
不倫相手が手切れ金を請求する理由はあなたに怒りを感じているからです。
配偶者がいながら自分と交際し、都合が悪くなったら何事もなかったかのように配偶者のもとに帰る。自分は都合よく利用されただけ…という感情を鎮めてほしいと考えているからです。
そうだとすると、不倫相手の請求に応えることは、不倫相手の怒りを鎮めるきっかけになります。不倫相手の怒りが鎮まれば、穏便に別れ話ができるかもしれません。
請求額満額支払わなくても一部支払うことでその後穏便に協議できるのであれば、支払うことのメリットは大きいです。
不倫の暴露やストーカー化などのリスクを抑えられる
不倫相手からの手切れ金請求に応えることで、不倫の暴露やストーカー化などのリスクを抑えることができます。
不倫の暴露は、不倫相手にとってもリスクのある行為だと知ってもらおう
不倫相手にとっても不倫の暴露にリスクがあることがわかれば、不倫の暴露をちらつかせる相手に対しては、手切れ金の一部でも支払えば円満に別れることができるかもしれません。
【不倫の暴露による不倫相手に生じるリスクとは】
配偶者からの慰謝料請求
⇒配偶者は、不倫を原因とした損害賠償(慰謝料)請求をする可能性があります。
不倫相手自身の社会的評価の低下
⇒不倫相手が同僚の場合、就業先への暴露は、自身の評価を下げる可能性があります。
交際相手からのプライバシー権侵害に基づく損害賠償請求
⇒不倫の事実は、交際相手にとってプライバシーにかかわる事情です。
勝手に暴露することは、交際相手のプライバシー権の侵害にあたり、損害賠償請求される可能性があります。
以上のとおり、不倫相手にとっても不倫を暴露することにはリスクが伴います。
不倫相手自身、リスクは最小限に抑えたいはずなので、手切れ金の一部でも支払えば、関係を円満に解消できる可能性は高いです。
不倫相手のストーカー化を防ごう
不倫相手にストーカーの気質がある場合、交際相手には誠実さを求めることが多いです。不倫をしている時点で誠実とは言えませんが、せめて手切れ金を支払うことで、誠実さを示すことができるでしょう。
あなたの誠意をうけとることで、不倫相手の気持ちがおさまる可能性は高いです。
手切れ金を支払う上で知ってほしい5つのポイント
手切れ金を支払うことに決めたら、下記の5つのポイントを押さえましょう。
- 手切れ金額の相場について
- 減額交渉について
- 支払方法について
- 合意書作成について
- 弁護士への相談について
手切れ金を支払うことに決めた場合でも、漫然と支払ってはいけません。
手切れ金の支払いは、あくまでも、あなたと不倫相手の関係を穏便に解消するための手段にすぎないからです。
以下で、手切れ金を支払う上で知ってほしい5つのポイントについて紹介します。
金額は様々な事情を考慮して総合的に判断するしかない
不倫の手切れ金額に相場はありません。
不倫の手切れ金の金額は、様々な事情を考慮して総合的に判断するしかありません。不倫の手切れ金には法的な支払い義務がないため、裁判例がないからです。
考慮される事情は以下のとおりです。
項目 | 事情と効果 |
交際期間 | 長い方が高額化 |
経済力 | 高い方が、支払能力ありとされ、高額化 |
社会的地位 | 高い方が、社会的地位の低下に大きく影響するので、高額化 |
交際の態様 | ・別れたい方が交際のきっかけを作った ・相手は不倫を嫌がっていた ・相手が別れを希望したとき引き留めた等、手切れ金を請求されている方に悪質性がある場合、高額化 |
150万円以上請求された場合は減額交渉を視野に入れるべき
そうはいっても、150万円以上請求された場合は、減額交渉を視野に入れるべきです。
不倫相手の気持ちやリスクを考えたとしても、法的義務がない以上、本来支払わなくてよい金銭ということになります。
過度な請求や恐喝に屈せず、毅然とした態度を示すことは、不倫相手を冷静にさせ、円満な解決をはかることにつながります。
出金履歴を残してはいけない
手切れ金を支払う場合、配偶者も見ることができる預金口座から入金してしまうと、出金履歴から不倫を疑われる可能性があります。
1度に100万円以上の出金があると、普通は用途を疑います。
分割にしたとしても、同日、同じ口座に複数振り込みがされていると疑われるでしょう。支払いが終了するまで不倫相手との関係が完全には解消しないことを考えると、早期に支払いを完了させる必要性も高いです。
履歴が残らない現金で一括で支払うか、履歴内容を配偶者に見られないよう工夫が必要です。
清算条項を含む合意書を作成する
手切れ金を支払う前に、将来さらなる金銭請求をされないため、清算条項を含む合意書を作成しましょう。
清算条項とは、今後は当事者双方債権も債務もないということ確認する条項です。清算条項があれば、将来金銭の請求がされても、支払を拒否することができます。
清算条項のほかにも、交際関係を清算する、交際していたことについて口外しない、家族に接近しないなど、双方にとって必要な条項を盛り込みましょう。
弁護士に相談する
不倫相手から手切れ金として150万円以上を請求された場合は、弁護士に相談しましょう。
弁護士に相談するメリットは以下のとおりです。
① 手切れ金の減額が期待できる
本来手切れ金には法的な支払い義務はありません。
法律の専門家である弁護士が介入し、支払義務がないことを説明することで、不倫相手も手切れ金の減額に応じることが期待できます。
② 不倫相手と連絡をとらなくてすむ
弁護士に依頼すれば、以後不倫相手とのやりとりはすべて弁護士を通して行うことになります。
不倫相手と協議交渉するストレスから解放されます。
③ 手切れ金の入金もしてもらえる
出金履歴を残さないというポイントがありました。
弁護士に依頼すれば、仮に手切れ金を支払うことになったとしても、弁護士から手切れ金の支払いをしてもらえます。
弁護士の預金口座への入金履歴が残ることに不安を感じる場合は、弁護士に相談してみてください。
④ 合意書を作成してもらえる
弁護士に依頼すれば、弁護士が合意書を作成します。
手切れ金を支払うだけでは、完全に解決したとは言えません。手切れ金を支払う以上、不倫相手との関係は完全に解消し、将来の不安はすべて消しておきたいところです。
法律の専門家である弁護士は、どんな内容の合意書を作れば依頼者であるあなたが損をしないか、安心して不倫関係を解消できるか、法的視点からアドバイスします。
まとめ
軽い気持ちで不倫をし、関係を清算しようと思ったら不倫相手から手切れ金を請求された場合、金額によっては手切れ金を支払って円満に別れる方が経済的にも時間的にも利益となる場合があります。
不倫をしたのに、何の問題もなく円満に解消できるような相手であれば、そもそも手切れ金の請求などしてこないでしょう。
相手を傷つけた分と割り切って手切れ金を支払うと決めた場合でも、請求されている金額によっては、自分で対応せず、法の専門家である弁護士に依頼した方がより利益となります。
弁護士費用がかかることを考えても、弁護士に依頼するメリットは大きいです。
不倫相手から手切れ金を請求されたら、事案にそった解決ができるよう、弁護士に相談しましょう。