通販会社の倒産・破産手続きの特徴や注意点をわかりやすく解説!

通販会社は、顧客の幅広いニーズに応えるため多数の在庫品を保有せざるを得ない一方で、クレジットカード決済の代金回収までのスパンが最長2か月かかるなどの理由から運転資金に不足が生じることも少なくありません。

通販会社の倒産・破産手続きには、債権者に一般の消費者が含まれるのが特徴です。

通販事業では、日々、顧客からの注文や入金があるため、通販会社が倒産・破産手続きを進めるにあたっては、事業を停止するタイミングに注意しなければなりません。

この記事では、通販会社の倒産・破産手続きの流れや注意点をご説明します。

倒産・破産を検討中の通販会社・経営者の方は、ぜひご参考になさってください。

目次

通販会社の倒産・破産手続きは大変?通販会社特有の問題とは

ここでは、倒産・破産手続きにおける通販会社特有の問題について解説します。

債権者に一般の消費者が多数含まれる

通常、会社の倒産・破産手続きでは、債権者の大半を金融機関取引先などが占めます。

通販会社の場合は、債権者に利用者である一般の消費者が多数含まれるのが特徴です。

破産申立てにあたり、通販会社が運営する通販サイト等を利用した顧客の中に、代金を支払ったのに商品を受け取れない顧客がいれば、それらの顧客を債権者として申告しなければなりません

事業を停止するタイミングやその方法によっては、債権者に数百人以上の一般消費者が含まれる可能性があります。

問い合わせや苦情処理に多大な労力を要する

代金を支払ったのに商品が届かなければ、顧客から苦情が出るのは当然の反応です。

一般の消費者は、金融機関等に比べて破産手続きに詳しくないため、突然裁判所から書面が届いても、どのように対応すべきか分からず、問い合わせが殺到することも予想されます。

これらの問い合わせや苦情への対応に、多大な時間や労力がかかる可能性があります。

営業を停止するタイミングによっては混乱を避けられない

営業を継続している以上、日々注文と入金が繰り返されるため、営業を停止するタイミングに十分注意しなければなりません。

突然営業を停止すると、従業員や取引先に破産手続きの準備を進めていることを知られ、混乱を生じる可能性もあります。このようなリスクを抑えながら、発送できない注文・入金数を減らせるように、商品を品切れ表示にするなどの対応が必要です。

倒産準備の詳細は、「会社の倒産前に準備すべきこと・法人破産前に準備すべきことを解説」をご参照ください。

通販会社の倒産・破産手続きの流れ

ここでは、会社(法人)の破産手続きの一般的な流れを解説します。

会社(法人)の破産手続きは、概ね以下のとおり進められます。

  • 破産手続き申立て
  • 破産手続き開始決定
  • 破産管財人の選任
  • 財産の換価・回収
  • 債権者への配当
  • 破産手続きの終了

ひとつずつ説明します。

破産手続き申立て

破産申立書や添付書類を準備し、裁判所に破産手続開始を申立てます。
大規模な事件(債権者数が100人以上)や破産申立てによる影響が大きな事件の場合は、申立ての前の事前相談をする運用の裁判所もあります。

破産手続開始を申立てるためには、申立人は、破産手続きの費用として裁判所が定める金額を予納しなければならず、費用を予納しない場合は、申立てが棄却されます。

予納金の額は、財産及び負債の状況、債権者数、その他の事情を考慮して決められます。
例えば、東京地方裁判所では、弁護士が代理した法人破産における管財手続きの場合、予納金の額は最低20万円とされています。通常管財の場合は、負債総額が5,000万円未満では最低70万円、負債総額が5,000万円以上1億円未満であれば最低でも100万円の予納金が必要です。

破産手続き開始決定

裁判所に申立てが認められると、破産手続開始決定がなされます。

破産手続開始の申立てから、開始決定がなされるまでの期間は、約1~2週間です。

破産管財人の選任

裁判所は、破産手続開始決定と同時に破産管財人を選任します。

破産管財人が選任されると、会社の経営権や財産管理はすべて破産管財人に任されることになります。

破産管財人については、弊所債務整理サイトの記事「破産管財人とは?破産管財人の仕事や役割をわかりやすく解説!」をご参照ください。

財産の換価・回収

破産手続開始決定時点で会社が保有する財産を破産財団といいます。

破産財団は債権者への配当の原資となります。破産管財人は、選任後すぐに破産財団の評価を行います。その結果に基づき賃借対照表を作成して裁判所に提出します。

債権者への配当は金銭で行われます。そのため、破産管財人は会社の財産を売却するなどして現金化します。

債権者への配当

破産財団の換価が終了すると、破産管財人は届出のあった債権者に対して配当を行います。

破産手続きの終了

債権者への配当が終わり、債権者集会が終結すると、裁判所は破産手続終結決定を行います。

破産者が会社(法人)の場合は、破産手続きの終結に伴い、法人格が消滅します。

法人破産の流れについては、「法人破産の手続きの流れや必要書類・予納金・弁護士費用相場を解説」をご参照ください。

通販会社の倒産・破産手続きにおける注意点

ここでは、通販会社の倒産・破産手続きにおける注意点を解説します。

取引保証金の回収

通販会社では、商品・製品の購入・販売のための売買契約が多数締結されているのが通常です。

仕入先との間の売買契約に基づき、取引保証金を差し入れている場合は、決算書や契約書を確認して回収に漏れがないよう注意しなければなりません。

在庫商品の取扱い

仕入れの売買契約においては、仕入商品・製品に所有権留保が付いていることがあります。

所有権が留保されている物が特定できる場合には、仕入先に返品します。
代金支払い済みの商品と代金未払いの商品が混在しているため所有権が留保されている物が特定できない場合は、仕入先と協議し、仕入先に返品して売買契約を解除するなどして買掛金債務を消滅できれば、迅速かつ合理的に処理を進められる可能性があります。

ただし、在庫商品・製品の換価は、一般に適正・妥当と認められる価格を著しく下回る価格で売却した場合、破産管財人の否認権行使の対象となることがあります。

そのため、売却や仕入先との協議による返品等については、独断せず、事前に弁護士に相談することをおすすめします。

倉庫等の賃貸借契約の解約

商品や製品を賃借している倉庫等に保管している場合には、倉庫の賃貸借契約を確認し、商品・製品の換価完了時期を見据えて、どの時点で解約するかスケジュールを入念に検討する必要があります。

許認可の廃業届等

通販事業で取り扱う商品やサービスによって、許認可の廃業届等の手続きが必要です。

例えば、食料品を販売していれば食品衛生法の許可、中古品の販売であれば古物営業法の許可を受けています。

受けている許認可に関して、法令の所定期間内に廃業届を行う必要があります。

個人情報の取り扱い

通販会社は、その事業の性質上、膨大な個人情報を取り扱っています。

氏名、住所のみならずクレジットカード番号も取り扱っているケースが多いでしょう。

そのため、廃業にあたって、これらの個人情報が外部に流出しないよう適切に廃棄する必要があります。

通販会社の倒産・破産手続きは弁護士に依頼を

ここでは、通販会社の倒産・破産手続きを弁護士に依頼するメリットを解説します。

債権者対応を任せられる

通販会社の倒産・破産手続きでは、債権者に顧客である一般消費者が多数含まれるのが通常です。破産手続きに関する問い合わせや、商品が届かないことへの苦情が殺到することが予想されます。

弁護士に依頼すれば、それらの問い合わせや苦情対応なども任せられます。

従業員の解雇等について法的アドバイスを受けられる

会社が破産する場合、最終的には従業員を解雇しなければなりません。

従業員の解雇にあたっては、未払賃金や解雇予告手当の支払いのほか、従業員に対して、破産に至る事情説明や再就職への支援など可能な限りの配慮が求められます。

弁護士に依頼すれば、従業員の解雇等についても労働関連法規に沿った適切な対応方法をアドバイスしてもらえます。

未払い賃金の取扱いについては、「会社が倒産・法人破産するとき従業員の給与はどうなる?未払い賃金の支払い義務は?」をご参照ください。

スケジュールや見通しが立てやすい

弁護士は、依頼者が希望する解決のゴールを見据えて手続きを進めます。破産に至った事情や経緯、負債・財産状況などを総合的に勘案して、手続きの見通しを説明してくれます。

破産申立てから再建までの道筋が明確になるため、再建に向けたスケジュールが立てやすくなります。

まとめ

通販会社の倒産・破産手続きでは、債権者に一般の消費者が多数含まれるため、他の業種に比べて債権者対応が煩雑になる傾向があります。

苦情や問い合わせへの対応、従業員への説明や取引先への連絡などのタスクをこなしながら、自力で破産手続きを準備するのは困難です。

弁護士に依頼すれば、面倒な手続きをすべて任せられます。

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