ゾンビ企業、何が問題?債務整理を先送りすることで生じる問題を解説

ゾンビ企業という言葉を聞いたことがある方はいるでしょうか。

身近にゾンビ企業と呼ばれる会社がある方、あるいは自分が勤めていた、勤めている企業がゾンビ企業という方もいるかもしれません。

ゾンビ企業はそれ自体問題をはらむ存在であるとともに、社会的にも影響が大きいものです。

そこで今回は、ゾンビ企業の定義や現状の問題について解説し、最終的にゾンビ企業の問題をどのように扱うべきかについて解説します。

目次

ゾンビ企業とは?

この章ではまず、ゾンビ企業の定義や登場した背景について解説します。

ゾンビ企業の定義

ゾンビ企業の定義は定まったものがない状況ですが、一般的には、経営破綻しているにもかかわらず、金融機関や政府機関の支援によって存続している企業・会社を指すとされています。

ゾンビ企業が登場した背景

ゾンビ企業が登場した背景には、1990年代前半のバブル経済崩壊後、日本の金融界が巨額の不良債権に直面し、多くの企業が経済的停滞に怠って銀行からの追い貸しによる延命措置が蔓延したことが挙げられます。

2019年のコロナウイルスによるパンデミックの際にも、ゾンビ企業の問題が取り上げられました。
バブル崩壊後30年以上を経て、未だゾンビ企業の問題が解決されていない状況では、日本経済に大きなリスクを及ぼす可能性があると考えられています。

ゾンビ企業が抱える問題

この章では、ゾンビ企業自体が抱える問題、ゾンビ企業が存在することによって生じる社会的な影響について解説します。

返済の見込みがない債務の増加と放置

ゾンビ企業が抱える問題の1つとして、経営自体はすでに破綻しているにもかかわらず、金融機関等からの支援が継続されているため、返済の見込みがない債務がどんどん膨れ上がり、放置せざるを得ない状況が続いていることが挙げられます。

任意整理が困難

既に経営破綻しており、事業を継続していても売り上げが上がる可能性が極めて低いため、個々の債権者と交渉して、分割払いが主体となる任意整理をすることが困難であるという問題もあります。

債務自体を免除してもらうという方法もあり得ますが、金融機関の貸付額が大きくなればなるほど、免除を受けることも難しくなります。

減額をしてもらうことも考えられますが、減額の範囲にも限界があります。

そのため、任意整理を行うことは極めて困難といえます。

法的整理が困難

ゾンビ企業は負債額が大きく、また、複雑な背景事情を持っていることも多いため、破産を申立てるための弁護士費用や裁判所に納付する費用の金額が大きくなります。

そもそも経営破綻しているため、民事再生会社更生もできず、負債の規模が大きいため特別清算も困難です。

そのため、法的整理を行うことも困難になります。

事業売却が困難

ゾンビ企業の事業は既に事実上停止していることが多いため、事業売却して売却先に再生してもらうということも非常に困難と言わざるを得ません。

社会に与える影響

ゾンビ企業の中には上場している有名な企業も少なくなく、そのような企業が金融機関や政府の支援により、不当に安い単価で受注販売するために他企業が適正な利益を得るのが困難になっている、業務内容に比して過大な人材を抱えているため、業界内の採用難に拍車をかけているなどといった悪影響を及ぼしていると指摘されています。

ゾンビ企業はどうするべきか

ゾンビ企業が抱える問題を、どのように扱うべきかについて解説します。

不採算部門の切り離しと破産

まず、企業の中に、わずかでも採算がとれている部門や、赤字がわずかであり将来性に多少の期待が持てる部門があるのであれば、その部分と全く期待が持てない不採算部門を切り離して分社化、あるいは前者を事業譲渡してしまい、後者は破産するのが相当です。

社会に何も生み出すことができない企業は、存在していれば先ほど解説したような悪影響を社会に及ぼします。

そのような企業は破産して消滅するのが自然であると考えられます。

問題は破産の費用の調達ですが、売掛金がある場合にはその回収、会社財産の相当額での売却等で対処することになるでしょう。

有用な技術の売却

もし、ゾンビ企業が有用な技術を有しているのであれば、それを他企業に売却するという方法もあり得ます。

技術の流出になることが懸念されるかもしれませんが、たとえ技術を有していたとしても、それを活かせるだけの経営基盤がないのであれば、社会的損失が大きいと考えざるを得ません。

経営基盤に問題のない企業に売却して活用してもらい、社会に還元するのが相当でしょう。

技術が有用であればそれだけ売却金額も高くなります。

売却することによって得た金員を任意整理の元手にする、あるいは破産費用に回すということも可能になります。

まとめ

今回は、ゾンビ企業が抱える問題について解説してきました。

ゾンビ企業は債務整理が非常に困難である一方、その存在自体が社会的なロスを生み出しており、日本経済が停滞する一因となっていることは否定できません。

先ほどもの述べたとおり、ゾンビ企業の中には、上場している有名企業もあり、消滅することにより社会的な影響が生じることもあり得ます。

しかし、技術やノウハウを他の企業が承継して消滅させることにより、影響は小さくしていくことが可能です。

大きな痛みを伴うことになりますが、支援なしの生き残りが不可能なゾンビ企業は法的整理すべきといえるでしょう。

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