解決結果のサマリー
※プライバシー保護のため、事例の内容は特定できないよう一部変更し、金額は概数で記載しています。
※解決結果は個別の事案の内容に基づくものであり、同種の結果を保証するものではありません。
事例の概要
ご依頼者のAさんは、女性です。SNSで相手からメッセージを受けたことをきっかけに男性Bさんと交際を始め、2年ほど関係が続きましたが、Bさんが既婚であることは知らされていませんでした。関係がBさんの妻Cさんに知られ、Cさんの代理人弁護士から、2年間にわたる多数回の関係で別居を余儀なくされたとして慰謝料300万円を求める内容証明が届きます。当事務所は受任後、Aさんが既婚であることを知り得なかった事情——連絡がいつでも取れたこと、宿泊を伴う関係だったことなど——を組み立てて、法的には慰謝料の支払義務はないと明言。そのうえで、早期解決のための解決金として請求額の1割に満たない額を提示し、それ以上を求めるのであればBさん本人に請求すべきであると付しました。その後、Aさんの支払能力に合わせて月々一定額の分割案を当方から示したところ、相手方はそれに沿った解決金40万円・月々の分割の和解書案を作成し、締結に至りました。担当は北條さやか弁護士です。
請求300万円に対し、合意額は40万円(約87%減)。支払いは月々一定額の分割で1年弱。手続はすべて代理人間の書面のやり取りで進み、訴訟にはなっていません。
ご相談時の課題
表面上の課題
- 相手方に弁護士が付き、300万円の内容証明が届いた
- Bさんが既婚であることは、知らされていなかった
- 相手方は2年間の多数回の関係と別居を主張していた
- 裁判は避けたく、一括では払えないが、一定額は覚悟していた
本当の課題は3つ
- 既婚と知り得たかどうか——不倫の慰謝料は、相手が既婚であることを知っていたか知り得たことが前提です。Aさんが知らず、知り得なかったのであれば、法的な支払義務は生じません。この主張を、具体的な事実で組み立てる必要がありました
- 「法的責任なし」と「早期解決」の両立——法的な支払義務を争う立場を明言しながら、裁判を避けて早く終わらせたいというAさんの希望に沿うには、解決金という位置づけで現実的な提示をする必要がありました
- 支払能力に合わせた分割——一括では払えないAさんの事情を踏まえ、月々確実に払える額を当方から示す設計が必要でした
Aさんはご相談時に「内容が証拠不十分なものばかりであり、請求金額は過剰と考えられます」「妻子がいること自体は知らなかった」「裁判にはしたくない」「一括で払えない」と話されていました。
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
弁護士の対応
(1) 「既婚と知り得なかった」事情を組み立てる
受任後、当事務所は受任通知を送り、Aさんから経緯を詳しく聴取しました。連絡がいつでも取れたこと、宿泊を伴う関係だったことなど、Aさんが既婚であることを知り得なかったと言える事情を積み上げ、法的には慰謝料の支払義務はないとの立場を書面で明言しました。
(2) 解決金を提示し、「それ以上はBさんに」と付す
そのうえで、当事務所は、早期解決のための解決金として請求額の1割に満たない額を提示し、それ以上を求めるのであればBさん本人に全額を請求すべきであると付しました。法的責任を争う立場と、早期に終わらせたい依頼者の希望を、解決金という位置づけで両立させた形です。
(3) 支払能力に合わせた分割案を当方から示す
その後、当事務所は、Aさんが月々確実に払える額を確認したうえで、月々一定額の分割案を当方から示し、合意書案の作成を相手方に依頼しました。相手方は、これに沿って解決金40万円・月々の分割の和解書案を作成して送付してきました。
(4) 求償権放棄に違約金を組み合わせた和解書で締結
和解書には、解決金40万円の分割払い、支払いが滞った場合の期限の利益喪失と遅延損害金、Bさんに対する求償権の放棄、そして求償した場合にはBさんから受け取った額と同額を相手方に支払うという定め、清算条項が置かれていました。求償権放棄に違約金を組み合わせることで、放棄の実効性を確保する設計です。当事務所は条項をAさんに説明したうえで応諾し、締結。Aさんは合意した分割を履行しました。
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
- 受任後、相手方からの連絡はすべて事務所へ
- 交際の経緯と、既婚と知らなかった事情を詳しく共有し、主張の土台に
- 月々払える額を伝えて分割案の土台にし、和解書の条項の説明を受けて締結。分割を履行
解決結果
ご依頼前、Aさんは既婚と知らなかった関係について300万円を請求され、裁判を避けたい一方で一括では払えない状態でした。
解決時には、金額は300万円から40万円へ。法的な支払義務を争う立場を明言したまま、解決金として合意しました。和解書には、解決金の分割払い、支払いが滞った場合の期限の利益喪失と遅延損害金、Bさんに対する求償権の放棄(求償した場合はBさんから受け取った額と同額を相手方に支払う定め付き)、清算条項が置かれ、不貞の事実を認める条項は含まれていません。接触禁止条項も置かれていません。Aさんは合意した月々の分割を履行して終結しました。
担当弁護士からのコメント(北條さやか弁護士)
相手が既婚であることを知らなかった、というご相談があります。不倫の慰謝料は、相手が既婚であることを知っていたか知り得たことが前提です。本件では、知り得なかったと言える事情を積み上げて法的な支払義務はないと明言しつつ、裁判を避けたいご本人の希望に沿って解決金を提示しました。支払能力に合わせた分割案を当方から示したことで、相手方がそれに沿った和解書案を作成しています。争う立場と現実の出口は、両立させることができます。
この事例に関するよくある質問
Q1. 相手が既婚だと知りませんでした。それでも慰謝料を払うのですか?
不倫の慰謝料は、相手が既婚であることを知っていたか知り得たことが前提です。本当に知らず、知り得なかったのであれば、法的な支払義務は生じないと主張できます。本事例では、その立場を明言したうえで、早期解決のための解決金として40万円で合意しました。結果は事案によって異なります。
Q2. 「知り得なかった」と主張するには、何が必要ですか?
連絡がいつでも取れたか、宿泊を伴う関係だったか、相手の生活の様子はどうだったかなど、既婚であることをうかがわせる事情がなかったことを具体的に示す必要があります。本事例でも、こうした事実を積み上げて主張しました。
Q3. 法的に払う義務がないなら、払わなくてよいのですか?
法的な立場を争っても、相手方が訴訟に踏み切れば時間と費用がかかります。裁判を避けたい場合、解決金という位置づけで現実的な額を提示することがあります。本事例もその形で合意しました。
Q4. 一括では払えません。分割にしてもらえますか?
支払能力は、支払い方法を決めるうえで重要な事情です。本事例では、月々確実に払える額を当方から分割案として示し、相手方がそれに沿った和解書案を作成しました。