更新日:2026年8月13日 (木)

公開日:2026年8月13日 (木)

その広告表現、なぜNGなのか~HIFU・オンダリフトをめぐる表現規制~

その広告表現、なぜNGなのか~HIFU・オンダリフトをめぐる表現規制~ その広告表現、なぜNGなのか~HIFU・オンダリフトをめぐる表現規制~

サマリー

HIFUやオンダリフトを扱うエステサロンの広告は、効果を断定する表現が景品表示法、機器の効能をうたう表現が薬機法、そして施術そのものが医師法との関係で問題になり得ます。
令和6年には、無資格者によるHIFU施術が医師法17条に違反するとの厚生労働省の通知も出されました。オンダリフトも作用の仕組みはHIFU施術と共通しており、同様の注意が必要となります。

HIFUやオンダリフトを取り入れているエステサロンでは、「切らないリフトアップ」「医療級の引き締め効果」といった表現が広告に使われることがあります。
しかし、こうした表現は、法律上の規制に触れる可能性があります。本稿では、エステサロンの広告担当者が確認しておくべき項目を整理します。

チェックリスト:HIFU・オンダリフト広告における確認項目

以下の項目は、HIFU・オンダリフトを扱うエステサロンが自社の広告表現を見直す際の目安となります。

  • 施術内容自体が、医師でなければ行えない医行為に該当しないか
  • 効果を断定的に示す表現になっていないか
  • 使用機器が医療機器として承認されたものであることを強調する表現になっていないか
  • 「手術」など医療行為を想起させる語を使用していないか
  • 効果の持続性について合理的な根拠を示さずに述べていないか

医師法17条は、「医師でなければ、医業をなしてはならない。」と定めています。医業とは、医行為を業として行うことをいいます。厚生労働省の通知では、医行為とは、医師の医学的判断および技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼす、または危害を及ぼすおそれのある行為とされています。HIFU・オンダリフトはいずれも、超音波やマイクロ波によって皮下組織に熱変性を生じさせ、脂肪細胞を減少させる、またはリフトアップ効果を得る施術であり、この定義に該当する可能性があります。

施術内容が医行為に該当する場合、その効果を広告で示すこと自体が、無資格での医行為の提供を宣伝することになりかねません。広告表現の適否は、施術そのものの適法性と切り離して考えることができない点に注意が必要です。

特に誤りやすい項目の解説

効果を断定する表現

個人差のある効果を、確実な結果であるかのように示す表現は、景品表示法5条1号が禁じる優良誤認表示(商品又は役務の内容について、実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認される表示)に該当するおそれがあります。根拠となるデータや個人差がある旨の記載を伴わない断定的な表現は、避けることが望ましいといえます。

また、使用する機器が組織や細胞に直接作用する旨を示す表現は、その機器を医療機器として広告するものと評価される場合があり、この場合には薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)上の規制が及びます。薬機法66条1項は、「何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。」と定めており、「何人も」とあるとおり、事業者の業種を問わず適用されます。加えて、承認を受けていない機器について効能または効果を広告することは、薬機法68条が禁じる未承認の医療機器等の広告に該当するおそれがあります。

医療機器であることを強調する表現

使用機器が医療機器として承認されている旨を示す表現は、一見すると効果の裏付けとして訴求力があるように思われます。しかし、この表現は、医師のいない施設でその機器を使用している事実と矛盾します。医療機器であることを強調すればするほど、施術自体が医行為に該当する可能性を自ら示すことにもなりかねません。この点は、広告表現を検討するうえで見落とされやすい点です。

行政通知が出ていないことをどう考えるか

HIFU(高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)を用いた治療)については、令和6年6月7日、厚生労働省医政局医事課長が「医師免許を有しない者が行った高密度焦点式超音波を用いた施術について」(医政医発0607第1号)と題する通知を発出し、無資格者による施術が医師法17条に違反することを明示しました。この通知の背景には、消費者庁の消費者安全調査委員会が令和5年3月29日に公表した事故等原因調査報告書があります。

一方、オンダリフトについては、現時点で機器名を名指しした厚生労働省の通知は確認されていません。しかし、皮下組織に熱変性を生じさせるという作用の仕組みはHIFUと共通しており、超音波かマイクロ波かというエネルギーの種類の違いは、医行為該当性の判断において決定的な差異にはならないと考えられます。通知が発出されていないことは、行政が安全性を認めた結果ではなく、個別の注意喚起がまだ行われていない状態を示すにすぎません。

広告表現の適法性を、行政通知の有無だけで判断することは適切ではないといえます。個別の機器や施術について不明な点がある場合は、行政の最新の見解を確認したうえで、慎重に対応することが求められます。

問題が見つかった場合の対応

医師法違反の容疑が生じた場合、捜索、施術機器・顧客カルテ等の押収、関係者への取調べという手続がとられることがあります。事案によっては、逮捕・勾留に至る例もあります。法定刑は3年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはこれらの併科です(医師法31条1項1号)。

広告表現のみが問題とされる場合であっても、景品表示法違反として措置命令や課徴金納付命令の対象となる可能性があり、違反内容が公表されることで信用の毀損につながることがあります。刑事責任の有無にかかわらず、広告表現の見直しは経営上のリスク管理として重要な位置づけにあります。

HIFU・オンダリフト等の機器を用いた施術を提供している、または導入を検討しているエステサロンでは、施術内容自体が医行為に該当しないか、広告表現が効果を断定する内容になっていないか、使用機器の位置づけと広告表現に矛盾がないかを、あらかじめ確認しておくことが望ましいといえます。表現の一つひとつについて根拠となる法律と照らし合わせながら点検する体制を整えることが、トラブルの予防につながります。

まとめ・ご相談はネクスパート法律事務所へ

HIFU・オンダリフトを扱うエステサロンの広告表現は、施術内容が医行為に該当するかどうかという問題と切り離せません。効果を断定する表現、医療機器であることを強調する表現、「手術」等の語の使用については、順に景品表示法、薬機法、医師法との関係で見直しの余地がないかを確認することが望ましいといえます。また、行政通知の有無は判断の唯一の基準にはならず、機器の作用機序に着目した検討が必要です。

ネクスパート法律事務所では、薬機法・医療法に関する法律相談をはじめとして、企業の法律問題に関する様々なご相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。

※本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。具体的な対応については弁護士にご相談ください。

コラム監修者

Shunsuke Teragaki

Shunsuke Teragaki

所属:代表(東京オフィス)

広島県広島市出身。修道高校、慶應義塾大学商学部、青山学院大学法科大学院を卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、個人・法人問わず幅広い分野の相談・交渉に取り組む。ネクスパート法律事務所の代表弁護士として、依頼者に最適な見通しと戦略的な解決策を示すことを信条とし、丁寧かつ粘り強い対応で信頼を築いている。

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