解決結果のサマリー
※プライバシー保護のため、事例の内容は特定できないよう一部変更し、金額は概数で記載しています。
※解決結果は個別の事案の内容に基づくものであり、同種の結果を保証するものではありません。
事例の概要
ご依頼者のAさんは、Bさんと数年にわたり交際していました。Bさんは婚姻していましたが、Aさんとの交際が始まる数年前から配偶者のCさんと別居しており、その後、Cさんとの離婚が成立しています。ところが離婚の後、Cさん本人の名前で、AさんとBさんの関係を理由に慰謝料300万円を求める内容証明が届き、離婚もAさんのせいだと告げられました。相手方に弁護士は付いていません。当事務所は受任後直ちに相手方本人に書面を送り、交際が始まった時点で既に長年の別居があり婚姻関係は破綻していたと考えられる以上、法的には慰謝料の支払義務はないとの立場を示したうえで、早期解決のための解決金として請求額の1割程度を提示。相手方本人との協議を経て、解決金50万円・一括で合意しました。合意書は当事務所が起案し、相互の接触禁止と清算条項に加えて、相手方がAさんとBさんの関係に一切干渉しないことを約束する条項を置いて、相手方本人の署名で締結しています。担当は北條さやか弁護士です。
請求300万円に対し、合意額は50万円(6分の1)。受任から締結まで数週間で、Aさんが相手方本人と直接やり取りする場面は、受任後はありませんでした。
ご相談時の課題
表面上の課題
- 相手方本人の名前で、300万円の内容証明が届いた
- 相手方夫婦は長年別居しており、交際はその後に始まっていた
- 相手方は、離婚もAさんのせいだと主張していた
- 早く解決したく、相手方が騒ぎ立てるようであれば一定額を支払う意向があった
本当の課題は3つ
- 婚姻関係破綻後の交際か——不倫の慰謝料は、婚姻関係が破綻していない夫婦の一方と関係を持ったことで、婚姻共同生活の平和を侵害したことに対するものです。交際が始まった時点で既に長年別居し、婚姻関係が破綻していたと言えるなら、法的な支払義務は生じないと主張する余地があります
- 本人請求への向き合い方——相手方に弁護士がいない場合、法的な立場を書面で明確に示したうえで、現実的な解決金を提示する運びが有効です。争う姿勢だけでは長引き、支払う姿勢だけでは根拠のない金額になります
- 今後の干渉を止める——Aさんは、Bさんとの関係を続ける意向でした。金額の合意だけでは、相手方が今後も関係に口を出してくる不安が残ります。条項で手当てする必要がありました
Aさんはご相談時に「とにかく早く解決をしたい」「金をくれと騒ぎ立てるようであれば解決金を支払いたい」と話されていました。
弁護士の対応
(1) 受任後直ちに、法的な立場を書面で示す
受任後、当事務所は直ちに事実関係を整理し、受任後直ちに相手方本人に受任通知を送りました。書面では、AさんとBさんの交際が始まった時点で既に相手方夫婦は長年別居しており、婚姻関係は破綻していたと考えられること、したがって法的には慰謝料の支払義務はないとの立場を明示。そのうえで、早期解決の観点から、解決金として請求額の1割程度を提示しました。
(2) 相手方本人との協議で解決金を確定する
相手方本人との協議を経て、解決金50万円で合意しました。法的な支払義務を争う立場は崩さず、争いを長引かせるより早期に終わらせることを優先した、Aさんの意向に沿った着地です。
(3) 「今後の関係に干渉しない」条項を置く
相手方に代理人がいないため、合意書は当事務所が起案しました。解決金の一括払いと清算条項に加え、相手方とAさんが正当な理由なく互いに接触しない相互の条項を置き、さらに、相手方がAさんとBさんの関係について一切干渉しないことを約束する条項を加えています。金額の合意だけでは残る「今後も口を出されるのではないか」という不安を、条項で手当てした設計です。違約金は置かず、誓約型のシンプルな構成にしています。
(4) 本人に署名してもらい締結
当事務所は合意書2通を相手方本人に送り、署名して返送してもらう形で締結しました。Aさんは期限内に相手方の口座へ一括で振り込み、終結しています。
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
- 受任後、相手方からの連絡はすべて事務所へ
- 別居の時期と交際開始の時期を整理して共有し、主張の土台に
- 解決金の水準と、不干渉条項の意味について説明を受けて判断
解決結果
ご依頼前、Aさんは長年別居していた夫婦の一方との交際について、離婚の責任まで負わされる形で300万円を請求されていました。
解決時には、金額は300万円から解決金50万円へ。法的な支払義務を争う立場を維持したまま、早期解決のための解決金として合意しました。合意書には、解決金の一括払い、清算条項、相互の接触禁止に加え、相手方がAさんとBさんの関係に一切干渉しないことを約束する条項が置かれています。Aさんは期限内に相手方の口座へ振り込み、終結しました。受任後、相手方本人がAさんに直接連絡する場面はありませんでした。
担当弁護士からのコメント(北條さやか弁護士)
交際が始まった時点で、相手の夫婦が既に長年別居していたというご相談があります。婚姻関係が破綻した後の交際であれば、法的には慰謝料の支払義務が生じないと主張する余地があります。本件では、その立場を受任後直ちに書面にして示し、早期解決のための解決金50万円で数週間のうちに確定させました。あわせて、相手方が今後の関係に干渉しないことを条項にしています。争う立場と、早く終わらせる現実の両方を、書面の設計で両立させることができます。
この事例に関するよくある質問
Q1. 交際を始めたとき、相手の夫婦は既に別居していました。それでも慰謝料を払うのですか?
不倫の慰謝料は、婚姻関係が破綻していない夫婦の一方と関係を持ったことに対するものです。交際開始時に既に長年別居し、婚姻関係が破綻していたと言えるなら、法的な支払義務は生じないと主張する余地があります。本事例では、その立場を示したうえで解決金50万円で合意しました。結果は事案によって異なります。
Q2. 相手方本人から内容証明が届きました。すぐに返事をすべきですか?
期限内に、検討中である旨を伝える書面を送って時間を確保することができます。本事例の依頼者も、受領直後に時間を確保する書面を自ら送ってから相談に来られました。そのうえで、代理人が法的な立場を書面で示しました。
Q3. 法的に払う義務がないなら、払わなくてよいのですか?
法的な立場を争っても、相手方が訴訟に踏み切れば時間と費用がかかります。本事例では、争う立場を維持しつつ、早期解決のための解決金として50万円で合意しました。何を優先するかは、代理人と相談して決めることをお勧めします。
Q4. 交際相手との関係を続けたいのですが、相手方が口を出してくるのが心配です。
合意書に、相手方が今後の関係に干渉しないことを約束する条項を置くことができます。本事例では、相互の接触禁止に加えてこの条項を置きました。ただし、相手方の行動を完全に保証するものではありませんので、違反があれば代理人にご相談ください。