合同会社は2006年の会社法の施行により、新しく設立することができるようになった会社です。
誰もが知る大きな会社でも合同会社を選択しているなど、これまで多くの合同会社が設立されてきました。
この記事では、合同会社の破産・倒産手続きについて解説していきます。

合同会社の倒産方法
合同会社が倒産する場合に選択することができる方法は、法人破産か民事再生です。
法人破産は、会社の財産をすべて処分(換金)して債権者に配当します。
配当しても不足する債務については、破産をすることで会社の法人格は消滅しますので、法人の消滅とともに消滅することになります。
合同会社の社員は有限責任とされますので、出資の限度で責任を負いますが、残債務を返済する義務を負わないのが原則です。
ただし、合同会社の代表社員が会社の債務の連帯保証人などになっている場合、連帯保証人である代表社員が債務を引き継ぐことになります。
もし返済できるような金額でない場合には、代表社員個人の自己破産を検討する必要があります。
一方民事再生は、会社の存続が前提となります。会社が存続するので、事業の継続が可能です。
裁判所に再生手続きを申立て、一部の債務の支払いをするので、残りの債務は免除してもらうという、債務の減額をする手続きです。
民事再生をするにはいくつかのハードルがあり、主に以下の条件を満す必要があります。
- 民事再生手続きの申立原因があるか
- 民事再生を行えば事業を継続できるか、当面の運転資金はあるか
- 申立費用が準備できるか
- 履行できる再生計画案を作成し、債権者からの同意を得られるか
法人破産の流れ
まずは法人破産の流れです。株式会社と同様の流れになります。
1 申立書や必要書類の準備
裁判所に提出する申立書や必要書類の準備をします。
弁護士に依頼すると、申立書は弁護士が作成しますが、作成に必要な事情の聞き取り、必要書類の収集などは代表社員の協力が必要となります。
2 裁判所に法人破産の申立てを行う
申立書と必要書類がそろったら、弁護士が裁判所に申立てを行います。
3 破産手続開始決定
裁判所において申立書やその他の書類を確認し、債務超過などの要件を満たせば破産手続が開始します。
4 破産管財人が選任される
裁判所が破産管財人を選任します。
破産管財人が行う調査には協力しなければなりません。
破産管財人が財産の売却などを行います。
5 債権者集会
債権者集会が裁判所内で開かれます。
多くの場合には債権者が出席することはありません。
破産会社の代表社員、破産手続を依頼した弁護士、破産管財人、裁判官が出席し、破産管財人が行った調査についての報告などがなされます。
債権者集会の詳細については、弊所債務整理サイトの記事「債権者集会とは?一般的な流れや回数・出席時の服装まで詳しく解説」をご参照ください。
6 債権者への配当
破産管財人が財産の売却などをして、債権者への配当が行われます。
7 破産手続終結決定
配当が終わると破産手続は終結します。
合同会社の代表社員個人も自己破産手続をしている場合には、このあと免責審尋があり、免責許可決定が出れば債務は免除されます(一部税金や養育費など免除されないものもあります)。
民事再生の流れ
次に民事再生の流れです。
1 申立書や必要書類の準備
法人破産手続と同様、裁判所に提出する申立書や必要書類の準備をします。
2 裁判所に民事再生の申立てを行う
申立書と必要書類がそろったら、弁護士が裁判所に申立てを行います。
民事再生の場合には、申立代理人弁護士が事前に裁判所に相談をしてから申立てを行うこともあります。
3 保全処分の決定
保全処分の決定が出されると、会社は債務の支払いをしなくてもよいことになります。
4 監督委員が選任される
保全処分と同時に、裁判所が民事再生手続きを監督する監督委員を選任します。
5 債権者説明会の開催
債権者説明会を開催します。会社が主催し民事再生に至った経緯などの説明をするものです。
6 再生手続開始決定
裁判所が再生手続開始決定を出します。
7 財産目録及び貸借対照表、報告書の作成
会社は財産目録及び貸借対照表、報告書を作成し、裁判所に提出します。
8 再生計画案の作成
再生計画案を作成します。
どの程度の金額について免除をうけ、残りの債務をどのくらいの期間でどのように返済するのかを計画します。
裁判所と債権者に同意を得られる内容である必要があります。
9 債権者集会・再生計画案の議決
作成した再生計画案は、債権者集会によって決議されます。
再生計画案が可決され、裁判所が再生計画案を認可すると、その計画とおりに支払いを行うことになります。
再生計画の履行が終了すると、民事再生手続きは終結します。
まとめ
手続の流れは以上のとおりです。
一部裁判所により流れが異なる場合もありますがおおまかにはこのような流れとなります。
どちらの手続きを選択するか、今の会社の状況で民事再生を選択することができるか、個別の事情については弁護士に相談することをおすすめします。