離婚に際して、親権者・監護権者となって子どもを引き取った場合、元配偶者に養育費を請求できます。しかし、中には養育費がもらえないケースもあります。

今回は、養育費がもらえないケースと対処法について解説します。

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養育費がもらえないケースはどんな場合か?

ここでは、養育費がもらえないケースはどんな場合か解説します。

親権を取得できなかった

養育費は子どもの監護・養育のために必要な費用です。子どもの監護・養育をしない場合は、養育費を請求できません。例えば、元夫が子どもの親権者となって監護・養育しているなら、元妻は養育費の請求ができません。

ただし、元夫が親権者でも元妻が監護権者として子どもの監護・養育をしているなら、元妻は養育費の請求ができます。

養育費の取り決めをせずに離婚した

養育費は請求した時点で支払い義務が発生します。つまり養育費について取り決めをしないで離婚したら、相手方に支払い義務はありません。

養育費を請求する側の収入が高い場合

子どもを監護・養育をしている親(権利者)の収入が、子どもを監護・養育していない親(義務者)の収入よりも高い場合は、権利者の収入が義務者と同額である場合の養育費の額を上限とされるのが実務上の扱いです。

ただし、義務者が本来ならもっと稼げるのに、あえて低い収入に甘んじている場合や、意図的に収入を低く抑えている場合などには、潜在的な稼働能力に応じた収入を認定して相当額が認められることもあります。

相手に支払い能力がない

義務者が無職で収入がない場合は、養育費をもらえないことがあります。養育費は通常、算定表を使って算出しますが、義務者の収入をゼロとしてそのまま計算すると養育費も0~1万円になるからです。

しかし、義務者に稼働能力が認められれば、潜在的稼働能力に応じた収入を認定して、養育費の負担額が決められることがあります。無職でも雇用保険を受給していたら、給付額が収入とみなされることもあります。

再婚をして、子どもが再婚相手と養子縁組をした

権利者が再婚をして、再婚相手が子どもと養子縁組した場合は、養親が一次的な扶養義務を負うことになるため、実親の養育費が減額・免除される可能性があります。

ただし、実親は二次的な子どもの扶養義務を負うため、養親に子どもを養育するだけの十分な収入がなければ、引き続き養育費を支払わなければならないこともあります。

養育費をもらわない代わりに子どもとの面会を拒否できるか?

ここでは、養育費をもらわない代わりに子どもとの面会を拒否できるかについて解説します。

離婚したら元配偶者に子どもを会わせたくないと考える人もいるかもしれません。しかし、子どもとの面会は、養育費をもらわないことを理由に、拒否できません。

親との面会交流は、養育費と同様に子どものために行われるものですから、親の都合で拒否することは望ましくありません。養育費はいらないので面会をさせないことができないように、面会しなくてよいから養育費を支払わないという言い分も通りません。

なお、元配偶者が子どもに対して暴力をふるうなど、子どもに不利益がある場合は面会交流を拒否できる可能性があります。

養育費をもらえないケースを避ける方法は?

ここでは、養育費をもらえないケースを避ける方法について解説します。

子どもの親権・観護権を取得する

養育費を請求するには、子どもの親権(法律上の代理などに関する権利)・監護権(現実に子どもを育てる権利)が必要です。離婚時にこれらを取得する必要があります。

離婚前に養育費の合意をして、公正証書を作成する

離婚前に、父母間で養育費についてきちんと話し合い、合意した内容を公正証書で残しましょう。

強制執行認諾文言付公正証書を作成しておけば、養育費の支払いが滞った場合、スムーズに強制執行の手続きに移れます。

元配偶者の所在を把握する

離婚後もできるかぎり元配偶者の所在を把握しておきましょう。養育費の支払いが滞った場合、元配偶者の所在が分からなければ、住所調査等に手間がかかり、回収までの期間が長引きます。

養育費をもらえないときに、弁護士に相談するメリットは?

ここでは、養育費をもらえないときに、弁護士に相談するメリットについて解説します。

養育費がもらえないことに妥当性があるのか的確に判断できる

権利者・義務者の収入や離婚後の生活状況によっては、養育費がもらえないことがあります。弁護士に相談すれば、養育費を請求できるかどうか、養育費をいくら程度受け取れるかどうかなどの的確な判断ができます。

義務者が無職の場合などでも、潜在的稼働能力が認められれば、養育費を受け取れる可能性もあります。「相手が無職だから仕方ない。」とあきらめる前に、弁護士に相談することをおすすめします。

代理人として相手方と交渉ができ、適切な主張ができる

離婚後、元配偶者と会うことは精神的に負担がかかります。弁護士に交渉代理を依頼すれば、養育費に関する相手方との交渉を任せられます。

弁護士であれば、依頼者にとってより有利な内容で話し合いをまとめるために適切に主張できます。元配偶者に対して強く主張できないなど、自ら話し合うことに不安がある方は、弁護士のサポートを得ることをおすすめします。

まとめ

離婚前に養育費についてきちんと取り決めている人は、意外に少ないかもしれません。早く離婚して環境を変えたいと焦る気持ちからそのような状況に陥るようですが、子どもにとって養育費は大切な権利です。

元配偶者と連絡を取ることがためらわれるのであれば、まずは弁護士に相談をしましょう。どうすれば子ども養育のために必要な養育費を請求できるのか、的確なアドバイスができるはずです。