離婚後、養育費の支払いが滞ると生活が不安定になります。
相手と連絡を取りたくないと思うかもしれませんが、子どものためにも、放置せず早めに対応をしましょう。
この記事では、養育費の未払いが生じた場合の対応方法を、ケース別に解説します。

養育費の未払いが生じた場合のケース別対応方法

養育費の未払いが生じた場合、養育費を取り決めた方法によって対応が異なります。
以下、対応方法をケース別に解説します。

相手に直接連絡する【共通】

相手に直接連絡をして話し合うことを検討してみると良いでしょう。
直接会ったり、電話・メール・LINEをしたりして支払いを促すことで、解決の糸口が見えることもあります。連絡をしても無視される場合は、内容証明郵便を送ることで、相手にある程度のプレッシャーを与えられることもあります。
相手と直接連絡を取ることに抵抗や支障がない場合には、まずはこうした方法から試してみるのも一つの選択肢です。

養育費調停・審判を申し立てる【当事者間の合意の証明が困難な場合】

口頭で取り決めをしたものの、養育費の支払いが滞った場合には、家庭裁判所への養育費調停・審判の申立てを検討しましょう。
合意した内容が曖昧だったり、合意の存在を証明することが難しかったりする場合は、調停・審判を申し立てて、改めて養育費の取り決めをしたほうがよいでしょう。
この場合、養育費の支払い義務が発生するのは、原則として調停・審判の申立時とされることが多いです。
そのため、相手が任意に支払いの意思を示さない場合には、過去の未払い分を回収することは難しいかもしれません。とはいえ、調停・審判で養育費の支払い義務を確定させれば、以後、不払いが生じた際に、強制執行ができるようになります。
相手が、養育費の支払いについての合意の存在を否定する場合には、調停・審判の申立てを検討すると良いでしょう。
調停の流れは、「養育費調停とは|申立ての流れや調停で聞かれること」

[kanren link=”https://nexpert-law.com/rikon/1089/”]

で詳しく解説しています。

民事訴訟を提起する【当事者間の合意がある場合】

当事者間の合意があるにもかかわらず、養育費の未払いが生じた場合は、地方裁判所へ民事訴訟を提起しましょう。
民事訴訟による解決を検討できるのは、次のように合意の存在を客観的に明らかにできるケースです。

  • 書面(離婚協議書、合意書等の私文書)により合意した
  • 口頭での合意に基づいた養育費の支払い実績が一定期間ある
  • 口頭で合意した際の録音音源がある
  • 合意した旨の記載があるLINEやメールがある

これまでは、私文書等で養育費の合意に至ったケースでも、債務名義を取得すべく、家庭裁判所に改めて調停・審判を申立てるケースが多くみられました。
しかし、近年、当事者の合意がある場合は、民事訴訟によって請求すべきだとした判例が出現しました(東京高裁令和5年5月25日決定)。養育費の合意があるにもかかわらず、約束どおりに支払われないのは、契約不履行の問題になるので、民事訴訟で争うのが適当との考えによるものです。
今後は、養育費について当事者間の合意がある場合、民事訴訟を提起するのが一般的な方法になると考えられます。

履行勧告・履行命令を申立てる【調停・審判で取り決めた場合】

調停・審判で取り決めをした場合は、家庭裁判所に履行勧告や履行命令を申立てましょう。
履行勧告は、調停・審判で決定した義務を守らない人に対して、義務を履行するように家庭裁判所が勧告する手続きです。
履行命令は、家庭裁判所が相当の期限を定めて、未払いの養育費を支払うように命じる制度です。正当な理由なく定められた期限までに命令に従わない場合、10万円の過料に処せられます。
履行勧告・履行命令ともに費用をかけずに申立てができますが、いずれも法的強制力はありません

強制執行を申立てる【調停・審判・公正証書で取り決めた場合】

調停・審判、強制執行認諾文言付公正証書で養育費の取り決めをした場合には、地方裁判所に強制執行の申立てができます。
預貯金や給与など、相手が所有する財産から強制的に養育費が回収できます。
給与の差押えは、一度行えば将来の分も差押えが可能なので、相手が勤務先を退職しない限り、何度も強制執行の申立てをする必要はありません。
強制執行については、「養育費の強制執行とは|デメリットとお金がとれない場合の対処法」

[kanren link=”https://nexpert-law.com/rikon/983/”]

の記事をご参照ください。

養育費の未払いに関するQ&A

養育費の未払いに関して、よくある質問に対する回答を紹介します。

相手が住所不明の場合は養育費の請求ができない?

養育費調停・強制執行の申立てをするにあたっては、相手の住所を知る必要があります。
現住所がわからない場合は、相手の本籍がある市区町村の窓口で戸籍の附票を取得すれば、現住所が調べられます。ただし、相手が離婚後に転籍をして本籍地を変えている場合、戸籍の附票が取得できないケースがあります。戸籍の附票が取得できるのは、戸籍に載っている本人、配偶者及び直系の血族だからです。相手が離婚後に転籍をした場合、元配偶者であるあなたは戸籍に載りませんので、戸籍の附票を取得できません(子どもが相手と同じ戸籍に入り、一緒に転籍している場合は、この限りではありません)。
弁護士であれば職務上請求ができるため、ご自身で戸籍の附票の取得が難しい場合は、養育費の回収にかかる手続きを弁護士に依頼することも検討しましょう。

法改正で養育費の回収がしやすくなったとはどういうこと?

2020年4月の民事執行法改正で、財産開示手続の強化と第三者からの情報取得手続が新設されました
これにより裁判所を通じて金融機関・市区町村の役所等から相手の財産に関する情報が取得可能となり、養育費を支払わない相手に対し、強制執行が行いやすくなりました。

未払いの養育費に時効はある?

養育費の時効は、原則として各支払日から5年です。
ただし、調停・審判・訴訟で過去の未払い分の支払いについて確定的に取り決めた場合は、その権利が確定した時から10年で時効となります。

取り決め方法 将来分の養育費の時効 過去の養育費の時効
当事者間の協議で合意した場合 5年 5年
公正証書がある場合 5年 5年
調停・審判・訴訟による場合 5年 10年 ※調停・審判・訴訟において、過去の養育費(未払い分)の支払いを確定的に取り決めた場合

養育費の時効については、「養育費の請求に時効はあるか?未払いの養育費への対処法も解説」

[kanren link=”https://nexpert-law.com/rikon/3422/”]

で詳しく解説しております。

養育費未払いへの対応を弁護士に依頼するメリット

養育費未払いへの対応を弁護士に依頼するメリットは、主に以下のとおりです。

個々の事情に応じた適切な対応方法を検討してもらえる

弁護士であれば、個々の事情に応じた適切な対応方法を検討してもらえます。
養育費の未払いへの対応は、取り決めた方法によって取るべき方法が異なります。最も適した方法で効率よく手続きを進めるには、弁護士のアドバイスが不可欠です。

弁護士の介入が自主的な支払いに繋がるケースもある

弁護士が介入すれば、相手が自主的に養育費を支払う可能性があります。
弁護士が代理人となれば、あなたが本気で未払いの養育費を請求する気だと相手に伝わるからです。
相手に対して支払いを催促したり、裁判所への手続きをしたりする手間がはぶける可能性もあります。

煩雑な手続きを任せられる

弁護士であれば、煩雑な手続きが任せられます。
強制執行や財産開示請求は、裁判所に決められた書類を提出しなければいけません。慣れない人にとっては時間と手間がかかる作業です。弁護士に依頼をすればこうした手間から解放されますし、書類の不備なく手続きが進められるので安心です。

まとめ

養育費の未払いに悩む方は多いと思います。養育費は子どもにとって大切な権利ですので、泣き寝入りをせずに適切な方法を取って請求をしましょう。
ネクスパート法律事務所には、離婚案件に実績のある弁護士が在籍しています。養育費の未払いに困ったらできるだけ早く相談をしてください。初回相談は30分無料となりますので、一度お問合せください。

この記事の監修弁護士

弁護士 石田志寿
第二東京弁護士会所属
石田 志寿(登録番号:47706)

はじめまして。ネクスパート法律事務所 東京オフィス弁護士の石田志寿です。

これまで家事事件をはじめ、不倫慰謝料や離婚など男女問題に特化した事件に携わってまいりました。その中でも、夫婦関係や不倫問題のご相談は、法律論だけでなくお気持ちへの配慮が重要となる分野だと強く感じております。

私が大切にしているのは、まずお話を丁寧に伺うことです。ご相談者様が抱えている不安や葛藤を正確に理解したうえで、法的に適切かつ現実的な解決策をご提案いたします。

「相談したら気持ちが落ち着いた」「話しやすかった」といったお声をいただくことも多く、心に寄り添う姿勢と、解決に向けた冷静な判断の両立を常に意識しております。

一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。