一昔前は結婚をしたら子どもを持つべきという考え方が主流でしたが、現在は必ずしもそうではありません。夫婦の形が多様化している中でも、子どもができないと気に病む夫婦も一定数いるようです。

この記事では、不妊を理由に離婚ができるのかどうか、離婚を考える前にすべきことについて解説します。

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不妊を理由に離婚ができるか?

不妊が理由でも夫婦の合意があれば離婚できます。ただし、合意が得られず裁判を提起する場合は、不妊のみを理由とした離婚請求は原則として認められません。

夫婦間の合意があれば離婚は可能

夫婦間の合意があれば離婚は可能です。

夫婦双方が納得して離婚をするのであれば、特別な理由は必要ないからです。

裁判では不妊のみを理由とした離婚請求は原則認められない

不妊そのものは法定離婚事由に該当しないため、裁判では離婚が認められません

不妊を理由に慰謝料請求は可能か?

不妊のみを理由とした慰謝料請求は、原則として認められないでしょう。ただし、不妊以外に不倫やDV等がある場合には、慰謝料が認められる場合もあります。

不妊のみを理由とした慰謝料請求は原則として認められない

不妊のみを理由とした慰謝料請求は原則として認められません。

離婚で慰謝料請求が認められるのは、基本的に、相手に婚姻生活を破綻させた責任がある場合、すなわち相手が有責配偶者である場合です。

不妊は身体的な症状であり、本人に責任はありません。相手が不妊治療に非協力的であった場合でも、それを原因として慰謝料は請求できません。

他に不法行為があれば慰謝料請求が認められる可能性はある

不妊以外に不法行為があれば、慰謝料請求が認められる可能性があります。

例えば、以下のような場合です。

  • 相手が不倫をした場合
  • 相手からDVやモラハラを受けた場合
  • 相手が生活費をわたしてくれない場合
  • 相手から理由なく性交渉を拒否された場合

不妊が原因でなぜ離婚を考えるのか?

不妊が原因で離婚を考える5つの原因について解説します。

不妊治療の末に夫婦関係が悪化する

不妊治療の末に夫婦関係が悪化し、離婚を考えるケースです。

不妊治療は、検査や治療が必要になることから、心身に負担がかかります。治療を受ける側が痛みやストレスを抱える場合も多く、治療スケジュールの関係で仕事を休んだりセーブしたりしなければならず、精神的にも負担がかかります。こうした事情をパートナーが理解できず、夫婦関係が悪化する場合があります。

不妊の原因は多様であり、どちらか一方にあるとは限りませんが、検査や治療に非協力的姿勢が不和の原因となることもあります。

不妊治療は高額なので、そうまでして治療をすべきなのかと夫婦間で意見が対立し、関係が悪化する場合もあります。

親族からのプレッシャーがかかる

親族から「子どもはまだか」と言われるプレッシャーにより、離婚を考えるケースです。

「早く跡取りがほしい」、「孫の顔を見たい」など、プレッシャーをかける親族がいるのも事実です。さらに「不妊には〇〇を食べたほうがいい」などと述べて、親族が食生活に干渉してくるケースもあるといいます。

こうした親族の言動や行動が負担になり、「こんな思いをするぐらいなら離婚したほうがマシかも…」と考えてしまうこともあるでしょう。

夫婦のどちらかに不妊の原因がある

夫婦のどちらかに不妊の原因があり、離婚を考えるケースです。

不妊を理由に相手を責めるわけにはいきませんが、子どもを持ちたいと強く願っている人は、離婚をして別のパートナーを探したいと考えるかもしれません。

子どもを持つべきという固定観念がある

結婚したら子どもを持つべきだという固定観念があるため、離婚を考えるケースです。

まわりから「子どもを持ってこそ一人前」と言われたり、「子どもがいないと寂しいよ」と言われたりして、結婚生活=子どもを持つべきだと頭にすりこまれる人がいるのも事実です。

こうした固定観念があると、自分が不妊だとわかったときに自己嫌悪に陥り、自分を責めて離婚を考えてしまうこともあるでしょう。

不妊で離婚を考える前にすべきことは?

不妊で離婚を考える前にすべき3つのことについて解説します。

夫婦で子どもについて話し合いをする

夫婦で子どもについて話し合いをしましょう。

2人とも心から子どもを望んでいるのか、子どもがいない人生を考える余地はないのかなど、自分の気持ちを正直に打ち明けましょう。

お互いに本心ではどう思っているのか、理解できないまま離婚を進めていくのはよくありません。
話し合いをしたら他の解決策が見つかるかもしれませんし、万が一見つからなくても前向きに離婚について考えられます。

夫婦が不妊治療を本当に望んでいるか考える

夫婦双方が不妊治療を本当に望んでいるのか考えましょう。

不妊治療を受けるとお金と時間がかかります。夫婦双方が積極的な気持ちを持って取り組めるのなら良いのですが、心のどこかで消極的な気持ちがあると負担になります。

本音では子どもは自然な流れに任せたいと思っているのであれば、その気持ちを隠さずに夫婦で話し合ってみましょう。

子どもができずに配偶者を責めていないか考える

子どもができないと配偶者を責めていないか、考えてみましょう。

先述したとおり不妊を理由に相手を責めるのはお門違いです。もう一度原点に戻って、なぜ配偶者と結婚したのか、振り返るのもいいかもしれません。

まとめ

不妊を理由に離婚を考えるのはとても残念なことです。結婚して子どもがいる人生を思い描いていたのであれば落胆するかもしれませんが、一度冷静になって配偶者と話し合いをしてみましょう。

不妊をきっかけに配偶者からいわれのない暴力や暴言を受けたり、配偶者が不倫をしたりした場合は、離婚を考えても無理はありません。その場合は早い段階で弁護士に相談をして、どのように離婚手続きを進めていくか考えたほうがよいでしょう。

ネクスパート法律事務所には、離婚問題全般を得意とする弁護士が在籍しています。配偶者との話し合いがうまくいかない、暴力や暴言を受けているので慰謝料を請求して離婚をしたいなど、お悩みに沿った解決策を提案いたします。初回相談は30分無料ですので、お気軽にお問合せください。