財産分与の話し合いをする際、車が対象になる場合がありますが、どのような手続きを進めれば良いでしょうか?

この記事では、車を財産分与する方法とローンを組んでいる場合の注意点について解説します。

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車を財産分与する方法は?

婚姻期間中に購入した車は財産分与の対象となります。

財産分与の方法として以下2つの方法が可能です。

車を売却し代金を分ける

車を売却し、それによって得た代金を2人で分ける方法です。

平等に分けられるやり方ですし分かりやすい方法ですが、車の型式が古い、走行距離が多い場合は車の価値が低くなり査定額がつかないケースがあります。

夫婦のどちらかが取得する

夫婦のどちらかが車を取得し、乗り続ける方法です。

車を取得するほうが、代償金として相手に査定額に応じて半分の金額を払うか、他に財産分与の対象となるものがあればそれを取得させるなどして、平等になるように調整をします。

車のローンが残っている場合の対処法は?

車を購入する際にローンを利用する人も多いことでしょう。

その場合、まずはローンの残債を調べ、車を売却したらどのぐらいの金額で売れるのか査定をしましょう。

ローンの残債が査定額を下回る場合

ローンの残債が査定額を下回る場合(アンダーローン)は、車の評価額からローン残債を差し引いた金額について、財産分与の方法を検討します。

車を手放す場合には、売却した代金でローンを完済し、残った代金を2人で分ける方法もありますし、どちらか一方が車を取得して他方に代償金を支払う等の方法もあります。

例えば、車の査定額が100万円でローンの残債が50万円の場合、ローンを一括返済したなら50万円が手元に残ります。車を売却するなら25万円ずつ分け、どちらかが車を引き続き乗るなら車の資産価値である50万円の半額、25万円を相手に支払います。

ローンの残債が査定額を上回る場合

ローンの残債が査定額を上回る場合(オーバーローン)は、車の資産価値はないとみなされるため、基本的には財産分与の対象となりません。

車以外に分与対象となる積極財産があり、債務<積極財産となる場合には、車を分与対象とすることもありますが、分与対象財産が車のみであれば、分与の対象となりません。

財産分与の対象にならなくてもローンは引き続き払わなければいけません。

一般的には次に挙げるいずれかの方法を取ります。

離婚後に車を取得する人がローンを支払っていく

離婚後に車を取得する人が引き続きローンを支払っていく方法です。

車の使用者名義とローン名義が夫で、離婚後、夫が車を取得してローンを引き続き支払っていくなら特に問題はありません。

離婚後にどちらかがローンを支払い、どちらかが車を使用する

離婚後にどちらか一方がローンを支払い、どちらか一方が車を使用するケースです。

例えば夫がローンを支払い、妻が車を使用する場合が該当しますが、万が一、ローンの支払いが滞ったら車を引き揚げられてしまうこともあるので、その点は気を付けたほうがよいでしょう。

車の使用者名義とローン名義が夫で、離婚後に車を取得しローンの支払いをするのが妻の場合、契約内容にもよりますが、原則ローン返済中の車の使用者の名義変更はできないため、ローンの借り換えを検討しましょう。

車を財産分与する際の注意点は?

車を財産分与する際には、いくつかの注意点がありますので解説します。

財産分与の対象とならない車がある

すべての車が財産分与の対象になるわけではありません。

以下に該当する車は財産分与の対象になりません。

独身時代に自分の資金で購入した車

独身時代に夫婦のどちらかが自分の資金(特有財産)で購入した車は、財産分与の対象になりません。

財産分与の対象となるのは、婚姻中に築いた財産だからです。

親から譲られた車

どちらかの親から譲られた車や、親が購入資金をすべて出した車は財産分与の対象となりません。

なお、親が購入資金の一部を負担した場合は、該当の車を2分の1ずつ財産分与するのではなく、親が負担した金額に応じて夫婦間で取得割合を調整します。

もっとも、当事者間で費用負担者について争いがある場合には、親から金銭の贈与があったことや、それを車の購入代金として費消したことが分かる客観的資料が必要になることもあります。

別居後に自分の資金で購入した車

離婚前に別居し、別居後に自分の資金(特有財産)で購入した、またはローンを支払ってきた車は、財産分与の対象となりません。

車の名義変更が必要な場合がある

車を財産分与した場合、名義変更が必要な場合があります。

例えば、夫(妻)名義の車を妻(夫)が取得したら、必ず名義変更をしましょう。

名義変更をしなければ任意保険への加入ができません。
さらに自動車税の納税通知書は名義人あてに送られますので、相手が転送手続きを取ってくれないと自動車税が未納になる可能性があります。自動車税の未納が続けば車検が受けられない、遅延金が発生する、最終的に差押えの措置をとられてしまいます。

車の名義変更は、離婚前に手続きを済ませましょう。
名義変更には、車検証や新たな所有者の車庫証明書の他に、譲渡証明書、新旧の所有者の印鑑証明書が必要ですので、離婚後に相手と連絡が取れなくなる可能性を考えて、書類のやり取りを確実に行っておきましょう。

名義人が変わる場合は自動車保険の名義変更も必要

車の名義人が変わる場合は、加入している自動車保険の名義変更も必要です。

自動車保険に関する名義変更は、車を主に運転する記名被保険者、保険を契約して保険料を支払う契約者、車検証の所有者欄に記載されている車両所有者の3つがあります。それぞれ名義変更が生じていれば、変更手続きが必要です。

車の名義変更と同様に、離婚前に名義変更の手続きを行いましょう。

自動車保険の名義変更をするにあたっては、等級が引き継げますが、自動車保険は配偶者、同居の親族以外への名義変更ができないため、離婚後に手続きをする場合は、新規で自動車保険の契約をしなければなりません。

等級の引き継ぎができないと保険料が上がるデメリットがあるので注意しましょう。

まとめ

車を財産分与する際には、車を売却するかどちらかが乗り続けるのかによって手続きが異なります。さらにローンを利用している場合は、ローンの残債によって車が財産分与の対象にならないケースがあります。

無事に車の財産分与の話し合いについて合意ができても、名義変更の手続きなど離婚前にやらなければならないことがありますので、忘れずに済ませてしまいましょう。

財産分与について相手と話し合いがまとまらない場合は、弁護士に相談をおすすめします。

ネクスパート法律事務所には、多数の離婚案件を手掛けてきた弁護士が在籍しています。初回相談は30分無料となりますので、ぜひお気軽にお問合せください。