ホテルの倒産|手続きの流れや注意点を解説 - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

ホテルの倒産|手続きの流れや注意点を解説

2023年4月にホテル事業を展開するユニゾグループが民事再生法の適用を申請したニュースが報道されました。生き残りをかけた厳しい競争が強いられる中、新型コロナウイルス感染拡大が追い打ちをかけ、倒産するホテルは増加傾向にあります。

今回は、ホテルが倒産に至る要因や、手続き方法と注意点について解説します。

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ホテルが倒産に至る要因は?

ここでは、ホテルが倒産に至る要因について解説します。
ホテルの経営が立ち行かなくなるのは、主に4つの原因が考えられます。

資金不足

ホテルを経営するには、設備費用などで莫大な資金がかかります。初期費用として少なくとも数千万円が必要だといわれており、そのため銀行から融資を受けて資金を調達します。
借りたお金が大きければ大きいほど返済額が負担になりますし、ホテルを運営していく上で人件費や光熱費などの維持費もかかります。売り上げが上がらなければ、それだけ経営状態は苦しくなります。

新型コロナウイルス感染拡大のときのように、人の動きがストップするとホテルの稼働率が下がり利益が落ちます。そうすると返済だけでなくホテル経営を維持していくための資金不足に陥り、倒産に至ります。

人手不足

ホテルを運営していくには、働く人を確保しなければいけません。しかし、求人をしても人材が集まらなければホテルを運営できず、結果的に倒産します。

2023年1月に帝国データバンクが発表した人手不足に対する企業の動向調査によると、ホテルや旅館を経営する企業の8割が人手不足を感じていると回答しており、旅館・ホテル業が業界の中で最も人手不足に陥っていることが分かります。
原因は、ホテル業界に憧れて就職したものの、長時間労働や顧客へのクレーム対応など、理想と現実のギャップに苦しみ離職する人が多いことが挙げられます。

後継者不在

後継者がいないため、ホテル廃業に追い込まれる事例もあります。

典型的なパターンは、後継者の育成ができないまま、代表者が老齢・病気になり経営が立ち行かなくなる事例で、事業承継がスムーズにできないことが原因です。

競争激化

日本国内の主要都市・観光地では、ホテルの新規開業が続き、生き残りをかけた競争が激化しています。そのあおりを受け、撤退に追い込まれるホテルも数多くあります。

日本の代表的な観光地である京都市は、2022年にホテル・旅館の数が7年ぶりに減少したと市が発表しています。コロナ禍前に数多くのホテルがオープンしたものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響も相まって業績が悪化し、競争に敗れたホテルが淘汰されています。

ホテルの倒産手続きの種類①|M&Aによる廃業

ここでは、ホテルの倒産手続きとしてM&Aによる廃業を選択した場合について解説します。

事業譲渡

事業譲渡は、会社そのものではなく、会社が行う事業の一部または全部を他の会社や個人事業主に売却することです。会社の経営権は残して撤退したい事業だけを引き取ってくれる相手を探し、従業員ごと引き取ってもらうことで、買い取った側との相乗効果が期待できる場合があります。

事業譲渡の手続きは3か月から1年程度かかりますが、売却先や譲渡資産、譲渡価格が決定すれば、比較的短期間で手続きができます。買い手が見つからない場合などは、10か月~1年以上の期間がかかることもあります。

会社売却

会社売却は、会社が保有する株式を第三者に譲渡する方法で、株式譲渡ともいいます。M&Aの手続きで活用される機会が多い方法です。

会社の所有者が変わりますが、会社自体は消滅しないので事業が継続できます。従業員の雇用が守られ、取引先への影響も最小限に抑えられます。

会社売却の手続きは、3か月から6か月ほどかかりますが、経営者が発行済株式を単独で所有している場合は、スムーズに手続きが進められます。
会社売却は、主に経営者の身内や会社内部に後継者がいないときに利用されます。

吸収合併

合併とは、複数の会社が1つの会社になることですが、その一つである吸収合併は、1社を残して他の会社はすべて消滅する方法です。合併後に存続する会社は、消滅会社の資産、負債、権利関係をすべて承継します。

株主の一部が反対しても、経営者と賛同者が総議決権の3分の2以上の株式を有していれば吸収合併ができます。つまり、すべての株主の賛同を得る必要はありません。
手続きは2か月から4か月程度かかりますが、合併先や対価が決まれば早期に進められます。

会社分割

会社分割は、1つの会社を2つ以上に分割することです。会社の事業の一部を他の会社に移転する場合に利用される方法です。すでにある会社に事業の一部を移転する吸収分割と事業の一部を移転するために新たに会社を設立する新設分割があります。

会社分割は、株主総会に総議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が得られれば実現できます。
ただし、会社分割を行う際には、自社を分割する旨と、その分割に対して所定の期間内(約1か月以上)に異議申し立てができることなどを官報に公告しなければなりません。既に判明している債権者にも通知が必要なので、最低でも2か月以上の期間がかかります。

ホテルの倒産手続きの種類②|再建型の倒産手続き

ここでは、ホテルの倒産手続きとして再建型の倒産を選択した場合について解説します。

民事再生

民事再生は、民事再生法に基づき、裁判所の監督下で会社の経営陣が再建を図る手続きです。経営陣が退任せずとも引き続き経営に携われるのが特徴で、従業員が削減される可能性はあるものの、一定の雇用が継続できます。

民事再生の申立てをしてから6か月ほどで再生計画案の認可決定がなされます。再生計画決定後も、原則として3年間は、監督委員が履行(返済)の監督にあたります。
3年が経過すれば裁判所が再生手続きが終結し、監督委員の職務も終了しますが、会社は残った債務を再生計画どおりに返済し続ける必要があります。

再生計画どおりの弁済が終了すれば、すべての債権が消滅します。

会社更生

会社更生とは、会社更生法に基づき株式会社だけに適用される法的整理です。会社更生法は倒産のおそれがある会社に適用されるため、これまでの経営陣は退き裁判所が選任した更生管財人が選んだ新たな経営陣で再建を目指します。

つまり、経営者がこれまで行ってきた事業の立て直しを、第三者の手に委ねることになります。
会社更生法は、債権者数が多く債権額が大きな大規模な会社を想定して作られた法律で、株式会社に適用が限定されます。時間と費用が掛かり、すべてが終了するまで1年以上かかる場合があります。

任意整理型の再建手続き

任意整理型の再建手続きとは、債権者と債務者が交渉によって会社の再建を目指す手続きです。業績不振に陥った段階で、経営陣が金融機関に対して返済の条件の変更を相談するなどの純然たる私的整理も含みます。

法的整理とは違って裁判所の関与がないため費用があまりかからず、手続きが公にならないことから会社が置かれている状況を知られずに済むメリットがあります。

ただし、手続きに強制力はなく、債権者との話し合いが上手くいかなければ法的手続きに頼らざるを得ません。債権者の数が多い場合には、全債権者との交渉に多くの時間を必要とします。

したがって、任意整理型債権では、関係者の利害調整をうまく行うことが重要です。
債権者との協議をうまく進めていくために、下記の公的な再生支援機関を活用するのも一つの方法です。

  • 中小企業再生支援協議会による再生支援
  • 中小企業再生ファンドによる再生支援
  • 企業再生支援機構による再生支援
  • 事業再生ADRによる再生支援

ホテルの倒産手続きの種類③|清算型の倒産手続き

ここでは、ホテルの倒産手続きとして、清算型の倒産手続きを選択した場合について解説します。

通常清算

すでに解散した会社の債権債務を整理し、残った財産を株主に分配することを清算といいます。
清算手続きの一つである通常清算とは、会社に残っているすべての債務の支払いをしても資産がマイナスにならない場合にとられる方法です。通常清算手続きは、会社(法人)を清算する場合の最も原則的な手続きとして、会社(法人)がその対象となります。

通常清算手続きは、株式総会による解散決議からスタートし、解散と同時に清算人を選任します。
選任された清算人は、現在業務の終了、債権の取り立て・債務の弁済、残余財産の分配など、清算が完了するまでの一連の業務を行います。裁判所が関与しないので、他の清算手続きと比べ、柔軟な対応ができるのが特徴です。

特別清算

特別清算とは、解散して清算手続中の会社に、清算の遂行に著しい支障を来すべき事情や債務超過の疑いがある場合に、債権者、清算人、監査役または株主の申立てにより、裁判所の命令によって行われる清算手続きです。株式会社のみが対象となります。

特別清算手続きは、通常清算手続きと同様に、清算人が清算結了に向けて清算事務を行いますが、通常清算手続きと異なり、清算事務は、裁判所の監督下で行われます。
特別清算を行うには、債権者の合意が必要です。これが得られない場合は、破産手続きを選択しなければいけません。

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破産

破産は、債務超過となった会社がすべての財産を金銭化して債権者に公平な配当を行う手続きです。
裁判所に破産の申し立てをして、裁判所で選任された破産管財人が中心となって行います。

破産手続きは、自然人・法人を問わずに利用でき、法人も株式会社だけでなく各種法人について利用できます。破産手続きを行うためには、債務者が支払不能または債務超過にあることが必要です。
破産手続きが終結して登記が行われると法人格が消滅します。

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ホテル倒産はどのような流れで行うか?

ここでは、ホテル倒産はどのような流れで行うのかについて解説します。

事業停止日を決め、宿泊予約客への対応を行う

ホテルの倒産手続きで最も重要なのは、予約客に留意して事業停止日を決めて計画的に倒産の手続きを進めることです。
旅行代理店や、インターネット経由で予約を受けている場合は、事業停止日を決めたら、委託している会社へ事前連絡をして予約を止めるように依頼します。

場合によっては、キャンセルを依頼することもあります。廃業予定を一般公開すると、それ以降、事業停止日までの宿泊客が減少する可能性もあるため、公開のタイミングも留意してスケジューリングを行います。

各種契約を解約する

ホテルは運営する上で、さまざまな会社と契約を結んでいます。そのため事業停止日が決まったら、各種契約の解約手続きをしましょう。

業務委託契約

ホテルはレストラン、婚礼、売店、ケータリングなどさまざまな種類のサービスを提供しています。外部の業者と業務委託契約を結んでいることが多いため、事業停止日以降、すべての契約を終了する手続きをします。

リース会社

ホテルの設備や機器をリース、もしくはレンタルしている場合は、契約の解除とともに返却の手続きをとります。リース・レンタルしている厨房機器などをあらかじめリストアップしておくと手続きがスムーズにできます。

なお、分割の支払いで購入した設備がある場合は、支払いが終わっていなければ所有権留保されていることがほとんどなので、リース契約と同様に返却します。

リゾート会員権を販売する企業との契約解除

リゾート会員権を販売する企業にホテルの部屋を貸している場合は、事業停止日以降の契約を解除しなければいけません。この点を怠ると事業停止日以降に予約が入ってしまうおそれがあるので、注意しましょう。

宿泊客の斡旋契約

旅行代理店や楽天トラベル、じゃらんなど、インターネット予約サービスを利用しているホテルは、事業停止日以降に予約が入らないように契約の解除手続きをしなければいけません。

契約の解除手続きは、契約時に交付された約款で契約内容を確認し、場合によっては契約先に問い合わせをしながら進めていきます。

クレジットカード会社との加盟店契約

昨今は、宿泊料が比較的高額になることやインバウンド客の増加を鑑み、クレジットカード会社と加盟店契約を結んでいる宿泊施設が多いです。そのため倒産手続きを進める上で、クレジットカード会社との加盟店契約の解除手続きも必要です。

事業の清算に伴って契約を解除するにあたっては、主に以下の留意事項があります。

  1. カード会社に保証金を預託している場合は、返還を受ける必要がある
  2. カードを利用するための機器をレンタルしている場合は、返還の必要がある

会員権やクーポン券などの処理

リゾートホテルでは、ゴルフ場のように会員権を販売していることがあります。廃業を決めたら、会員規則等の定めに従って、会員に対して預託金などの返還が必要です。

さらにクーポンや回数券など、割引価格での対価の支払いを受けた上で、特定のサービス(温泉の利用など)を提供しているホテルもあります。この場合も、返金などの処理が必要です。ただしクーポンや割引券は無記名式で発行していることが多いため、ホテル側も債権者が誰なのか把握できないこともあります。

この場合は、法人の解散広告後の債権申出期間内に、債権者から債権届出の申出がされないことにより清算から除斥されるものとして処理できる場合もあります。場合によっては、清算決了後のトラブル発生を防ぐために、事業承継型の廃業を検討する必要もあります。

従業員の解雇に関する手続きをする

労働基準法上、従業員の解雇は30日前までに解雇予告をしなければいけません。
特にリゾート地のホテルで働く従業員は、住み込みで働いていることが多いため、解雇後の住居について考えなければいけません。従業員への解雇予告は早ければ早いほどよいですが、混乱を招くこともあるため、事前に弁護士に相談することをおすすめします。

行政機関へ届け出をする

ホテルは、開業時に旅館業の許可を取っていますので、倒産手続きをする際に廃業の届け出が必要です。
営業を停止または廃業した場合は、10日以内に保健所長または福祉センター等(都道府県または市区町村によって異なる場合があります)に旅館業営業停止・廃止届を提出しなければなりません。

民泊事業を手掛けている場合は、開業時に住宅宿泊事業の届出を住宅の所在地を管轄する都道府県知事に行っているので、併せて廃業の届が必要です。
その他、ホテルが施設ごとに取っている可能性がある許認可は、下記のとおりです。

飲食店営業の許可

ホテル所在地を管轄する保健所が窓口となり、廃業届を提出します。

風俗営業の許可(ホテル内でスナック、キャバレー、ゲームセンター等を営む場合)

ホテル所在地を管轄する警察署が窓口となり、廃業となった日から10日以内に返納理由書、許可証、管理者証を提出します。

温泉利用の許可

ホテルを管轄する保健所が窓口となり、温泉利用施設の廃止届書と利用許可書を提出します。

酒類販売業の免許

ホテルを管轄する税務署が窓口となり、酒類製造(販売業)免許の取消の申請を行います。

たばこ小売販売業の許可

ホテルを管轄する財務局または財務事務所が窓口となり、製造たばこの小売販売業の廃止の届け出をします。

ホテル倒産を考えた時、弁護士に依頼するメリットは?

ここでは、ホテル倒産を考えた時、弁護士に依頼するメリットについて解説します。
旅館・ホテル等は、不動産及びその附属設備を軸とする産業なので、廃業にあたっては、不動産等を処分するために多大なコストと時間がかかります。

さらに多数の従業員を雇用していることから、当該地域における雇用問題に大きな影響を与える場合もあります。
どの手続きを選ぶにしても、事前の綿密なスケジューリングが求められ、計画的な処理を行う必要があります。その観点から、弁護士のサポートを得ながら進めていくことをおすすめします。

破産手続きにもお金がいるので、資金ゼロになる前に弁護士に相談してください。

まとめ

日本は2003年に観光立国を掲げ、訪日外国人旅行者1000万人を目標とするビジット・ジャパン・キャンペーンを策定しました。それ以来、インバウンド観光に力を入れようと各地でホテルの建設が増えました。

そのためホテル業界では生き残りをかけた競争が激化し淘汰されていくホテルが増え、さらに2020年の新型コロナウイルス感染拡大が追い打ちをかける形となりました。

ホテル事業はさまざまな種類のサービスを提供していることから、倒産となると数多くの手続きが必要です。宿泊客をはじめとした第三者への影響を最小限にとどめるために、綿密なスケジューリングで進めていかなければいけません。

ホテルの倒産を考えたら、すぐに弁護士に相談をしましょう。弁護士であれば、できるだけ負担がかからない方法で手続きができるようにアドバイスが可能です。

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