不倫相手が妊娠したものの、不倫関係という事情から出産を断念せざるを得ず、中絶を選択したケースもあるでしょう。
関係解消後、不倫相手から「中絶慰謝料を払って欲しい」と連絡が来るケースもあります。
不倫相手から中絶慰謝料を請求された場合、慰謝料の支払い義務が生じる可能性があります。
さらに、不倫関係が配偶者にバレるリスクもあるため、初動対応が重要です。
この記事を読み、適切な対処方法を一緒に検討しましょう。
目次
不倫相手から中絶慰謝料を請求された!支払い義務はある?
不倫相手から中絶慰謝料を請求された場合でも、原則として支払い義務はありません。
しかし、次の4つのケースに該当する場合には、慰謝料の支払い義務が生じる可能性があります。
- 妊娠・中絶の際に不誠実な対応をした
- 避妊していると嘘をつき避妊せずに性交渉をした
- 暴力・脅迫により中絶を強要した
- 性交渉を強要した
以下、詳しく説明します。
原則として支払い義務はない
不倫相手から中絶慰謝料を請求されても、原則として支払い義務はありません。
慰謝料請求の根拠となる不法行為の成立には、何らかの権利・利益の侵害が必要です。
双方が合意し、肉体関係を持ち、妊娠に至り、中絶も双方の合意に基づくものである以上、権利侵害があったとはいえません。
しかし、妊娠や中絶に至る過程で、不倫相手に対する何らかの権利侵害があった場合には、慰謝料の支払い義務が生じる可能性があります。
例外①|妊娠・中絶の際に不誠実な対応をした
妊娠・中絶の際に不誠実な対応をした場合には、慰謝料の支払い義務が生じる可能性があります。
例えば、次のような行動が挙げられます。
- 妊娠を告げられた途端、一方的に連絡を遮断した
- 中絶に関する話し合いを避けるなど、あなたの曖昧な態度によって中絶時期が遅れた
- 中絶を決めるまでの間、攻撃的な発言や冷淡な態度を取り続けた
妊娠や中絶は、不倫をした2人が共同で行った性行為に由来するものであるため、中絶によって女性側が被る精神的・肉体的負担や不利益については、男性側もできる限り配慮し、精神的・肉体的負担を解消する義務があると考えられます。
したがって、この義務を怠り、不誠実な対応をした場合には、慰謝料の支払い義務が生じる可能性があるでしょう。
例外②|避妊していると嘘をつき避妊せずに性交渉をした
避妊していると嘘をつき避妊せずに性交渉をした場合には、慰謝料の支払い義務が生じる可能性があります。
女性側が、その事実を知っていたら性行為には応じなかった場合には、合意があったとは言えません。虚偽の事実を伝えたことで、女性は、誰との間の子を妊娠するのかを決める自己決定権が侵害されたと考えられます。
したがって、不法行為が成立し、慰謝料の支払い義務が生じる可能性があるでしょう。
例外③|暴力・脅迫により中絶を強要した
暴力・脅迫により中絶を強要した場合には、慰謝料の支払い義務が生じる可能性があります。
暴力行為や脅迫行為そのものが不法行為を構成します。
さらに、民事上の責任だけでなく、刑事上の責任を問われる可能性もあります。
なお、「おろして欲しい。」との要求のみでは、脅迫には当たらないでしょう。
例外④|性交渉を強要した
性交渉を強要した場合には、慰謝料の支払い義務が生じる可能性があります。
不倫相手の合意なく、無理やり性交渉したケースです。
この場合には、慰謝料も高額になる可能性があるでしょう。
不倫相手の中絶により慰謝料以外の費用負担が発生する可能性も
不倫相手が中絶した場合には、慰謝料以外にも次の費用負担が発生する可能性もあります。
- 中絶手術費用
- 妊娠中の診療費・交通費
- 休業損害(中絶に伴い仕事を休んだ場合の減収分)
以下、詳しく説明します。
中絶手術費用
中絶手術費用の負担です。
基本的に、男性側には中絶手術費用の半分を負担する義務があると考えられています。
中絶手術による身体的・経済的負担は、不倫をした2人が共同で行った性行為に由来するものであるため、その行為の結果として生じたものとして、それらの不利益を、不倫をした2人が等しく分担すべきとするのが裁判所の考え方だからです(東京高判平成21年10月15日)。
なお、中絶手術費用はおおむね次のとおりです。
| 妊娠期間 | 中絶手術費用 |
|---|---|
| 妊娠11週6日まで(初期中絶) | 10~20万円程度 |
| 妊娠12週~21週6日まで(中期中絶) | 30~50万円程度 |
中絶をする女性の身体的・精神的負担は大きいため、男性側が全額負担することで、女性の心理的安定が図られ、トラブルを最小限に抑えられる場合もあるでしょう。
妊娠中の診療費・交通費
妊娠中の診療費の負担です。
中絶手術費用のほかにも、中絶手術前後の妊娠中の診療費や交通費などについて負担することもあります。
休業損害(中絶に伴い仕事を休んだ場合の減収分)
休業損害(中絶に伴い仕事を休んだ場合の減収分)の負担です。
中絶手術に伴い仕事を休んだ場合には、その減収分を休業損害として負担することもあります。
ただし、本章で説明した3つの費用は、全額支払い義務が生じるものではありません。
不倫相手との話し合いにより、どちらがどの程度負担するかを決める必要があるでしょう。
不倫相手の中絶した子が自分の子か不安!確認する方法はある?
「本当に自分の子なのか?」と疑う気持ちが拭えない方もいるかもしれません。
中絶手術後しばらく経ってからでは、中絶した子が自分の子であるかを確認する方法はありません。
中絶後のDNA鑑定では、中絶手術後の胎児細胞(摘出組織)が必要です。
したがって、中絶後のDNA鑑定を考える場合には、中絶前にDNA鑑定の実施を決める必要があります。
配偶者にバレずにトラブルを解決したい場合は弁護士に相談を!
不倫相手から中絶慰謝料を請求された方で、配偶者にバレずにトラブルを解決したい場合は、一度弁護士に相談することをおすすめします。
妊娠や中絶は、不倫をした当事者2人が共同で行った性行為の結果として生じたものであり、本来、その責任も2人が共同で負うべきです。
弁護士に依頼する場合には、弁護士費用も発生するため、できれば2人で話し合えるのが理想でしょう。
支払い義務が発生するケースでも、法律相談で慰謝料額の妥当性を確認することで、当事者間の話し合いで解決を図れることもあります。この場合は、経済的負担も少なく済むでしょう。もっとも、慰謝料が合意できた場合には、適切な合意者等の作成が必要なため、合意書等の作成も含めて弁護士に依頼を検討するのも一つの方法です。
支払い義務が生じないケースでは、相手が感情的になっていることも多く、義務がないことを丁寧に説明しても、当事者間での解決が難しくなることが少なくありません。執拗な連絡が来たり、要求がエスカレートしたりすることで、配偶者にバレるリスクも高くなります。
そのため、配偶者にバレるのはどうしても避けたい、あなた一人では話し合いができそうもない場合には、弁護士への依頼を積極的に検討しても良いかもしれません。弁護士に依頼することで、法的なトラブルへの備えはもちろん、プライバシーへの配慮や迅速な対応が期待でき、結果として費用以上の安心感を得られることもあります。
なお、不倫相手から中絶慰謝料を請求されたことがきっかけで、妻に不倫関係がバレ、妻からも離婚や慰謝料を請求された、あるいはされそうな方は、早めに弁護士に相談し、弁護士を介入しての解決をおすすめします。
まとめ
不倫相手から中絶慰謝料を請求された場合でも、原則として支払い義務はありません。
しかし、次の4つのケースに該当する場合には、慰謝料の支払い義務が生じる可能性があります。
- 妊娠・中絶の際に不誠実な対応をした
- 避妊していると嘘をつき避妊せずに性交渉をした
- 暴力・脅迫により中絶を強要した
- 性交渉を強要した
当事者同士では話し合いができそうもなく、配偶者にバレずに解決したい方は、一度弁護士にご相談ください。
ネクスパート法律事務所では、不倫問題に強い弁護士が多数在籍しています。
初回の相談は30分無料ですので、お気軽にご相談ください。
この記事の監修弁護士

はじめまして。ネクスパート法律事務所 東京オフィス弁護士の石田志寿です。
これまで家事事件をはじめ、不倫慰謝料や離婚など男女問題に特化した事件に携わってまいりました。その中でも、夫婦関係や不倫問題のご相談は、法律論だけでなくお気持ちへの配慮が重要となる分野だと強く感じております。
私が大切にしているのは、まずお話を丁寧に伺うことです。ご相談者様が抱えている不安や葛藤を正確に理解したうえで、法的に適切かつ現実的な解決策をご提案いたします。
「相談したら気持ちが落ち着いた」「話しやすかった」といったお声をいただくことも多く、心に寄り添う姿勢と、解決に向けた冷静な判断の両立を常に意識しております。
一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。












