解決結果のサマリー
※プライバシー保護のため、事例の内容は特定できないよう一部変更し、金額は概数で記載しています。
※解決結果は個別の事案の内容に基づくものであり、同種の結果を保証するものではありません。
事例の概要
ご依頼者のAさんは、女性です。既婚男性Bさんと1年あまりの関係があり、Bさんの妻Cさんに知られて関係を終えた後、Cさんの代理人弁護士から電話で慰謝料200万円を求められました。当事務所は電話の翌日に受任し、受任通知を送ったうえで、相手方ご夫婦の別居・離婚の有無とBさん本人への請求の有無を照会。同居中で、Bさんからの受領はないとの回答を得て、求償権を放棄する条件で50万円を提示しました。相手方は関係の期間や婚姻期間の長さを挙げて請求額近くの額を示し、以後、当方が60万円、70万円と小刻みに引き上げ、相手方が段階的に引き下げる応酬が続きます。当方は70万円を最終回答として据え置き、相手方が最大限の譲歩として示した額に対し、75万円で受け入れる旨と、頭金と月々の分割の案を提示。相手方はこれに応じ、締結に至りました。担当は北條さやか弁護士です。
電話で求められた200万円に対し、合意額は75万円(6割強減)。支払いは頭金を置いたうえで月々の分割とし、金額の応酬は約1か月・7往復。手続はすべて代理人間の書面のやり取りで進み、訴訟にはなっていません。
ご相談時の課題
表面上の課題
- 相手方の弁護士から、電話で200万円を求められた
- 相手方は関係の期間や婚姻期間の長さを強調していた
- 探偵に調査されているかもしれないという不安があった
- 一括で支払える資力はなく、Bさん側からの支払いも期待できなかった
本当の課題は3つ
- 収れんの設計——相手方が請求額近くから段階的に下げてくる場合、当方がどの幅で、どこまで応じるかで落としどころが決まります。小刻みに引き上げつつ、上限を早期に固める設計が必要でした
- 求償権の扱い——Aさんが支払った後にBさんへ負担を求める権利(求償権)を放棄するかどうかは、相手方にとって配偶者に請求が及ぶかどうかに直結します。放棄を条件に提示し、相手方の反応を見る設計が必要でした
- 支払能力に合わせた分割——金額が固まっても、一括で払えなければ合意は成立しません。頭金と月々の額、期間の組み合わせで、相手方が受け入れる分割を設計する必要がありました
Aさんはご相談時に「弁護士から電話ありました。200万慰謝料を払ってくださいと、今日かかってきました」「もしかしたら、探偵をつけられているかもしれないから…」と話されていました。
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
弁護士の対応
(1) 翌日に受任し、前提事実を照会する
電話の翌日、当事務所は受任して受任通知を送りました。続けて、相手方ご夫婦の別居・離婚の有無とBさん本人への請求の有無を照会。相手方からは、同居中であること、Bさんから受領した金銭はないことの回答がありました。
(2) 求償権放棄を条件に50万円から入る
回答を踏まえ、当事務所は求償権を放棄する条件で50万円を提示しました。相手方は、関係の期間と婚姻期間の長さを増額の理由に挙げ、請求額近くの額を示してきました。
(3) 小刻みに引き上げ、70万円で据え置く
当事務所は60万円を提示し、相手方は引き下げつつも当方の額なら訴訟の方が有利であると述べました。当事務所は70万円を「最終回答」として提示。相手方は100万円を最終提示として示し、応じなければ訴訟とした後、さらに最大限の譲歩として90万円を示しました。当事務所は70万円を据え置き、相手方はさらに85万円を示してきました。約1か月で7往復の応酬です。
(4) 75万円で受け入れ、頭金と分割で締結
当事務所はAさんの意向を確認し、75万円で受け入れる旨と、一括が難しいため頭金を置いたうえで残額を月々の分割とする案を提示しました。相手方はこれに応じ、合意書が成立。合意書には、支払いが2回以上滞り一定額に達した場合の期限の利益喪失と遅延損害金、求償権の放棄、接触禁止と違反時の違約金、清算条項が置かれています。Aさんは合意した分割を履行しました。
この解決のポイント
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
- 関係の期間と経緯を整理して共有し、提示の土台に
- 相手方の提示が変わるたびに報告を受け、引き上げの幅と上限について確認
- 月々払える額を伝えて分割案の土台にし、締結後は分割を履行
解決結果
ご依頼前、Aさんは電話で告げられた200万円と、探偵に調査されているかもしれないという不安を前にしていました。
解決時には、金額は200万円から75万円へ。約1か月・7往復の応酬を経て収れんしました。合意書には、不貞の事実の確認、損害賠償債務としての75万円の分割払い、支払いが一定額滞った場合の期限の利益喪失と遅延損害金、Bさんに対する求償権の放棄、Bさんとの交際の中止と接触禁止および違反時の違約金、清算条項が置かれています。支払いは頭金を置いたうえで月々の分割とし、Aさんは合意した分割を履行して終結しました。相手方本人とAさんが直接やり取りする場面はありませんでした。
担当弁護士からのコメント(北條さやか弁護士)
相手方が請求額近くから段階的に下げてくる交渉では、当方がどの幅で、どこまで応じるかで落としどころが決まります。本件では、求償権放棄を条件に50万円から入り、小刻みに引き上げつつ70万円で据え置き、相手方の再提示を経て75万円で受け入れました。約1か月・7往復です。金額が固まった後は、頭金と月々の分割で支払能力に合わせています。収れんの幅と上限を最初に設計しておくことが、交渉を短くします。
この事例に関するよくある質問
Q1. 弁護士から電話で慰謝料を請求されました。書面はまだです。どうすればよいですか?
電話だけの請求でも、代理人を立てれば以後の連絡は代理人宛になり、書面で交渉する形に切り替わります。本事例では、電話の翌日に受任し、200万円の請求が75万円での合意となりました。
Q2. 相手が少しずつ下げてきます。こちらも少しずつ上げるべきですか?
事案によります。本事例では、小刻みに引き上げつつ70万円で上限を据え置き、相手方の再提示を経て75万円で受け入れました。どの幅で、どこまで応じるかは、代理人と相談して設計することをお勧めします。
Q3. 一括では払えません。分割にしてもらえますか?
支払能力は、支払い方法を決めるうえで重要な事情です。本事例では、頭金を置いたうえで残額を月々の分割とする案を提示し、相手方が受け入れました。分割の場合、支払いが滞ったときの取り扱いも条項で定められます。
Q4. 求償権を放棄すると、どうなりますか?
求償権は、あなたが支払った後に不倫相手へ負担を求める権利です。放棄すれば相手方の配偶者に請求が及ばないため、相手方にとって利益があり、金額の引き下げと引き換えにできることがあります。本事例では、求償権放棄を条件に提示を組み立てました。