この記事では「離婚裁判で負けた場合、離婚することはできないのか?」「裁判で離婚が認められる確率ってどれくらいなの?」とお考えの方に、離婚裁判で離婚できる確率や裁判で負ける理由などについて解説します。
離婚や不倫問題にお悩みの方は、おひとりで抱え込まず、ネクスパート法律事務所にご相談ください。ご相談者様の問題解決に向けて、当事務所の弁護士が全力でサポートいたします。
目次
離婚裁判で離婚できる確率
実際に離婚裁判になって離婚できる確率はどれくらいでしょうか。裁判所が開示しているデータを元に解説します。以下の表の[うち認容」の箇所が裁判で離婚が認められた件数です。離婚を認めない場合は、棄却判決となります。
年 | 裁判件数 | うち認容 | うち棄却 | うち却下 |
---|---|---|---|---|
平成22年 | 3,852 | 3,516 | 321 | 6 |
平成23年 | 3,961 | 3,582 | 365 | 12 |
平成24年 | 4,459 | 4,046 | 377 | 11 |
平成25年 | 4,220 | 3,844 | 350 | 3 |
平成26年 | 3,850 | 3,487 | 351 | 6 |
平成27年 | 3,700 | 3,332 | 354 | 8 |
平成28年 | 3,313 | 2,969 | 337 | 4 |
平成29年 | 3,439 | 3,053 | 373 | 6 |
平成30年 | 3,136 | 2,788 | 335 | 7 |
令和元年 | 3,079 | 2,743 | 331 | 5 |
令和元年のデータを見ると、裁判件数が3,079件、うち離婚が認められたのは2,743件ですので、離婚裁判で離婚できる確率は約89%と言えるかもしれません。他の年のデータを見ても、離婚が認められる認容判決は90%程度、離婚が認められない棄却判決は10%程度となっています。
しかし、実際には裁判官から和解での離婚(和解勧告)を勧められるケースもあり、裁判で離婚できる確率は一概には示せません。
離婚裁判で負けた場合は離婚できない?
離婚請求をして裁判に負けた場合は離婚が認められませんが、判決に納得がいかなければ控訴できます。
控訴(こうそ)とは、第一審の判決に不服がある場合に、上級裁判所に対して再審査を求める手続きです。
離婚裁判の判決に不満があり、控訴を提起する場合は、高等裁判所宛ての控訴状を第一審の家庭裁判所に提出します。控訴は、判決正本送達の日から2週間(送達の日の翌日を第1日目として14日以内)に提起しなければなりません。
控訴状において原判決に対する不服の理由を記載しなかった場合には、控訴提起後50日以内に、控訴理由書を控訴裁判所に提出します。
控訴の理由は法律上制限されていないため、原判決に不服がある当事者は、常に提起できます。第一審に事実認定の誤り(事実誤認)や法解釈の誤りがある場合だけでなく、新たな証拠が見つかった場合も再審理を求められます。
控訴審の判決に不服があれば最高裁判所に上告できます。ただし、最高裁判所で主張できる理由は憲法違反などに限られているため、離婚事件では上告または上告受理申立てが認められるケースはほとんどありません。
離婚裁判で負ける理由
離婚裁判で負けた場合、離婚はできません。ここでは、離婚裁判で負ける理由にはどのようなものがあるのかについて解説します。
有責配偶者の場合
離婚裁判では、有責配偶者(離婚原因を作った者)からの離婚請求は認められないのが原則です。
ただし、夫婦がその年齢及び同居期間と対比して相当の長期間別居し、その間に未成熟子がいない場合には、相手方配偶者が離婚によって精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情のない場合には、例外的に離婚請求が認められることもあります。
法定離婚事由に該当しない場合
法定離婚事由が存在しない場合、原則として裁判では離婚が認められません。
第770条(裁判上の離婚)
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。引用元:民法 | e-Gov法令検索
悪意の遺棄(あくいのいき)とは、例えば「生活費を渡さない」「一方的に別居した」などの行為が該当します。その他婚姻を継続し難い重大な事由は幅広い解釈ができますが「暴力(DV)」や「金銭問題」などが含まれます。また、「性格の不一致」は離婚原因として最も多い理由ですが、原則「その他婚姻を継続し難い重大な事由」には該当しません。
主張や証拠が不十分な場合
法定離婚事由が存する場合でも、それを証明する主張や証拠が不十分な場合、離婚が認められない可能性があります。証拠がないあるいは証拠が弱いと「そのような事実はなかった」として判断されることになります。
たとえば不貞行為を理由に離婚を求めた際、「女の勘」や「知らない女と電話していた」というような証拠だけだと、証拠不十分として敗訴する可能性が高いといえるでしょう。
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離婚裁判に勝つにはどうしたらいい?
「離婚裁判を起こして、相手と離婚したい。そのために勝率を上げたい」という場合はどうすれば良いのでしょうか。それについても解説していきます。
弁護士に依頼する
もっとも有効な方法は弁護士に依頼することです。弁護士は法律の専門家であり、また依頼人の味方となる存在です。裁判官は公平な視点で物事を判断しますが、弁護士は依頼人の利益となるために動きます。
裁判を勝ち抜くための経験や知識を持っているため、勝率を上げたいのであれば、弁護士に依頼することをおすすめします。特に相手が弁護士を入れてきた場合、一人だけで戦い抜くのは非常に困難です。
明確な証拠を用意する
上記でも述べましたが、「証拠が弱かったり、証拠がなかったりすること」は離婚裁判の敗訴につながります。そのため、もっと強固で明確な証拠を揃えるように動くことも重要です。
しかし、どのような証拠を揃えればいいのか、一般の方だと判断ができないことも多いと思いますので、この点も弁護士にアドバイスを貰うと良いでしょう。
和解離婚も視野に入れる
離婚裁判を起こす目的の第一は離婚をすることです。このため、離婚訴訟中に相手と和解して和解離婚というの道を選ぶこともできます。
和解離婚には様々なメリットがあり、裁判で勝訴して離婚に至る場合よりも有利な条件で離婚できることがあります。なおこれを勝訴的和解と呼びます。これは非常に実利があるものであるうえ、離婚裁判の長期化を防ぐための方法としても有用です。
離婚裁判は、長引けば長引くほど疲労がたまっていくものです。この疲労は、訴えられた側だけでなく、訴えた側にものしかかります。これを避けるために、和解離婚という方法を視野に入れておくだけの冷静さも必要でしょう。
離婚裁判で負けた場合の費用負担
ここでは、離婚裁判で負けた場合の費用は誰が負担するのかについて解説します。
離婚裁判に負けた場合、訴訟費用(印紙代・切手代等)は基本的には原告が負担します。民事訴訟法第61条において、「訴訟費用は、敗訴の当事者の負担とする」と規定されていますが、判決において「訴訟費用は各自の負担とする」と負担割合が決められるケースもすくなくありません。
弁護士に依頼していた場合の費用(弁護士報酬)も、原則自己負担となります。
・離婚の弁護士費用は誰が払うの?相手に請求することはできる?
・離婚の弁護士費用の相場はいくら?費用を安く抑えるには
まとめ
多くの離婚は、話し合いによって成立します。離婚裁判に至るケースは100組に1人程度しかないとされています。離婚裁判は、お金も時間も労力もかかるものだからです。しかしこのような現状を踏まえてなお離婚裁判に踏み切る人には、相応の理由と覚悟があると考えられます。
当事務所ではそのような覚悟を持つ人のサポートを行い、勝利のための道筋を一緒に組み立てていきます。離婚問題でお悩みの際は、お気軽にネクスパート法律事務所にご相談ください。