婚姻届を出さず、あえて内縁関係を選択しているカップルに子どもが生まれた場合、親権はどうなるでしょうか?
この記事では内縁のカップルが親になった場合について、ケース別に解説します。
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目次
内縁関係で子どもが生まれたら親権はどうなる?
内縁のカップルに子どもが生まれたら、親権は原則母親が持ち、子どもは母親の戸籍に入って母親の姓を名乗ります。
婚姻届を提出した法律婚のカップルに子どもが生まれた場合は父親と母親の共同親権になりますが、内縁関係では共同親権は認められず、母親の単独親権となります。
母親は子どもを出産したことで親子関係を証明できますが、父親は認知をしない限り、法律上の親子関係があるとはされません。
認知をすれば、子どもとの間に親子関係が発生し、その結果、扶養義務や相続等の権利義務が生じますが、親権は引き続き母親が持ちます。
2024年5月、共同親権を含む改正民法が公布され、2026年5月までに施行予定です。
改正民法が施行されると離婚後も共同親権の選択ができるようになります。認知された子についても、父母の協議により、父母の双方又は父のみを親権者と定められるようになります。
内縁関係で生まれた子どもを認知する方法
子どもを認知するには以下の方法があります。
胎児認知
胎児認知は、子どもが生まれる前に認知する方法で、子どもが生まれたら効力が発生します。
母親の本籍地で届出をしますが、その際に母親の承諾が必要です
任意認知
任意認知には、届出による認知と遺言による認知があります。
届出による認知
届出による認知は、父親の意思で子どもを自分の子として認めて戸籍法の定めるところによって届け出ることです。
父親の本籍地か住所地、または認知される子どもの本籍地の市町村役場に届け出をします。
ただし、子どもが成人している場合は、子どもの承諾が必要です。
遺言による認知
遺言認知は、遺言書で子どもを認知する意思を示すことです。
父親が亡くなったあとに認知の効力が発生し、父親の相続人になれます。
遺言認知をする場合は、遺言で遺言執行者を指定しておくのが適切です。遺言執行者の指定がない場合は、利害関係人の請求によって家庭裁判所が遺言執行者を選任することになります。
強制認知
強制認知は、父親が認知をしない場合に、調停や裁判によって認知をしてもらう方法です。
認知調停は、父親の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。申立てができるのは、子どもや子どもの法定代理人(母親など)、子どもの直系卑属などです。調停の中で話し合いをして父親と合意でき、その合意について裁判所が正当だと判断すれば、合意に従った審判がされます。
認知がされると出生の時点にさかのぼって法律上の親子関係が生じます。
調停が不成立になった場合は、家庭裁判所に認知の訴えを提起します。裁判では、DNA鑑定などの科学的な証拠をもとに裁判所が親子関係を判断します。
父親が子どもの親権を持つにはどうすればいいか?
父親が子どもの親権を持つには2つの方法がありますので、それぞれ解説します。
共同親権を取得したい場合は婚姻届を出す
共同親権を取得したい場合は、婚姻届を提出して法律婚を選択しましょう。
婚姻届を提出するシチュエーションとして、以下の3つが考えられます。
子どもの出生前に婚姻届を出す
子どもが生まれる前に婚姻届を提出すれば、子どもが生まれたと同時に父親と母親の双方が子どもの親権を持ちます。
子どもが出生後に認知して婚姻届を出す
子どもが生まれた後に父親が子どもを認知し、その後婚姻届を出した場合、婚姻届を提出した時点で父親も親権を持ちます。
子どもが出生後に婚姻届を提出してその後認知する
子どもが生まれた後に婚姻届を提出し、その後生まれた子どもを認知した場合、認知した時点で父親も親権を持ちます。
単独親権を取得したい場合は親権者変更の手続きを経る
本記事公開日現在の現行民法は、父親が認知した子どもの親権は、父母間の協議で父親を親権者と定めたときに限り、父親が行うとしています(民法第819条4項)。
父母間の話し合いで合意ができなければ、家庭裁判所に親権者変更の調停を申し立てます。調停委員が間に入って話し合いをし、合意ができれば親権者変更が可能となります。調停が不成立になった場合は審判に移行し、審判で認められれば親権者変更が可能となります。
ただし、よほどの事情がない限り、裁判所は父親への親権者変更を許可しません。
親権者を変更するということは、現在の子どもの生活環境を変化させることを意味するところ、子どもの生活環境が頻繁に変更されるのは子どもの養育上望ましくないと考えられているからです。
親権者変更を検討する際には、弁護士への相談をおすすめします。
父親の姓を名乗りたい場合はどうすればいいか?
内縁関係のカップルの間に生まれた子どもに父親の姓を名乗らせたい場合は、家庭裁判所に子の氏の変更の許可を得なければいけません。
父親が認知をしても、子どもは母親が筆頭者の戸籍に入ったままなので、父親の姓を名乗れません。
親権者が父親に変更されたとしても、戸籍は自動的に書き換えられるわけではないため、子どもは母親の戸籍に入ったままで、母親の姓のままです。
子どもに父親の姓を名乗らせたい場合は、家庭裁判所に子の氏の変更の許可を得なければいけません。変更が認められれば、役所に届出をすることで戸籍に反映されます。
まとめ
婚姻によって慣れ親しんだ名字を変えたくないという思いなど、さまざまな考え方で内縁関係を選択するカップルがいらっしゃいます。昨今、内縁のカップルも法律婚同様に扱われる面が増えてきましたが、子どもの親権が母親の単独親権となるのが大きな違いです。
内縁のカップルが子どもを授かった場合、子どもの将来を考えてどのような方法を取るのがベストなのか十分に検討をしましょう。
内縁のパートナーとの間に生まれた子どもの親権について法的なサポートが必要な場合は、弁護士への相談をおすすめします。
ネクスパート法律事務所には、男女問題を多数解決してきた弁護士が在籍していますので、ぜひ一度ご相談ください。