建設会社の倒産|手続きの流れや注意点を解説 - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

建設会社の倒産|手続きの流れや注意点を解説

2023年9月10日、信用調査会社の帝国データバンクが、全国企業倒産集計2023年8報において、建設事業者の倒産増加に歯止めがきかない状況になっていると発表しました。
私たちの生活において重要な役割を担っている建設会社が置かれている状況は、想像以上に厳しいものがあります。
この記事では、建設会社が倒産に至る要因と経営状況が悪化し、倒産を考えたときにどのような選択肢があるのかについて解説をします。

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建設会社が倒産に至る要因は?

なぜ建設会社の倒産は増えているのでしょうか?
目まぐるしく動く世界情勢に影響を受けやすい建設業界ですが、倒産に至る要因は、主に下記の3つが考えられます。

資材価格高騰

一つ目の要因は、資材価格の高騰です。

新型コロナウイルスの流行によりリモートワークが世界的に推奨され、アメリカや中国で住宅建築需要が急拡大しました。これをきっかけにした木材不足、いわゆるウッドショック(輸入木材価格の高騰)で建築資材の価格が上がりました。
同時に鉄の価格が上がるアイアンショック、そして2022年ロシアがウクライナ侵攻したことにより、各国から経済制裁を受けていることで、ロシアが産出する原材料に対する輸入が困難になりました。

急激に進んだ円安の影響も相まって、建築資材が高騰しています。

職人不足

建設業界は、職人の高齢化、後継者不足を理由にした人手不足が長年指摘されてきました。近年は若手人材の求人が減り、さらにこれまで建築業界に従事してきた有資格者(建築士・施工管理者)が給与面などの職場待遇に不満を持って離職するケースも増えています。こうした背景により、ますます職人不足に拍車がかかっています。

2024年4月からは時間外労働の上限規制が建設業にも適用されるので、さらに職人不足は深刻な問題となることが予想されています。

受注不振

建設現場で働く人が不足すれば、工事完成の目途が立たず、工事の受注や施工を引き受けられません。
職人不足が原因で受注不振となり、倒産に至る建設会社があります。

建設会社の倒産手続きの種類①|M&Aによる廃業

ここでは、建設会社の倒産手続きとして、M&Aによる廃業を選択した場合について解説しますが、その前に建設業について補足説明をします。

建設業は、建設業法で定められた建設工事種類の工事を請け負う事業です。29種類に区分されており、土木一式工事土木工事業、建築一式工事建築工事業などがあります。建設業を行うには、請負工事ごとに国土交通大臣許可または都道府県知事許可を受けなければいけません。

M&Aで事業譲渡や会社売却をした場合、売り手側が持っている建設業許可は引き継がれないので、この点に注意してM&Aの手続きを進めていきましょう。

事業譲渡

会社が行っている事業を他の会社に売却するのが事業譲渡です。
撤退したい事業を選択することで会社の経営権は残せますし、買い手側も引き継ぐ資産や負債を限定できるメリットがあります。
例えば、事業を広げてみたけれど成果を上げられなかった場合、その事業に力を入れている会社に譲渡することで、共存共栄の関係が築けます。

売却先、譲渡価格などの合意がなされれば、時間をかけずに手続きが進められます。

会社売却

株式譲渡とも呼ばれる会社売却は、会社が保有する株式の一部もしくは全部を第三者に売却することです。
会社の経営者は変わりますが、会社を消滅させずに事業が続けられます。

吸収合併

吸収合併とは、1社を残して他の会社はすべて消滅し、残った会社が消滅する会社の権利義務をすべて承継する方法です。

2020年10月1日から建設業許可の合併に関する制度が新設され、合併によって存続する会社が建設業の許可要件を備えている場合は、事前に認可を受けることで消滅する他方の会社が持っている建設業許可を承継できるようになりました。

会社分割

会社分割とは、会社が行っている事業の全部または一部を切り離し、別会社に承継させる方法です。
既存の会社に事業の一部を移転する吸収分割と新たな会社を設立して分割する事業を承継させる新設分割があります。

吸収合併と同様に、2020年10月1日から始まった建設業許可の合併に関する制度の新設により、分割承継会社が建設業の許可要件を備えている場合は、事前に認可を受けることで分割被承継会社の建設業許可を引き継げるようになりました。

建設会社の倒産手続きの種類②|再建型の倒産手続き

ここでは、建設会社の倒産手続きとして再建型の手続きを選択した場合について解説します。

民事再生

民事再生は、経営状態の悪い会社が、民事再生法に基づき裁判所の監督のもと再建を図る手続きです。
会社を消滅させるのではなく、事業を再建して債務を返済するのが大きな目的で、従来の経営陣が退任することなく経営に携われるのが特徴です。

会社の状況があまり悪化していなければ自力で再建していく方法を選択し、自力再建が難しい場合は、スポンサー企業を募って再建していく方法をとります。

民事再生手続きの詳細については、弊所法務サイトの下記記事をご参照ください。

参考:民事再生手続きの流れを解説!手続きにかかる期間の目安はどのくらい? | 企業法務、DD、会社法に強い【弁護士法人ネクスパート法律事務所】 (nexpert-law.com)

会社更生

会社更生とは、会社更生法に基づいて事業再建を図る手続きです。
会社更生法は株式会社のみに適用されるので、大企業向けの再建型倒産手続きです。

民事再生とは異なり、従来の経営陣は退き、裁判所が選任した更生管財人が選んだ経営陣で再建を目指します。
この方法は、債権者や株主などの同意が必要となるので、手続きが完了するまで1年以上かかる場合があります。

任意整理型の再建手続き

任意整理型の再建手続きとは、民事再生や会社更生のような法的手続きではなく、経営者自身や代理人が債権者の同意を得て、会社の債務を整理して事業を再建する手続きです。
裁判所を通す必要がないので、会社の立て直しを考えたとき、すぐに着手できる方法です。

多くの場合、一定のルールや準則に従って手続きを進めますが、経営者が融資先に対して個別に交渉する私的整理もできます。

任意整理型再建手続きは、原則、非公開で手続きが進められるため、会社の経営状態が悪いことを公に知られるリスクを減らせます。ただし、手続きに強制力はないため、債権者との話し合いが上手くまとまらず、頓挫する場合もあります。

債権者との協議がうまく進まない場合には、公的な再生支援機関を活用するのもよいでしょう。

  • 中小企業再生支援協議会による再生支援
  • 中小企業再生ファンドによる再生支援
  • 企業再生支援機構による再生支援
  • 事業再生ADRによる再生支援

建設会社の倒産手続きの種類③|清算型の倒産手続き

ここでは、不動産会社の倒産手続きとして、清算型の手続きを選択した場合について解説します。

清算型の倒産手続きは、事業を終了して会社を閉じる方法です。会社の財務状況によって、下記の3つのうちいずれかを選択します。

通常清算

通常清算とは、裁判所の関与なく会社を清算する手続きです。会社にプラスの財産があって、債権者に対して債務の支払いができる状態の会社が選択する清算方法です。

残余財産があればそれを株主に分配することによって、最終的に資産と負債をいずれもゼロにできなければ、手続きを終了できません。したがって、債務超過であれば、通常清算を選択できません。

特別清算

特別清算とは、裁判所へ申し立てをして裁判所が監督しながら清算手続きを進める清算方法です。特別清算は、株式会社のみに認められた制度です。

特別清算の開始を求めるためには、次の開始原因が存在することが必要です。

  • 通常清算の遂行に著しく支障となる事情がある場合
  • 債務超過の疑いがある場合
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破産

破産は、裁判所に破産の申し立てをして、裁判所によって選任された破産管財人が中心となって行う清算手続きです。

会社の財産を処分換価し、債権者に対して平等に配当するのが目的です。破産手続きが終結して登記が行われると法人格は消滅します。

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建設会社が倒産する時の注意点は?

ここでは、建設会社が倒産する時に考えなければいけない注意点について解説します。

請け負っていた工事が未完成

請け負っていた工事が未完成のまま建設会社が倒産した場合、会社がどのような倒産手続きを選択したかによって対応が異なります。

民事再生や会社更生を選択した場合

工事を請け負った側(施工業者)と依頼した側(施主)が、それぞれの債務を完了していなければ、民事再生の場合再生債務者は(管財人が選任されている場合は管財人)は、その契約を解除するか、自らの債務を履行して相手方に対して債務の履行を請求するかの選択ができます。再生債務者が契約の解除を選択するには、原則として裁判所の許可または監督委員の同意が必要です。

会社更生の場合は、更生管財人が請負契約を解除するか、更生会社の債務を履行して相手方に対して債務の履行を請求するか選択します。

施主は工事を続行するのか否か、相当期間を設けて施工業者に催告できますが、期間内に回答がなければ施工業者が解除権を放棄したとみなされます。

破産手続きを選択した場合

破産手続きの場合は、施工業者と施主の両方が債務を完了していなければ、破産管財人請負契約を解除するか工事を完成させて相手方に対して債務の履行を請求するかを選択します。

実務上は、破産管財人が契約を解除するのが一般的ですが、破産管財人が常に請負契約を解除できるわけではありません。

当該請負契約の目的である仕事が破産者以外の者において完成できない性質のものであるため、破産管財人において破産者の債務の履行を選択する余地のないときでない限り、破産管財人によって、当該請負契約を解除できるものと解されています。

破産管財人が、契約の解除と債務の履行および相手方への履行請求のいずれを選択するかは、次のような要素を考慮して判断されます。

  • 破産財団の状況
  • 工事の内容や進行具合
  • 報酬回収の可能性や回収時期 など

施主が施工業者に対して、契約を解除するのか否か相当期間を設けて催告し、期間内に回答がなければ契約は解除したとみなされます。

注文者・元請業者・下請業者など関係者への対応

建設会社が倒産したら、工事の注文者はもちろんのこと、工事を直接発注する元請業者、元請業者から仕事を請け負う下請業者に多大な影響を与えます。

いずれの倒産手続きを選択するにせよ、関係者に迷惑をかけないようにあらかじめ下記の資料を確認しておきましょう。

  • 請負契約書
  • 下請業者との契約書
  • 仕掛工事の件数や内容
  • 仕掛工事の工程表など
  • 現場監督の連絡先

元請業者との関係における注意点

請け負った工事を完了したにもかかわらず、請負代金の支払を受けられていない場合は、早急に支払ってもらう必要があります。

建設業者は下請法の適用はありませんが、下請代金の支払について建設業法が適用されます。建設業法24条の3では、元請業者は、注文者から出来高払または完成払を受けたときは、下請業者に対し、当該支払を受けた日から1か月以内で、かつ、できる限り短い期間内に下請代金を支払わなければならないと定められているため、この建設業法の規定をもとに、請負代金の早期回収を図ります。

下請業者との関係における注意点

自社が下請業者と請負契約を締結している場合は、建設業法に違反しないよう、下請業者に適切に代金を支払う必要があります。

廃業する場合でも、将来、同種または異種の建設業許可の取得を予定している場合は、過去の実績が考慮されるため、行政による勧告を受けるような事態は避けるべきといえます。

下請業者との関係では、その契約が請負契約なのか雇用契約なのかが問題になることもあります。

下請業者について、以下の要素で判断し、使用従属関係が認められる場合には、当該業者は労働者として取り扱われ、労働関係法規が適用されます。

  • 仕事の依頼への許諾の自由の有無
  • 業務遂行上の指揮監督の有無
  • 時間的・場所的拘束性の有無
  • 代替性
  • 報酬の算定・支払い方法など

 

取引先ごとの債権額が多い

建設会社が倒産すると、取引先が多く、なおかつ請負契約あたりの債権額が多いため、関係各所に混乱をきたすのが特徴的です。すでに受け取っている前受金を返金するかどうかなど、金銭に関連する手続きが必要になります。

これらは請負契約の内容や工事の進み具合によって対応が異なります。再生債務者もしくは管財人、更生管財人、破産管財人などが、最終的にどのような方法を選択するか決定します。建設会社はこうした決定がスムーズに行えるように、書類や資料をそろえるなど協力しなければいけません。

廃業後も契約不適合責任や瑕疵担保責任を負うことがある

請負人は、契約どおりに建物や土地の工作物等を作り、注文者に引き渡す義務があるため、廃業後も、一定の期間、契約不適合責任を負うことがあります。

宅地建物取引業を兼務していない場合

請負契約の請負人が引き渡した目的物が種類または品質に関して契約の内容に適合しない場合、請負人は契約不適合責任を負うことになります。

契約不適合があった場合、注文者がその不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知すれば、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除ができます。

契約不適合責任は、契約書(特約)等別途当時間で定めをすることで排除できるものとされていますが、請負人が不適合を知りながら注文者に告げなかった場合などは、当事者間の合意で排除できません。

したがって、廃業後でも、契約不適合責任を問われ、損害賠償責任等を負う可能性があります。

宅地取引建物業を兼務している場合

宅地建物取引業者が自ら売り主となる契約においては、契約不適合責任を2年以上負わなければいけません。この規定は上記民法の規定に優先します。

宅地建物取引業者が廃業し、廃業届を提出して免許を失効すると、宅地建物取引業者ではなくなりますが、売却した物件についての契約不適合責任は、法人格が消滅するまで負うものと解されています。

新築住宅の場合

2009年10月に施行された住宅瑕疵担保履行法により、新築住宅を手掛ける建設会社や宅建業者は、構造耐力上主要な部分および雨水の浸入を防止する部分に関する10年間の瑕疵担保責任を負っています。

この責任を履行するために、新築住宅の建設を請け負う建設会社と新築住宅の売主となる宅建業者は、瑕疵担保責任履行のため資力確保措置を講ずること(保証金の供託、保険の加入)が義務付けられました。

多くの建設会社は、保険に加入することで資力確保措置を講じているため、倒産によって、補修等が行えない場合、発注者・買主は保険法人に対し、瑕疵の修補などにかかる費用(保険金)を請求できます。

ただし、保険金支払対応が可能な瑕疵は、構造上重要な部分や雨水の浸水を防ぐ部分となるので、これ以外は対象となりません。

上記以外の瑕疵については、倒産した場合、債権として認められる瑕疵や不法行為となれば、発注者や買主が破産管財人や清算人に対して損害賠償請求手続きを行うことなどが考えられます。

建設会社が倒産した時の許認可等の手続きは?

建設会社は、廃業後30日以内に許可行政庁へ廃業届を提出しなければいけません。会社を廃業する理由によって廃業届に添付する書類が違ってくるため注意しましょう。

合併によって会社が消滅した場合

合併によって廃業するときは、廃業する会社の役員だった人が下記の添付書類とともに廃業届を提出します。

  • 役員の印鑑証明書
  • 商業登記簿謄本 等

合併、破産以外の理由で会社が解散した場合

合併、破産以外で会社が解散したら、清算人が下記の添付書類とともに廃業届を提出します。

  • 清算人の印鑑証明書
  • 商業登記簿謄本 等

会社が破産した場合

破産によって廃業したら、破産管財人が破産管財人の資格証明書

とともに廃業届を提出します。

なお廃業届を提出せず放置してしまうと、許可行政庁に許可の抹消という履歴が残ります。そのため許認可を得ていた期間が認められず、再び建設業の許認可を受けようとしたときに支障をきたす場合があります。廃業届は忘れずにしましょう。

建設会社が倒産を考えた時、弁護士に相談するメリットは?

ここでは、建設会社が倒産を考えた時、弁護士に相談するメリットについて解説します。

倒産手続きの方法を的確にアドバイスしてもらえる

先述したように、倒産手続きはさまざまなパターンがあります。

会社の状況によって選択すべき方法が違ってくるので、弁護士に相談して決めることが肝要です。

建設業は取引先が多いため、倒産をするにあたって残務処理が多く発生します。とりわけ取引先ごとの債権額が高額になりがちな建設業では、弁護士の的確なアドバイスが不可欠なので、綿密に計画を立てて倒産手続きを進めましょう。

関係者への対応を任せられる

建設会社が倒産すると、注文者、元請業者、下請業者など多くの関係者への対応が迫られます。

請け負っていた工事が途中であれば、工事を継続させるのかどうか、保証問題はどうなるのか、やらなければならないことが山積みです。弁護士に相談すれば、こうした関係者への対応を任せられます。

まとめ

新型コロナウイルスの世界的な流行をきっかけに、世界情勢が大きく変化してきました。これによって多くの業界が苦しい場面に直面していますが、建設業界も例外ではありません。住宅、公共道路や公共施設の建設に携わる建設会社が倒産すると、私たちの生活を揺るがす大問題となります。

建設会社の経営が上手くいかず倒産を考えているなら、まずは弁護士に相談してください。もしかしたら廃業以外の方法があるかもしれません。

ネクスパート法律事務所は、経営者の皆さまの悩みに寄り添い、全力でサポートする体制を整えております。ぜひ一度ご相談ください。

 

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