離婚してから再婚するまでに一定の期間を置く必要はあるのでしょうか?

この記事では、再婚するまでの期間に制限があるかどうか、以前存在した再婚禁止期間についても解説します。

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離婚してから再婚するまでに期間を置く必要がある?

現在は、男性も女性も離婚後すぐに再婚が可能です。

以前は女性のみに再婚禁止期間が設けられていましたが、202212月に再婚禁止期間の廃止を盛り込んだ民法改正が成立し、20244月から施行されています。

かつては女性に再婚禁止期間が存在した

かつては女性のみに再婚禁止期間が存在していました。

理由は、女性が離婚後にすぐに再婚して出産した場合、子どもの父親が誰なのか争いになる可能性があるからです。

民法は、結婚後200日経過後に生まれた子どもは現在の夫の子どもと推定し、離婚後300日以内に生まれた子どもは、前夫の子どもと推定するとしています。この規定によれば、離婚後すぐに再婚した場合、前夫と現在の夫の両方だと推定される期間が100日間あります。そのため、子どもの父親が誰なのか、争いになるのを避けるために再婚禁止期間が設けられたと考えられます。

再婚禁止期間が廃止されるまでの動き

明治31年に公布・施行された民法における女性の再婚禁止期間は6か月でしたが、20166月から100日間に短縮され、その後、20244月に廃止されました。

再婚禁止期間が6か月から100日間に短縮されたのは、20151216日の最高裁判所大法廷で、100日以内の再婚禁止規定は合憲であるしつつも100日を超える部分については違憲と判断されたことがきっかけになりました(20151216日最高裁判所大法廷判決)。

2016年6月に女性の再婚禁止期間は、離婚後100日に短縮する改正法が成立し、公布・施行されました。それと同時に離婚時に妊娠をしていなければ再婚禁止期間は適用しない旨の改正もされました。

2022年12月に民法の嫡出推定制度の見直し等を内容とする民法等の一部を改正する法律が成立し公布され、20244月から施行されました。この改正では、女性の再婚禁止期間の廃止に加え、以下の点も見直されました。

  • 離婚後300日以内に生まれた子どもは、母親が前夫以外の男性と再婚した場合は再婚後の夫の子どもと推定する(嫡出推定制度の見直し)
  • 嫡出否認権を夫だけでなく母親と子どもにも認める
  • 嫡出否認の訴えの出訴期間を1年から3年に変更する

嫡出推定の制度が見直しされ例外規定が設けられたことで再婚禁止期間は不要となり、条文が削除されました。

再婚禁止期間が廃止されたのはなぜ?

再婚禁止期間が廃止された背景には、無戸籍問題を解消する観点や医学の進歩により父親の特定が容易になったことが挙げられます。

無戸籍問題を解消するため

再婚禁止期間が廃止された背景には無戸籍問題を解消する意図がありました。

嫡出推定の例外規定が設けられる前は、離婚後300日以内に生まれた子どもは前夫の子どもになってしまいます。これを避けるために母親が出生届を提出せずに無戸籍になる問題が生じました。法務省は、20209月時点で無戸籍者が3235名存在すると発表しています。無戸籍状態の子どもは、身分証明ができないばかりか義務教育が受けられず、医療保険の資格も取得できません。こうした不幸な子どもを増やさないために再婚禁止期間が廃止されたと考えられます。

参考:無戸籍者に関する調査結果|法務省

医学の進歩で父親の特定が容易になったため

再婚禁止期間が廃止されたもう一つの背景は、医学の進歩で父親の特定が容易になった点が挙げられます。

再婚禁止期間の規定は、明治時代に制定されました。当時は医学が未発達で、現在のようにDNA鑑定のように父親を特定する手段がなく、父親が不明になることを防ぐために女性に再婚禁止期間を設けたのです。

しかし、医学が進歩した現代では、DNA鑑定により父親の特定が可能となり、この規定を維持する必要性が薄れたといえるでしょう。

まとめ

女性のみに再婚禁止期間が設けられていた点について、疑問に思っていた方も多いことでしょう。父親の特定のためにやむを得なかったとはいえ、再婚禁止期間があったためにさまざまな弊害が生じたことは否定できません。

例えばDVを理由に離婚した人にとっては、離婚後300日以内に生まれたことを理由に前夫が子どもの父親になるのは耐えられないことでしょう。二度と関わりを持ちたくない相手を避けるために出生届を出さず、子どもが無戸籍状態になるのは悲しいことです。再婚禁止期間が撤廃されたことで、このような子どもが減ることを願いたいです。

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