更新日:2024年10月10日 (木)
公開日:2024年10月9日 (水)
自己破産の費用は分割払いできる?内訳や支払えない場合の対処法
サマリー
借金の返済が困難になり自己破産を検討していても、手元にまとまった資金がなく手続き費用の支払いに不安を感じる方は少なくありません。
自己破産には弁護士費用や裁判所費用がかかりますが、弁護士費用については分割払いや積立に対応している事務所も多く存在します。
この記事では、自己破産にかかる費用の内訳や目安、弁護士費用を分割で支払う仕組みに加え、裁判所費用が用意できない場合の対処法や直前の借入れに関する注意点などを分かりやすく解説します。
自己破産にかかる費用の相場と内訳

自己破産の手続きを進める際にかかる費用は、大きく「弁護士費用」と「裁判所費用」の2種類に分けられます。
手続き全体では数十万円程度の費用が必要となるケースが一般的ですが、具体的な金額は依頼する弁護士事務所や、裁判所における破産手続きの種類によって異なります。
弁護士費用の相場と内訳
自己破産手続きを弁護士に依頼する場合、全体の費用相場としては30万円から50万円程度が一つの目安とされています。
弁護士費用の内訳には、相談時に発生する相談料のほか、契約時に支払う着手金、手続き終了時に発生する報酬金、通信費や交通費などの実費が含まれます。
| 内訳 | 内容 | 金額の目安 |
|---|---|---|
| 相談料 | 弁護士に相談する際にかかる費用 | 30分あたり5,000円〜1万円程度(初回無料の事務所もあり) |
| 着手金 | 弁護士へ正式に依頼した際に発生する費用 | 30万〜60万円程度 |
| 報酬金 | 免責許可などの結果に応じて発生する費用 | 0〜30万円程度 |
| 実費 | 郵便切手代や交通費など、手続きに伴う実費 | 事案により異なる |
事務所によっては着手金と報酬金の割合が異なっていたり、相談料を無料に設定していたりすることもあります。
費用の体系や内訳は依頼前に確認しておくことが大切です。
裁判所費用の内訳と手続きの種類による違い
自己破産の申し立てを行う際には、裁判所に対しても費用を納める必要があります。
裁判所費用は、申立手数料や官報公告費、予納郵券のほか、管財人が選任された場合の引継予納金などで構成されます。
自己破産には「同時廃止」「少額管財」「通常管財」の3つの手続きがあり、どの手続きが適用されるかによって裁判所費用が大きく変動します。
| 手続きの種類 | 申立手数料 | 予納郵券 | 官報公告費 | 引継予納金 | 合計の目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| 同時廃止 | 1,500円 | 数千円程度 | 1万円程度 | 0円 | 1.5万〜3万円程度 |
| 少額管財 | 1,500円 | 数千円程度 | 2万円程度 | 20万円〜 | 20万円以上 |
| 通常管財 | 1,500円 | 数千円程度 | 2万円程度 | 50万円〜 | 50万円以上 |
処分すべき一定の財産がない場合などは同時廃止となり、裁判所費用を数万円程度に抑えやすくなります。
一方で、不動産や自動車などの高額な財産を所有している場合や、ギャンブル・浪費などの免責不許可事由が疑われる場合、あるいは法人の破産手続きなどでは管財事件(少額管財や通常管財)として扱われます。
管財事件では、裁判所から選任された破産管財人が財産の調査や換価処分、債権者への配当などを行うため、高額な引継予納金が必要となります。
自己破産の費用は分割払いできるのか
自己破産を検討する際、手元にまとまった資金を用意できない状況にあるケースは少なくありません。
自己破産にかかる費用が分割払いできるかどうかは、「弁護士費用」と「裁判所費用」のどちらであるかによって対応が大きく異なります。
弁護士費用は分割払いや積立に対応しているケースが多い
弁護士費用に関しては、多くの法律事務所で分割払いや事前の積立に対応しています。
自己破産を検討する方の多くはすでに経済的に困窮しており、数十万円の費用を一括で支払うことが難しいという実情に配慮されているためです。
一般的な運用としては、毎月の生活費の中から無理のない範囲で一定額を事務所に積み立てていき、費用の準備が整った段階で裁判所への申立てを行う形がとられます。
すべての事務所が一律に分割払いに対応しているわけではないため、法律相談の段階で分割払いや積立の可否、月々の支払額について確認しておくことが大切です。
裁判所費用は原則として一括納付が求められる
弁護士費用とは異なり、裁判所に納付する申立手数料や予納郵券、官報公告費、管財事件の場合の引継予納金などは、原則として申立て時または裁判所が指定する期日までに一括で納めなければなりません。
裁判所の手続きにおいては、所定の予納金が納付されない限り手続きを開始・進行できない仕組みとなっているため、公的な費用を分割払いとすることは基本的に認められていません。
管財事件や少額管財事件となった場合の引継予納金はまとまった金額が必要となるため、申立ての準備期間中にどのように調達・確保するかを弁護士と十分に協議しておく必要があります。
自己破産の弁護士費用を分割払い(積立)する仕組み
手元にまとまった資金がない状態であっても、自己破産の弁護士費用を分割で支払える背景には、債務整理特有の手続きの流れが関係しています。
受任通知の送付による督促と返済の停止
弁護士に自己破産の手続きを依頼して委任契約を結ぶと、弁護士から各債権者に対して「受任通知」が発送されます。
貸金業法などの規定により、受任通知を受け取った債権者は債務者本人に対する直接の取り立てや督促を行うことができなくなります。
これにより、債権者への返済も一時的に停止することになります。
返済に充てていた資金を弁護士費用として積立
督促と返済がストップすると、これまで借金の返済に充てていた資金を手元に残せるようになります。
この浮いた資金を活用し、弁護士費用を毎月少しずつ事務所へ積み立てていきます。
返済が停止している期間を利用して費用を積み立てるため、手元にまとまった資金がなくても手続きの準備を進められます。
積立額や期間は、依頼者の家計状況や収支のバランスを考慮しながら、無理のない範囲で計画が立てられるのが一般的です。
費用の準備完了後に裁判所へ申し立て
弁護士費用の積み立てを行っている間に、申立てに必要な書類の収集や家計簿の作成などの準備も並行して進められます。
費用の積み立てが完了し、必要書類がすべて揃った段階で、弁護士が裁判所へ自己破産の申立書を提出します。
申立てが受理されると、裁判所における破産手続きの審理が本格的に開始されます。
自己破産の裁判所費用が支払えないときの対処法と注意点

管財事件などで裁判所費用が高額になり一括での納付が難しい場合は、いくつかの公的制度や手段を検討して準備を進めるのが一般的です。
裁判所費用の準備が難しい場合の主な対処法
資力が乏しく費用の支払いが困難な場合には、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助制度を活用する方法が挙げられます。
収入や保有資産が一定の基準以下であれば、弁護士費用や実費などの立て替えを受けられる場合があります。
| 債権者数 | 着手金 | 実費 | 合計目安 |
|---|---|---|---|
| 1〜10社 | 132,000円 | 23,000円 | 155,000円 |
| 11〜20社 | 154,000円 | 23,000円 | 177,000円 |
| 21社以上 | 187,000円 | 23,000円 | 210,000円 |
法テラスを利用した場合、立て替えられた費用は原則として後から無理のない金額で分割返還していくことになります。
なお、実際の金額は事案の複雑さや審査によって変動することがあります。
また、親族から費用の援助を受けることも選択肢の一つです。
親族から資金提供を受ける際は、新たな借入れではなく生活再建のための支援であることを明確にしておく必要があります。
一部の地方裁判所では引継予納金の分割払いに応じている場合もあるため、管轄裁判所の運用状況や積立計画について事前に確認しておくと安心です。
費用を用立てるための直前借入れのリスク
手元に資金がないからといって、自己破産の手続き費用を支払うために消費者金融やクレジットカードから新規に借入れを行うことは非常に危険です。
すでに返済不能に陥っている状態で自己破産を前提として借入れを行うと、詐術を用いた信用取引とみなされ、破産法上の免責不許可事由に該当する可能性があります。
返済の意思や能力がない状態での借入れは、免責が許可されないリスクがあるだけでなく、詐欺罪などの法的な責任を問われるおそれもあります。
費用が用意できない場合であっても、新たな借入れに頼るのではなく、公的制度の利用や弁護士への相談を通じて適法な解決手順を踏むことが重要です。
自己破産の費用・分割払いに関するよくある質問と弁護士への相談
Q. 弁護士に依頼せず自分で手続きすれば費用は安くなりますか?
弁護士に依頼せずに本人が申立てを行う場合、弁護士費用がかからないため、支払う費用の総額を抑えること自体は可能です。
裁判所に納める実費や予納金のみで手続きを進められます。
ただし、自己破産の申立てには多くの書類作成や資料収集が必要であり、手続きの遅れや不備が生じるリスクがあります。
また、債権者からの督促が即時に停止しない点などにも留意が必要です。
Q. 個人再生の場合も費用を分割払いできますか?
個人再生を検討する場合でも、自己破産と同様に弁護士費用の分割払いや積立に対応している法律事務所が多く見られます。
ただし、個人再生は再生計画案の作成や弁済の履行可能性の証明など手続きが複雑になる傾向があり、自己破産と比べて費用設定が高くなるケースもあるため、事前の確認が重要です。
Q. 法人の自己破産にかかる費用は個人と異なりますか?
法人の破産手続きは個人の自己破産に比べて手続きの規模が大きく、原則として破産管財人が選任されるため、裁判所に納める予納金や弁護士費用の総額が高額になるのが一般的です。
会社の資産や売掛金の回収、従業員への対応、契約関係の処理など多岐にわたる清算事務が発生するため、計画的な費用の準備と見通しの検討が求められます。
費用面の不安や適切な手続きの選択は弁護士へ相談を
借金問題の解決には自己破産だけでなく、任意整理や個人再生といった複数の手段が存在します。
抱えている債務の額や収入、保有財産の状況によって適した手続きは異なります。
手元にまとまった資金がない場合でも、弁護士費用の分割払いや法テラスの民事法律扶助制度など、負担を抑えながら進める方法が用意されています。
費用の支払いに不安がある場合でも、分割払いや公的支援制度を含めた具体的な方法について弁護士に確認することが解決への第一歩となります。
コラム監修者
Shunsuke Teragaki
所属:代表(東京オフィス)
広島県広島市出身。修道高校、慶應義塾大学商学部、青山学院大学法科大学院を卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、個人・法人問わず幅広い分野の相談・交渉に取り組む。ネクスパート法律事務所の代表弁護士として、依頼者に最適な見通しと戦略的な解決策を示すことを信条とし、丁寧かつ粘り強い対応で信頼を築いている。