モラル・ハラスメント(モラハラ)とは、言葉や態度によって巧妙に人の心を傷つける精神的な暴力です。

配偶者から日常的に暴言を吐かれたり、必要以上に束縛されたり、価値観を押し付けられたり場合は、モラハラに該当する可能性が高いです。

配偶者のモラハラに我慢ができず離婚を考えた場合、まずはモラハラの証拠を集めましょう。

この記事では、モラハラを証明する有効な証拠や証拠集めをする際の注意点を解説します。

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モラハラで離婚する際、有効な証拠になるものは?

モラハラは身体的暴力と違って立証するのが難しいですが、ここでは、どんな証拠が配偶者のモラハラを立証できるのか解説します。

日々モラハラを受けていたことを記録した日記やメモ

あなたが配偶者からモラハラを受けていると感じたら、その事実を日記やメモで残しましょう。

手書きでもパソコンでも良いので、日時を記載して記憶が鮮明なうちに記録しておくことをおすすめします。最近は、スマホで利用できる日記のアプリがあるので、気軽に日々の出来事を記せますし、パスワード設定ができてプライバシーも守れます。

記録をする際には、できるだけ詳しく記述しましょう。

例えば、公衆の面前で怒鳴られたのであれば、どこで怒鳴られどのような言葉で罵られたのか、その場に知り合いがいたら誰がいたのかを記録しておくとよいでしょう。

配偶者から受けた暴言を録音したデータ

配偶者から暴言を受けた際に、音源を録音しておけば有効な証拠になる可能性があります。配偶者がイライラしてきたな…と思ったら、録音ができるように準備をしましょう。

録音の際は、配偶者の暴言の一言だけを録音するのではなく、どのような状況でモラハラ発言がされたかがわかるように、前後の会話も含めて一定時間録音を行うのが望ましいです。

暴言の一つ一つを取りだして、それだけを切り取った録音では、取るに足りない皮肉や夫婦喧嘩との区別がつきにくく、モラハラを立証することが難しくなるからです。

録音の数が多いほど、日常的にモラハラが繰り返されていることを証明できるため、1回だけではなく複数集めておくことをおすすめします。

今はスマホで簡単に録音ができますので、いざという時きちんと録音ができるように、テストをしておくとよいでしょう。

配偶者が送ってきたLINE

配偶者がLINE・メール等で暴言を吐いてきたら、スクリーンショットで残しておきましょう。

モラハラをする人は、配偶者を束縛・監視し、LINE・メール等を頻繁に送ってくる傾向があります。すぐに返信をしないとそれに対して暴言を吐いたり、いわれのない疑いをかけたりすることもあるでしょう。

こうした一連のやり取りを残しておくのは不快なので、すぐに削除してしまう人もいるかもしれませんが、モラハラの重要な証拠となるのできちんと残しておきましょう。

精神的なダメージで通院した履歴や医師の診断書

モラハラを受け続けると精神的にダメージを受け、心も体も不調になる場合があります。

配偶者が暴言を吐くと動悸がする、日常的に気分が落ち込んでいるといった症状が出たらすぐに病院を受診し、通院した記録を残しておきましょう。

可能であれば担当の医師に配偶者からモラハラを受けている事実を打ち明け、カルテに記載しておいてもらいましょう。

診断書は、結婚前の精神状態は問題なかったこと、結婚後に配偶者の言動で疾病が発生して悪化したことを記載してもらいましょう。

友人など第三者の証言

モラハラをする人は外面が良い傾向がありますが、友人同士で集まった際に、自分を良く見せるため配偶者を貶すケースが多くみられます。

こうした状況を目の当たりにした友人がいれば、いざというときにモラハラの事実を証言してもらえるよう、相談しておくとよいでしょう。

DV相談プラスなど、公的機関での相談履歴

配偶者のモラハラがあまりにもひどい場合、DV相談プラスなどの公的機関に相談することをおすすめしますが、その際の相談履歴もモラハラの証拠となる可能性があります。

相談記録は、相談した機関に情報の開示請求をしましょう。

モラハラを相談できる公的機関については、「DV・モラハラ被害を相談できる窓口7選 」をご参照ください。

モラハラの証拠集めは、どれぐらい集めればいいのか?

モラハラを立証するための証拠集めは、長期間にわたってできるだけ多く集めましょう。

モラハラの証拠は、協議離婚や調停が成立せずに裁判になった場合、裁判官が離婚や慰謝料請求を認めるかどうか判断するための材料の一つです。

裁判で離婚や慰謝料を認めるに足るだけの証拠かどうかを判断するのは裁判官なので、どのぐらいの証拠を集めるべきか明確に提示するのは難しいです。とはいえ、ご自身の主張を裏付けるためにも、出来るだけ多く、長期間、モラハラの証拠を集めておいた方が良いでしょう。

なお、過去の判例で、婚姻後に配偶者から価値観を押し付けられ、従わなければ人格を否定され続けたことに対して、200万円の慰謝料の支払いを認めたものがあります(東京地裁令和元年910日判決)。この判例では、妊娠中の離婚だったことなどが考慮されています。

ご自身が集めた証拠がモラハラを立証するのに役立つか不安であれば、離婚案件を多数手がけている弁護士に相談してみましょう。

モラハラの証拠集めをする際の注意点は?

ここでは、モラハラの証拠集めをする際に注意すべき点について解説します。

いつでも録音できる準備をしておく

配偶者から日常的に暴言を吐かれているなら、いつでも録音ができるように準備をしましょう。

いざというときに慌てないように、日頃から録音機器を操作するタイミングなどのイメージトレーニングをするといいかもしれません。

モラハラの証拠を紛失しないようにバックアップを取っておく

せっかく集めたモラハラの証拠の紛失を避けるために、必ずバックアップを取っておきましょう。

音源や画像は間違って削除しないように、すぐにUSBiCloudGoogle Driveなどのクラウドに保管するなどの対策が考えられます。

証拠として集めたものを配偶者に見つからないように保管する

集めた証拠が配偶者に見つからないよう、厳重に保管しましょう。

苦労して集めた証拠が配偶者によって破棄されてしまったら、元も子もありません。

スマホやパソコンで管理するなら、パスワード設定をするなど対策を練りましょう。

モラハラで離婚を考えている場合、弁護士に相談・依頼するメリット

ここでは、モラハラで離婚を考えている場合、弁護士に相談・依頼するメリットについて解説します。

モラハラを立証する証拠について、的確なアドバイスができる

離婚案件を多数手がけてきた弁護士であれば、どのような証拠がモラハラを立証するのに有効か、的確なアドバイスができます。

先述した方法で証拠集めをしたとしても、果たしてその方法が正しいのか、どのぐらい集めれば良いのか分からない場合があります。

弁護士に相談すれば、経験上、どの程度の証拠を集めれば有効か把握しているので安心です。

配偶者の交渉を弁護士に任せられる

弁護士に依頼すれば、配偶者との交渉を任せられます。

そもそも気に入らないことがあると暴言を吐く配偶者が、離婚や精神的苦痛に対しての慰謝料請求に素直に応じる可能性は極めて低いです。

モラハラを長期にわたって受けてきた人は、多くの場合配偶者の前で委縮してしまい主張したいことができず、自身で話し合いを進めるのは困難です。

弁護士が間に入ることでこうしたリスクが軽減されますし、配偶者も比較的冷静に話し合いに応じる可能性が高まります。何よりも長年にわたり配偶者の暴言に耐えてきた人は、自分をいたわるためにも弁護士に交渉を任せたほうが良いでしょう。

調停や裁判になった場合、代理人として対応できる

配偶者が離婚や慰謝料の支払いに納得せずに調停や裁判になった場合、弁護士に依頼すれば代理人として対応を任せられます。

調停や裁判になったら、書類の作成など事務手続きが必要になるだけでなく、有利にことを運ぶための戦術がカギを握ります。

そのため離婚調停や離婚裁判を多数手がけてきた弁護士の助言が非常に役に立ちます。

配偶者と対峙するのが手ごわいと感じているものの、絶対に配偶者と離婚したいと強く思っているなら、早い段階で弁護士に相談・依頼をしましょう。

まとめ

モラハラは、殴ったり蹴ったりすることと比べて、目に見えにくい暴力であるため、被害に合っていると認識するのが難しいといわれています。

自分が正しいと頑なに主張する配偶者を頼もしいと思う人もいますし、必要以上に束縛されることで配偶者に愛されていると思い込む人もいます。

こうした配偶者の態度が心地良く感じるのであれば、その人にとってモラハラは存在しないといえます。

しかし、自分が望んでいる生活ができず、言いたいことが言えないまま配偶者に対して不快感や恐怖心を抱いているなら、モラハラによって精神的ダメージを受けていると考えてよいでしょう。その場合は勇気を出して公的機関に相談をするなど、すぐに行動を起こしましょう。

それでも関係が改善されず離婚しか選択肢がなくなったら、早い段階で弁護士に相談しましょう。

ネクスパート法律事務所では、離婚案件を多数手がけてきた弁護士が在籍しています。初回相談は30分無料ですので、あなたにとって最善の方法を一緒に考えましょう。