資金繰りが苦しくなり、法人破産をすべきか悩んでいる経営者は、まず弁護士に相談しましょう。
今回は、法人破産をなぜ弁護士に相談すべきかを中心に、以下の点について解説します。
- 法人破産を弁護士に依頼する6つのメリット
- 弁護士に依頼した場合の費用相場
- 法人破産に必要な期間と流れ
早い段階で弁護士に相談すれば、破産以外の解決方法を選ぶことも可能です。法人破産に関する基本的な知識をあらかじめ把握しておくことで、経営者として早めの対処ができるように準備しておきましょう。

法人破産を弁護士に依頼するメリット
ここでは法人破産を弁護士に依頼・相談する6つのメリットを解説します。
法人破産以外の解決方法も検討できる
法人が借金を抱えて返済がほぼ不可能になった場合、取り得る手段として破産以外にも再建が考えられます。
再建型の手続きには、以下の4つの種類が存在します。
- 任意整理…債務の減額・返済方法の変更を行う手続き
- 会社更生…更生計画を定めて債権者との利害関係を調整し会社の債権を図る手続き
- 民事再生…債権者との権利関係を調整して債務者の事業再建を図る手続き
- M&A…合併や買収により抱えている債務を新会社に引き受けてもらう手続き
法人破産では会社を残すことは不可能ですが、再建型の手続きであれば今まで通り会社を維持できます。
会社を潰さずによみがえらせたいと考えている場合は、早い段階で弁護士に相談して再建型の手続きを進めましょう。
複雑な手続きはすべて委任できる
法人破産を行う場合、必要書類の作成や破産管財人に対する引き継ぎ業務、会社資産の流出を防ぐための防止策など、幅広い手続きを行わなければなりません。
また手続きを迅速に行わなければ、会社の負債が増えてさらに苦しい状況になる可能性もあります。
弁護士に依頼すれば、複雑な手続きをすべて委任できます。破産手続きもスピーディーに終えられるため、代表者への負担も最小限に抑えられます。
債権者への対応もすべて委任できる
法人破産の手続きにおいて、一番心理的に負担がかかるのが債権者への対応です。
代表者自らこれまで継続的に取引していた取引先に対して、破産を伝えるのは心情的にもつらい行為でしょう。
弁護士に依頼すれば、つらい債権者への対応をすべて委任できます。
少額管財事件で必要な費用を抑えられる
法人破産を行う場合、弁護士を代理人にすれば、少額管財事件に振り分けられる可能性が高まります。
破産手続きには3つの種類があり、法人破産のケースだと管財事件か少額管財事件に振り分けられることがほとんどです。弁護士に依頼しない場合、法人破産は必ず管財事件に振り分けられます。
少額管財事件の場合、裁判所に支払わなければならない費用が少額のため、法人にかかる負担を最小限に抑えられます。手続きも迅速・簡便化されているので、スピーディーに法人破産手続きを終えられます。
少額管財事件の詳細は、弊所債務整理サイトの記事「少額管財事件とは?費用・流れ・注意点を解説」をご参照ください。
取引先や従業員への悪影響を最小限にできる
法人破産を弁護士に依頼した場合、取引先や従業員への悪影響を最小限にできます。
特に取引先が多い法人の場合、破産を申し立てるタイミングを見誤ると連鎖倒産をおこす可能性が高いです。
取引先や従業員への悪影響を最小限に抑えて、適切な対処をするためには、弁護士のサポートが欠かせません。
代表者の債務整理もできる
代表者が法人の連帯保証人・保証人の場合、法人破産すると借金の請求が代表者にいきます。
法人の借金は莫大な額であるため、代表者が連帯保証人・保証人の場合、代表者も自己破産などの債務整理を行う必要があります。
代表者が法人の連帯保証人・保証人となっている場合、どう対処すれば良いのか以下にまとめたので参考にしてください。
代表者が取りうる手段 | 内容 | メリット | 適している人 |
---|---|---|---|
自身で返済する | 法人が抱えていた借金を代表者が返済する | 借金を返済するためその後の生活には影響がなくなる | ・法人の債務を返済できるほど資産 ・財産を所有している人 |
返済を待ってもらう | 法人が抱えていた借金の返済を待ってもらい、分割返済する | 自己破産や個人再生のように、所有している財産や資産を処分しなくて良い | ・法人破産後も継続的に収入がある人 ・債権者が分割での返済に同意してくれた人 |
自己破産・個人再生 | 自己破産・個人再生によって、借金を免除・減額する | ・借金を返済する必要がなくなる ・返済する借金が減額になる | 上記以外の人 |
経営者の責任については、「会社が倒産・法人破産をしたら経営者・代表取締役は責任追及されるのか?」をご参照ください。
法人破産を弁護士に依頼した場合の費用相場
ここでは法人破産を弁護士に依頼した場合の費用相場について解説します。
弁護士費用相場
法人破産手続きに必要な弁護士費用は以下のとおりです。
内訳 | 管財事件費用相場 | 少額管財事件費用相場 |
---|---|---|
弁護士費用 | 100万円~ | 50万円〜 |
予納金 | 70万円~ | 20万円前後 |
その他手数料 | 数千円〜数万円 | 数千円〜数万円 |
合計 | 最低約170万円〜 | 最低約70万円〜 |
裁判所費用相場
法人破産を行う場合、裁判所が選任した破産管財人に対して予納金という報酬を支払わなければなりません。
例えば名古屋地裁の場合は以下のような費用がかかります。
地方裁判所によって金額が異なる場合がございます。手続き前に裁判所に確認しましょう。
法人破産を弁護士に依頼した場合の流れと期間
ここでは法人破産を弁護士に依頼するタイミングや流れ、手続きに必要な期間について解説します。
法人破産を弁護士に相談するタイミング
法人破産を行う最適なタイミングは、債務超過に陥った時点であり、かつ従業員や取引先への影響を小さくできる時点です。
なぜなら、債務超過に陥ってから時間が経てば経つほど、会社の資金繰りは困窮して、従業員への給与の支払いや取引先への支払いが困難になるためです。
そのため、以下に該当する場合、できるだけ早いタイミングで法人破産すべきか弁護士に相談しましょう。
- 給与の支払いが遅れている
- 資金繰りが困難な状態に陥っている
- 社会保険料は消費税などを滞納している
- 月末の手形の決済ができない可能性がある
- すでに赤字が数ヶ月にわたって継続している
- このままでは取引先への支払いができず、仕入れも行えない
- 金融機関から融資を断られたので、支払いの見通しが立っていない
弁護士に早いタイミングで相談すれば、法人破産以外にも再建型の手続きで会社を立て直せます。
法人破産の期間
法人破産には3つの種類があり、それぞれ必要な期間が異なります。
最高裁判所による令和2年度司法統計年度概要版によると、法人破産の手続きごとに必要な期間は以下のとおりです。
半年までに終結 | 1年間で終結 | |
配当事件 | 15% | 65% |
無配当事件 | 68% | 92% |
全管財事件 | 56% | 86% |
法人破産の流れ
法人破産を行う場合、以下のような流れで手続きが進みます。
- 担当弁護士との相談
- 法人破産手続き開始の申し立て
- 債務者審尋
- 裁判所による破産手続き開始決定
- 破産管財人の選任
- 破産管財人による財産の調査・管理・処分
- 配当手続き
- 破産手続きの終結
法人破産の手続きの流れは、「法人破産・会社倒産手続きの流れ」をご参照ください。
まとめ
弁護士に相談すれば、法人破産を含めた会社再建の手段に関してアドバイスをもらえます。
法人破産を行う場合でも、取引先や従業員への影響や費用を最低限に抑えることが可能です。
ネクスパート法律事務所では、法人破産の経験が豊富な弁護士が対応します。法人破産を検討している代表者の方は、できるだけ早い段階で当事務所にご相談ください。