解決結果のサマリー
※プライバシー保護のため、事例の内容は特定できないよう一部変更し、金額は概数で記載しています。
※解決結果は個別の事案の内容に基づくものであり、同種の結果を保証するものではありません。
事例の概要
ご依頼者のAさんは、20代の独身男性です。研修で知り合った既婚女性Bさんと数か月の関係があり、それがBさんの夫Cさんに知られました。Cさんから直接連絡を受けたAさんは、受任前に自分で「支払う」「職場には知らせないでほしい」と伝えて猶予を得たものの、その後連絡を絶ってしまい、Cさんの信頼を失っていました。その後、Cさんの代理人弁護士から、Aさんの勤務先宛に慰謝料300万円を求める通知が親展で届きます。通知には、Cさん夫婦が離婚に至ったこと、Aさんの釈明が事実と異なっていたこと、期限内に支払わなければ訴訟を検討するほか勤務先への通報もあり得ることが記されていました。当事務所は受任の翌日に受任通知を送り、謝罪の意向とともに、離婚の事実、Bさん本人への請求の有無、離婚時の財産分与に慰謝料的な要素が含まれているかを照会。相手方からの回答を踏まえ、一括で支払う額として170万円を提示したところ、相手方は同額での合意書案を送付し、170万円・一括で締結に至りました。担当は北條さやか弁護士です。
請求300万円に対し、合意額は170万円。受任から締結まで数週間で、依頼者への書類は郵便局留めで受け取れるよう配慮しています。手続はすべて代理人間の書面のやり取りで進み、訴訟にはなっていません。
ご相談時の課題
表面上の課題
- 勤務先宛に親展で300万円の請求が届き、勤務先への通報の可能性にも言及されていた
- 受任前に自分で「支払う」と伝えたまま連絡を絶ち、相手方の信頼を失っていた
- 相手方夫婦は既に離婚しており、金額が高くなる事情がそろっていた
- 勤務先に知られずに解決したかった
本当の課題は3つ
- 信頼を失った状態からの立て直し——受任前に本人が約束をして連絡を絶った経緯は、相手方の姿勢を硬くします。代理人が付いた後の対応で、誠実に解決する意思を示す必要がありました
- 離婚済み事案の水準——相手方夫婦が離婚に至った事案は、婚姻関係が継続している事案より慰謝料が高くなる傾向があります。一方で、離婚時の財産分与に慰謝料的な要素が含まれていれば、それは算定に関わります。この点を照会する必要がありました
- 勤務先に知られずに終える——勤務先宛の通知と通報の可能性が示されている以上、長引かせるほど依頼者の不安は増します。早期に金額を固めて終わらせることが、依頼者にとって最も重要でした
Aさんはご相談時に「勤務先には中身は見られていない」「互いに職場にばれないことを希望する」と話されていました。
弁護士の対応
(1) 翌日に受任通知を送り、離婚の事実と財産分与の扱いを照会する
受任の翌日、当事務所は受任通知を送り、続けて、謝罪の意向とともに、相手方ご夫婦が離婚に至っているか、Bさん本人に慰謝料を請求しているか、離婚時の財産分与に慰謝料的な要素が含まれているかを照会しました。相手方からは、離婚が成立していること、Bさんには請求していないこと、財産分与に慰謝料的な要素はないことの回答がありました。あわせて相手方は、受任前のAさんの対応が事実と異なっていた経緯や、勤務先への通報の権限があることを重ねて述べています。
(2) 一括払いの額を提示する
回答を踏まえ、当事務所は、離婚に至った事案であることと、受任前の経緯で失った信頼を回復する必要があることを踏まえ、170万円を一括で支払う旨を提示しました。訴訟になれば時間がかかり、勤務先への通報の不安も長引きます。金額で一定の譲歩をしてでも、早期に確定させることを優先した判断です。
(3) 相手方が合意書案を送付し、締結
相手方は、当方の提示と同じ170万円で合意書案を送付してきました。合意書には、謝罪、慰謝料170万円の一括払い、清算条項が置かれています。当事務所は条項をAさんに説明したうえで応諾し、双方の代理人が押印して締結。Aさんは期限内に一括で振り込みました。
(4) 書類の受け取りに配慮する
依頼者への合意書の送付は、勤務先や自宅に届くことを避け、郵便局留めで受け取れるようにしました。勤務先に知られずに終えたいという依頼者の希望に沿った実務上の配慮です。
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
- 受任後、相手方からの連絡はすべて事務所へ
- 受任前のやり取りの経緯を正直に共有し、対応方針を確認
- 照会の結果と、早期に確定させる方針について説明を受けて判断
解決結果
ご依頼前、Aさんは勤務先に届いた300万円の請求と通報の可能性、そして自分で約束を破ってしまった経緯を前に、身動きが取れない状態でした。
解決時には、金額は300万円から170万円へ。離婚済みの事案として、訴訟による長期化と増額のリスクを避け、一括払いで数週間のうちに確定しました。合意書には、謝罪、慰謝料の一括払い、清算条項が置かれ、Aさんは期限内に振り込んで終結しています。相手方本人とAさんが直接やり取りする場面は、受任後はありませんでした。勤務先への通報も、記録上ありません。
担当弁護士からのコメント(北條さやか弁護士)
相手方から直接連絡を受けて、自分で「払う」と伝えたまま連絡を絶ってしまうと、相手方の姿勢は硬くなります。それでも、代理人が付いた後の対応で立て直すことはできます。本件では、離婚済みの事案として財産分与の扱いまで照会したうえで、勤務先への通報の不安を長引かせないよう、一括払いの額を提示して数週間で確定させました。相手方に直接連絡してしまう前に、まずご相談ください。
この事例に関するよくある質問
Q1. 相手から直接連絡があり、自分で「払う」と言ってしまいました。もう手遅れですか?
手遅れではありません。ただし、約束したまま連絡を絶つと相手方の姿勢は硬くなります。本事例では、代理人が付いた後に受任通知と照会で交渉の土俵を立て直し、300万円の請求が170万円での合意となりました。
Q2. 相手方夫婦が離婚しています。慰謝料は高くなりますか?
離婚に至った事案は、婚姻関係が継続している事案より高くなる傾向があります。一方で、離婚時の財産分与に慰謝料的な要素が含まれていれば、それは算定に関わります。本事例では、この点を照会したうえで金額を提示しました。
Q3. 勤務先に請求が届き、通報の可能性も書かれています。どうすればよいですか?
親展の郵便であれば中身は本人しか見られませんが、通報の可能性が示されている以上、長引かせるほど不安は増します。本事例では、早期に金額を固めて数週間で確定させ、書類は郵便局留めで受け取れるよう配慮しました。
Q4. 訴訟になるのを避けたいです。金額で譲るべきですか?
事案によります。本事例では、離婚済みで金額が高くなる事情がそろっていたこと、勤務先への通報の不安があったことから、金額で一定の譲歩をしてでも早期に確定させることを優先しました。何を優先するかは、代理人と相談して決めることをお勧めします。