解決結果のサマリー
※プライバシー保護のため、事例の内容は特定できないよう一部変更し、金額は概数で記載しています。
※解決結果は個別の事案の内容に基づくものであり、同種の結果を保証するものではありません。
事例の概要
ご依頼者のAさんは、独身の女性です。以前からの知人である既婚男性Bさんと長年にわたる関係があり、Bさんが妻Cさんにその事実を告げたことから、Cさんの代理人弁護士より慰謝料500万円を求める通知が届きました。通知には、婚姻関係は完全に破綻し、期限内に支払わなければ裁判に移行すると記されていました。当事務所は受任後、謝罪の意向とともに相手方ご夫婦の別居・離婚の有無とBさん本人への請求の有無を照会。婚姻関係は破綻し今後離婚協議に入ること、Bさんからの受領はないことの回答を踏まえ、200万円・一括を提示しました。相手方は400万円なら応じると回答し、当事務所は250万円を「最終の提示」として示しました。相手方は訴訟の提起も検討しているとしつつ、250万円以上での再検討を求め、その後280万円を示してきたため、当事務所は270万円を再提示。相手方はこれを受け入れ、270万円・一括で締結しました。担当は北條さやか弁護士です。
請求500万円に対し、合意額は270万円(約46%減)。支払いは一括で、受任から締結まで数か月。手続はすべて代理人間の書面のやり取りで進み、対面も訴訟もありませんでした。
ご相談時の課題
表面上の課題
- 相手方に弁護士が付き、500万円の請求が届いた
- 相手方は婚姻関係が完全に破綻したとし、離婚協議に入るとしていた
- 期限内に支払わなければ裁判に移行すると記されていた
- 関係は長年にわたっており、金額が高くなる事情があった
本当の課題は3つ
- 離婚に至る事案の水準——相手方夫婦が離婚に向かう事案は、婚姻関係が継続している事案より慰謝料が高くなる傾向があります。請求額そのものではなく、裁判例の水準との差を根拠に交渉する必要がありました
- 「最終提示」の使い方——「最終の提示」と明示することは、相手方に判断を迫る材料になる一方、その後の交渉を縛ります。最終提示の後に相手方が動いた場合、どう応じるかの設計が必要でした
- 訴訟の予告への向き合い方——相手方は訴訟の提起を検討していると通知していました。訴訟になれば時間と費用がかかり、判決で相手方の主張する水準になるおそれもあります。訴訟前に金額を確定させることが現実的な目標でした
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
弁護士の対応
(1) 前提事実を照会し、200万円から提示する
受任後、当事務所は受任通知を送り、謝罪の意向とともに、相手方ご夫婦の別居・離婚の有無とBさん本人への請求の有無を照会しました。相手方からは、婚姻関係は完全に破綻し今後離婚協議を予定していること、Bさんから受領した金銭はないことの回答がありました。当事務所は、離婚に向かう事案であることを踏まえつつ、反省の意思を示す趣旨を付して200万円・一括を提示しました。
(2) 250万円を「最終の提示」として示す
相手方は、400万円であれば応じると回答しました。当事務所は、250万円を最終の提示として示し、これ以上の上積みは想定していない旨を明確にしました。
(3) 相手方が訴訟を検討しつつ引き下げ、当方が再提示する
相手方は、訴訟の提起も検討しているとしつつ、250万円以上での再検討を求め、その後280万円を示してきました。当事務所は、最終提示を示した後ではあるものの、訴訟に移行した場合の時間と費用、判決の見通しを踏まえて、270万円を再提示。相手方はこれを受け入れました。
(4) 合意書を確認して締結
相手方が作成した合意書案には、不貞の事実の確認と謝罪、慰謝料270万円の一括払い、遅延損害金、相互の接触禁止、清算条項が置かれていました。当事務所は条項をAさんに説明したうえで応諾し、双方が記名押印して締結。Aさんは期限内に一括で振り込みました。
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
- 受任後、相手方からの連絡はすべて事務所へ
- 関係の経緯を整理して共有し、提示の土台に
- 最終提示の方針と、その後の相手方の動きへの対応について説明を受けて判断
解決結果
ご依頼前、Aさんは離婚に向かう相手方夫婦からの500万円の請求と裁判の予告を前にしていました。
解決時には、金額は500万円から270万円へ。当方の最終提示を相手方が上回る形で応酬が続きましたが、訴訟に移行することなく確定しました。合意書には、不貞の事実の確認と謝罪、慰謝料の一括払い、支払いが遅れた場合の遅延損害金、権利の行使や義務の履行のために必要な場合を除く相互の接触禁止、清算条項が置かれ、Aさんは期限内に振り込んで終結しています。相手方本人とAさんが直接やり取りする場面はありませんでした。
担当弁護士からのコメント(北條さやか弁護士)
相手方夫婦が離婚に向かう事案では、慰謝料の水準は上がります。それでも、請求額と裁判例の水準の間には差があります。本件では、200万円から組み立て、250万円を最終提示と明示して相手方に判断を迫りました。相手方が訴訟を検討しつつも引き下げてきた段階で、訴訟に移行した場合の見通しを踏まえて270万円で確定させています。「最終提示」は相手方を動かす材料ですが、その後に相手方が動いたときにどう応じるかまで、あらかじめ設計しておくことが大切です。
この事例に関するよくある質問
Q1. 相手方夫婦が離婚するそうです。慰謝料は高くなりますか?
離婚に至る事案は、婚姻関係が継続している事案より慰謝料が高くなる傾向があります。ただし、請求額がそのまま認められるわけではなく、裁判例の水準との差を根拠に交渉する余地があります。本事例では、500万円の請求が270万円での合意となりました。
Q2. 「最終の提示」と言った後に、相手が少し下げてきました。応じてよいのですか?
事案によります。「最終提示」は相手方に判断を迫る材料ですが、その後に相手方が動いた場合、訴訟に移行した場合の見通しと比べて応じるかどうかを判断します。本事例では、最終提示の後に相手方が引き下げてきた段階で、再提示して確定させました。
Q3. 相手が「裁判に移行する」と言っています。急いで払うべきですか?
訴訟の予告は交渉上よく使われる表現で、直ちに提訴されるとは限りません。一方で、訴訟になれば時間と費用がかかります。本事例では、訴訟の検討を告げられた後も交渉を続け、訴訟前に金額を確定させました。
Q4. 長年の関係でした。金額に影響しますか?
関係の期間は、慰謝料の水準を左右する事情の一つです。本事例でも長年の関係であったことを踏まえて水準を組み立てましたが、それでも請求額から大幅に減額された額で合意しました。