更新日:2021年3月26日 (金)

公開日:2021年3月26日 (金)

会社・法人破産の手続きの流れとは?倒産との違いを解説

会社・法人破産の手続きの流れとは?倒産との違いを解説 会社・法人破産の手続きの流れとは?倒産との違いを解説

サマリー

資金繰りの悪化や業績不振が続くなかで、会社をたたむべきか悩む経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

会社の「倒産」と「破産」は混同されやすいですが、破産は倒産手続きのなかの清算型手続の一つであり、法人は消滅することになります。

法人破産を申し立てる際は、事前の準備から申立て後の破産管財人による手続きまで、適切な手順を踏むことが重要です。

この記事では、倒産と法人破産の違いをはじめ、申立てから終結までの具体的な手続きの流れや代表者の自己破産について分かりやすく解説します。

会社の「倒産」と「法人破産」の違い・手続きの種類

会社の「倒産」と「法人破産」の違い・手続きの種類

一般的に使われる「倒産」という言葉は、資金繰りの悪化などにより債務の支払いができなくなり、事業の継続が困難になった状態全般を指す通称です。

法律上の明確な定義があるわけではありません。

これに対して「法人破産」は、法律に基づいて裁判所を介して行われる具体的な倒産処理手続きの一つを指します。

倒産という広い概念の中に、破産をはじめとする複数の法的手続きが含まれています。

分類 主な手続き 目的・特徴
清算型手続 法人破産 会社財産を換価・配当し、法人格を消滅させる裁判所の手続き
清算型手続 特別清算 主に株式会社が対象で、債権者の協力を得て清算を進める手続き
再建型手続 民事再生・会社更生 裁判所の関与のもとで再生計画を策定し、事業を継続する手続き
再建型手続 私的整理 裁判所を介さず、債権者との個別交渉により返済条件等の見直しを図る手続き

会社を消滅させる清算型手続

清算型手続は、会社の事業を停止して財産を処分し、最終的に会社を消滅させることを目的とした手続きです。

代表的なものとして「法人破産」と「特別清算」があります。

法人破産は、裁判所から選任された破産管財人が会社の財産を調査・換価し、債権者に公平に配当する手続きです。

配当を終えて手続きが完了すると法人格が消滅し、配当しきれなかった負債も消滅します。

特別清算は、破産に比べて簡易・迅速に清算を進められる場合がある一方、利用できる法人の形態が限られていたり、一定割合以上の債権者の同意が必要になったりするなど要件が限定されています。

事業の継続を目指す再建型手続

再建型手続は、会社の事業そのものは継続しながら、過大な債務の減免や返済スケジュールの繰り延べ等を行って経営の立て直しを図る手続きです。

民事再生や会社更生などの法的手続きがあります。

また、裁判所を通さずに債権者と個別に協議して債務免除や返済期日の猶予を取り付ける「私的整理」という手法もありますが、債権者全員の同意が必要になるなどハードルが存在します。

事業の継続が難しく、債務の返済のめどが立たない状況では、会社財産を清算して法的に整理する法人破産が選択されるのが一般的です。

法人破産の手続きの流れ①:弁護士相談から裁判所への申立てまで

法人破産を決断した場合、弁護士へ依頼してから裁判所に破産申立てを行うまでの期間は、一般的に1か月から6か月程度とされています。

負債状況や資金繰りの状態に応じて、事業を停止する日程や申立時期を計画的に定めて準備が進められます。

受任通知の発送による債権者対応の停止

弁護士に手続きを依頼すると、各債権者に対して受任通知が発送されます。

受任通知には、破産手続きを進める予定であることや弁護士が対応窓口となる旨が記載されています。

債権者に通知が届いた後は、会社への直接の支払い請求や督促が停止し、連絡窓口が弁護士に一本化されます。

これにより、経営者は申立準備や残務処理に専念しやすくなります。

会社財産の調査と保全・事前対応

申立てに向けて、決算書や帳簿をもとに買掛金・未払金などの債務を調査するとともに、売掛金の未回収分や保有資産の確認が行われます。

また、会社が締結している各種契約関係の把握も進められます。

会社の財産は、後の破産管財人による換価処分の対象となるため、散逸を防ぐ目的で会社印や通帳などは弁護士の管理下で適切に保全されます。

あわせて、従業員への説明と解雇の手続き、賃貸事業所(テナント)の明け渡し、オフィス什器や機器のリース契約解除、商品在庫の保管・移動の検討といった事前対応も順次進められます。

申立書の作成と必要書類の収集

裁判所に提出する破産手続開始申立書をはじめ、債権者一覧表、財産目録、陳述書(報告書)などの書類を作成します。

作成にあたっては、会社の経営実態に関する正確な情報提供が不可欠です。

申立書と併せて裁判所に提出するため、以下のような各種公的書類や財務関連書類を収集します。

  • 登記事項証明書
  • 取締役会議事録または同意書
  • 直近2期分の貸借対照表および損益計算書、清算貸借対照表
  • 税金申告書控えの写し
  • 不動産登記全部事項証明書(3か月以内に取得したもの)
  • 賃貸借契約書の写し
  • 車検証・登録事項証明書の写し
  • 生命保険証書・解約返戻金計算書の写し
  • 訴訟関係書類の写し

会社の事業規模や資産の保有状況によって必要な書類は異なるため、弁護士の指示に従って漏れなく収集を進めることが重要です。

法人破産の手続きの流れ②:裁判所への申立てから終結まで

申立書や添付書類の準備が整った後、裁判所へ破産手続開始の申立てを行います。

申立てから手続きが終結するまでの期間は、会社の財産規模や換価処分の状況によって異なりますが、一般的には3か月から6か月程度がひとつの目安となります。

申立てと破産手続開始決定・破産管財人の選任

裁判所への申立ては、依頼を受けた弁護士が代理人として行います。

この申立ての段階では、原則として法人の代表者が裁判所へ出頭する必要はありません。

裁判所が提出された申立書や資料を審査し、破産手続の要件を満たしていると認めると「破産手続開始決定」が下されます。

法人破産においては、同時に裁判所から「破産管財人」が選任されるのが通例です。

開始決定がなされると、会社の財産を管理・処分する権限は破産管財人に移転します。

破産管財人との面談および調査への協力

破産手続開始決定の後、破産管財人との面談が実施されます。

この面談には申任代理人である弁護士も同席し、会社の財産状況や破産に至った経緯について説明を行います。

代表者には破産管財人の職務に対する協力義務があります。

管財人からの質問には誠実に回答し、帳簿や追加資料などの提出を求められた場合には速やかに対応することが求められます。

債権者集会の開催と管財業務の報告

開始決定から概ね3か月程度が経過した頃、裁判所が定めた期日に「債権者集会」が開かれます。

債権者集会では、破産管財人が調査した結果や、財産の管理・処分状況について報告が行われます。

債権者集会という名称ではあるものの、一般の債権者が出席することは多くありません。

裁判官、破産管財人、破産会社の代表者、申立代理人弁護士の出席のもとで進行することが一般的です。

不動産の売却や売掛金の回収など、管財業務が1回の期日内で完了しない場合は、次回期日が指定されて複数回にわたり集会が開かれることもあります。

財産の換価処分・配当および破産手続の終結

破産管財人によって会社の全財産が換価処分され、換価された金銭から債権者への配当が行われます。

配当が完了すると、裁判所による「破産手続終結決定」が出され、手続きはすべて完了します。

なお、財産を換価しても配当にあてる原資が残らない場合には、配当を行わずに手続きが終了することもあります。

手続きの終結をもって法人の権利義務関係は清算され、法人格は消滅します。

代表者個人も同時に自己破産する場合の手続き

中小企業においては、金融機関からの融資や仕入れの契約などに際して、代表者個人が会社の連帯保証人になっているケースが多く見られます。

このような場合、会社が破産手続きに入ると主債務の一括返済が求められるため、代表者個人も同時に自己破産を申し立てることが一般的です。

経営者個人の破産申立てと法人手続きとの関係

法人が破産すると、会社の財産は破産管財人によって清算されますが、連帯保証人である代表者の保証債務自体は消滅しません。

個人の資産で会社の残債務を完済することが困難な場合には、会社と代表者個人が同時に裁判所へ破産手続開始の申立てを行う流れになります。

法人と個人の申立てを同時に進めることで、破産管財人の選任や調査を一本化し、手続きを円滑に進められる運用が一般的です。

免責審尋と免責許可決定の流れ

法人破産と個人の自己破産における大きな違いの一つが「免責手続き」の有無です。

法人は清算によって法人格そのものが消滅しますが、個人の場合は手続き終了後も生活が継続するため、残った債務の支払い義務を免除してもらうための手続きが必要になります。

個人の破産手続きでは、債権者集会と併せて、または別途「免責審尋(めんせきしんじん)」と呼ばれる期日が開かれます。

これは、裁判所が債務者に免責を認めてよいかどうかを判断するために行われる審理です。

裁判所が破産に至った事情や免責不許可事由の有無を確認し、問題がないと判断されれば「免責許可決定」が出されます。

この決定が確定することにより、原則として個人の借入れや保証債務に関する返済義務が免除されます。

免責の対象とならない非免責債権

免責許可決定が確定した場合でも、すべての債務が免除されるわけではありません。

法律上、免責の対象から除外されている債権を「非免責債権」と呼びます。

代表者個人に未納の税金や社会保険料、養育費などの非免責債権がある場合、破産手続き終了後も支払い義務が残る点には注意が必要です。

  • 税金や公租公課(所得税、住民税、固定資産税など)
  • 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 故意または重大な過失により人の生命・身体を害した不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 養育費や婚姻費用の分担義務など身分関係に基づく請求権
  • 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(過失がない場合を除く)

法人破産を検討する時期と弁護士への相談

法人破産を検討する時期と弁護士への相談

経営状況が厳しく立て直しが困難な局面であっても、これまで継続してきた事業や会社をたたむ決断を下すことには、心理的な迷いや葛藤が伴うのが一般的です。

しかし、法人破産を選択肢として検討する場合、適切なタイミングを見極めることが非常に大切になります。

破産手続きに必要な費用の確保と資金面での注意点

法人破産の手続きを進めるにあたっては、申立てを依頼する弁護士費用だけでなく、裁判所に納める予納金(管財費用など)の準備が必要となります。

また、手続き前後の従業員への対応や、債権者へ少しでも配当を行うための原資を確保しておくことも求められます。

資金が完全に底をついてからでは、予納金等の手続き費用を捻出できず、申立ての遂行自体が困難になるおそれがあります。

そのため、日々の資金繰りに追われて手元資金が完全に枯渇してしまう前の段階で、手続きに必要な費用を残せるよう計画を立てておくことが重要です。

準備期間の確保と早期相談の重要性

法人破産の申立てには、財産調査や各種書類の収集、事業所の明け渡し準備など多岐にわたる作業が必要であり、一定の準備期間がかかります。

ギリギリの状況で動き出すと、関係各所への対応が間に合わなくなり、混乱を招く原因にもなり得ます。

事業の継続が難しくなりつつある段階で早めに相談を行うことで、事業停止のタイミングや申立てまでのスケジュールを無理なく組み立てやすくなります。

個別の会社状況に応じた対応と弁護士への相談

実際の法人破産手続きは、会社の負債総額や事業がまだ稼働しているかどうか、従業員数、賃貸テナントや在庫・設備の有無など、個々の事情によって必要な作業や進め方が異なります。

本記事で紹介した内容は一般的な手続きの流れとなります。自社の状況に合わせた適切な進め方や必要な準備について確認したい場合は、資金に余裕があるうちに弁護士へ相談し、方針を検討していくことが推奨されます。

コラム監修者

Shunsuke Teragaki

Shunsuke Teragaki

所属:代表(東京オフィス)

広島県広島市出身。修道高校、慶應義塾大学商学部、青山学院大学法科大学院を卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、個人・法人問わず幅広い分野の相談・交渉に取り組む。ネクスパート法律事務所の代表弁護士として、依頼者に最適な見通しと戦略的な解決策を示すことを信条とし、丁寧かつ粘り強い対応で信頼を築いている。

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