現在、不貞裁判中の方や、これから不貞裁判になりそうな方は、不貞裁判の和解ってどんな内容なの?判決ではなく和解で終わるメリットは?と疑問や不安を抱えていることと思います。
裁判をしているのに和解で終わらせるのは妥協だと感じる方もいるでしょう。
この記事では、不貞裁判の和解についてメリットやデメリットを中心に解説しています。
目次
不貞裁判中に和解案が提示されたら和解すべき?
不貞裁判であなたが慰謝料を請求されている側の場合、和解をした方があなたにとってメリットなことが多くあります。
和解は、当事者双方がお互いの主張を譲歩して解決を目指すからです。
例えば、資力に不安がある場合には分割払いにしてもらえることもあります。実際に、不貞裁判の多くが判決ではなく和解が成立して終わっています。
不貞裁判で和解を勧告されるタイミングは?
原則、裁判所はいつでも和解を勧告できます。
裁判所が和解を勧告するタイミングに制限はありません。当事者双方の合意があればいつでも和解できます。
不貞裁判においては、次の2つのタイミングで和解が勧告されることが多いです。
- 尋問手続きの前に裁判官から和解を勧告される
- 尋問手続きの後に裁判官から和解を勧告される
以下、それぞれのタイミングについて解説します。
不貞裁判の多くの場合、尋問手続きの前に裁判官から和解を勧告される
不貞裁判の多くの場合、尋問手続きを行う前に裁判官から和解案が提示されます。
なぜなら、この段階で既に当事者双方の主張、立証が十分なされているため、ある程度裁判官の心証、つまり判決となった場合にどのくらいの慰謝料額を認めるかについての見通しができているからです。
それを踏まえたうえで、当事者双方に和解を促すのが一般的です。
尋問手続きの後に裁判官から和解を勧告される
尋問手続き後に再度裁判官から和解を勧告されることもあります。
裁判官に直接話を聞いてもらったことにより、尋問前と後で心境が変化することも少なくありません。
そのため、尋問手続き後に判決ではなく再度和解の交渉の場が設けられることがあります。
不貞裁判における和解のメリットは?
不貞裁判における和解のメリットは次の4つです。
- 判決で終わる場合よりも早期解決できる。
- 判決で見込まれる金額より低い金額になる場合がある。
- 支払金額や支払方法を柔軟にできる。
- 裁判所での尋問手続きが不要になる。
以下、詳しく見ていきましょう。
判決で終わる場合よりも早期解決できる
判決で終わる場合よりも和解成立で終わる方が早期解決できます。
不貞裁判の場合、平均で半年から長い場合1年以上かかることもあります。判決に対しては控訴ができることから、さらに長期化する場合もあります。
裁判が長引けば長引くほど、ストレスや精神的負担は大きくなることから、和解による早期解決は大きなメリットと言えるでしょう。
判決で見込まれる金額より低い金額になる場合がある
判決で見込まれる金額より低い金額で和解が成立する場合があります。
判決で見込まれる金額と和解で決まる金額は必ずしも一致するわけではなく、相手との交渉次第では慰謝料額を低くできる場合があります。
和解での慰謝料額は相場が決まっているわけではないので、代理人弁護士と慎重に話し合う必要があります。
支払金額や支払方法を柔軟にできる
支払金額や支払方法を柔軟にできます。
和解の場合、その内容は当事者間の合意があれば原則自由に決められます。
判決の場合、[○○円を支払え。]という一括払いしかできませんが、和解の場合には、当事者双方の話し合いによって分割払いにしたり保証人をいれたりできます。
資力に不安がある場合には和解の方が大きなメリットになるでしょう。
裁判所での尋問手続きが不要になる
裁判所での尋問手続きが不要になることがあります。
前述したとおり、和解勧告のタイミングは尋問手続き前に行われることが多いため、このタイミングで和解が成立すると裁判は終わることから尋問手続きが不要になります。
尋問手続きは、裁判所に行かなければならないだけではなく、傍聴人も居る公開の法廷で、裁判官や代理人弁護士から不貞の具体的内容を聞かれたり、不倫相手の配偶者と顔を合わせることになったりと精神的な負担も大きくなります。
尋問手続きが不要になるのは大きなメリットになるでしょう。
不貞裁判における和解のデメリットは?
不貞裁判における和解のデメリットは、相手の請求を認めることになる点です。
不貞の事実そのものがない、相手の主張を覆す有効な証拠がある場合には和解をするには慎重になった方がよいでしょう。
不貞裁判の和解案にはどのようなものがある?
不貞裁判の和解案には、当事者間に特段の要望がない場合の一般的な和解案と当事者間の要望により合意で決まる和解案とに分かれます。
一般的な和解案
当事者間で特に要望がない場合は、以下の3つの内容を決めます。
- 慰謝料額
- 支払時期と支払方法
- 清算条項
当事者間の合意で決まる和解案
前述したとおり、和解の場合、その内容は当事者間の合意があれば原則自由に決められます。
不貞裁判の場合、以下のような文言を入れることもあります。
- 不貞行為について謝罪する文言
- 不貞相手との接触を禁止する文言
- 裁判の内容について第三者に口外しない文言
- 慰謝料の支払いに保証人をつける文言
不貞裁判の和解で決まった慰謝料を支払わなかったら?
不貞裁判の和解で決まった慰謝料を支払わない場合、強制執行をされる可能性があります。
和解が成立すると、その内容は和解調書に記載され、確定判決と同一の効力を有します。
したがって、あなたが和解で決まった義務を果たさなかった場合には、その和解調書をもとに強制執行が可能です。
あなたの預金口座や給料が差し押さえられることになるので、和解で決まった内容は必ず守るようにしましょう。
まとめ
不貞裁判では不安や怒りで感情的になってしまうことも多々あるかと思います。
和解が成立せずに判決になると還ってあなたにとって不利になることもあるでしょう。和解の成立を目指すには慰謝料額の検討や交渉の検討が必要になります。
和解成立はあなたにとってメリットが多いものではありますが、あなた一人の交渉では相手の代理人弁護士に言われるがままの内容になってしまい後悔することもあるでしょう。
あなたが納得できる和解をするためには経験豊富な弁護士に相談することをお勧めします。ぜひネクスパート法律事務所へご相談ください。