法人が破産する場合は同時に代表者も個人破産しなければならないか?

会社の経営が危ない。しかし会社を破産させてしまったら、自分が支払いをしなければならないのではないか…?

こんなことでお悩みの経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本稿では、法人が破産する場合に代表者も個人破産しなければならないのか、同時に破産する場合の費用や手続について解説していきます。

目次

法人が破産しなければならないのはどのようなときか

この章では、まず、法人破産とはどのようなものなのか、概略について説明し、その上で、法人が破産しなければならないのはどのようなときかについて解説をしていきます。

法人破産とは

法人破産とは、支払不能債務超過に陥った法人の財産を処分して得た利益から優先的に税金や賃金を返済し、余った資産を債権者に配当して清算して、最終的に法人を消滅させる手続です。

法人破産しなければいけない場合

法人を破産させなければいけないかどうかは、以下の点を検討したうえで決めることとなります。

①現在の法人の資産

現預金がどれくらいあるか、有価証券や、不動産など換価できる資産がどれほどあるか確認し、資産総額を見積もります。

②今後の入金予定

今後確実に入金される金額がどれくらいあるかを確認します。

③現在の負債

既に未払になっている負債の総額を確認します。

④今後支払不能になると予想されるもの

現時点では弁済期は到来していないものの、弁済期が到来しても支払いができない可能性が高いものの総額を確認します。

⑤債務が縮小された場合や分割払いができる場合に支払いが可能かどうか

①から⑤までの検討の結果、債務がどれくらいに縮小される可能性があるか、あるいは分割払いにしたときにどれくらいの期間で月々いくらくらいの支払いになるか見込みを立てます。

以上の検討の結果、資産総額よりも負債の方が大きく、今後の入金によっても、また債務を縮小したり分割払いにしたりしても支払いが困難と見込まれる場合には、法人は破産をしなければなりません。

法人破産と同時に代表者個人が破産しなければならないのはどのようなときか

この章ではまず、個人破産とは何かについて確認をした後、法人と同時に代表者個人が破産しなければならない場合について解説をします。

個人破産とは

個人破産(個人の自己破産)とは、個人の財産や収入が不足して支払いが不能なことを裁判所に認めてもらい、原則として借金の支払い義務を免除してもらう手続です。

法人と同時に代表者個人が破産する場合

法人破産をする場合の全てにおいて、代表者個人が破産をしなければならないわけではありません。

法人破産において、換価されて滞納税金の納付や債権者への支払いの対象となるのは法人の財産のみであり、代表者個人の財産は対象とならないからです。

しかし、代表者個人が法人の債務を保証していることも少なくありません。その場合には、法人が支払い不能に陥ると、債権者は代表者個人に請求をしてきます。

法人の負債は金額が大きいことが多く、代表者個人が支払いをすることは難しいといえます。そのため、このような場合には、法人と同時に代表者個人も自己破産をしなければならなくなります。

法人破産と個人破産を同時に行う場合の費用は?

この章では、まず破産手続の種類について確認し、その後、法人破産の費用、個人破産の費用、法人破産と個人破産を同時に行う場合の費用、弁護士費用について解説します。

破産手続の種類

破産手続には、同時廃止、通常管財、少額管財の3種類があります。それぞれの手続について、以下に詳しく解説します。

同時廃止

同時廃止は、破産手続開始決定時点で、破産財団が破産手続の費用を賄うのに不足することが明らかである場合の手続です。

裁判所が同時廃止の決定を行った場合、破産手続は開始決定と同時に終了します。

最も簡易な破産手続で、費用も低額です。しかし、破産手続は管財手続で行われるのが原則であり、法人破産で同時廃止手続が採用されることはほとんどありません。

通常管財

通常管財は、裁判所から選任された破産管財人が、破産した法人の財産を処分し、これによって得た利益から優先的に税金や賃金を返済し、余った資産を法人の債権者に配当して法人を清算する手続です。破産の原則的形態です。

法人と債権者や利害関係人の間にトラブルがあるなど破産手続や管財業務が複雑・困難になる場合には通常管財が採用され、 破産開始から免責までの期間も相当程度長くなります。

少額管財

基本的な流れは通常管財と同じですが、破産手続や管財業務が複雑にならない場合に採用され、通常管財より短期間で終了します。

法人破産の費用

先にもお話ししたとおり、法人破産は、通常管財少額管財のどちらかの手続で行われることがほとんどであり、同時廃止で行われることはほぼありません。

通常管財の場合には、申立にかかる費用は高額で、少なくとも50万円以上必要です。これに対して、少額管財の場合は、おおよそ20万円程度の費用で申し立てることが可能です。

個人破産の費用

個人破産は、同時廃止少額管財で行われる場合がほとんどです。

同時廃止は、管財人費用がかからないため、申立にかかる費用は低額で、おおよそ2万円程度で済みます。

少額管財の費用は先にお伝えしたとおりです。

ただし、法人代表者の破産と法人破産は、通常同じ手続で行われますので、単純な個人の破産とは、費用が異なります。

法人と代表者が同時に破産する場合の費用

法人と代表者が同時に破産申立する場合、費用が倍かかるわけではありません。通常は、双方込みで少額管財費用ないし通常管財費用が必要とされます。

そのため、法人と代表者個人の同時破産には、予納金を節約できるというメリットがあります。

別途弁護士費用が必要

破産の申立は、法人の場合も個人の場合も、債権者対応や申立書の作成、資料収集の観点から、弁護士に依頼するのが必須といえます。

そのため、裁判所に納める費用の他に、弁護士費用が必要となります。

弁護士費用は弁護士によって違いますが、法人と代表者個人の破産を同時に申し立てる場合には、最低でも50万円以上の弁護士費用が必要となる場合が多いようです。

裁判所に納める費用の他に、これだけの費用もかかりますので、同時破産する場合には、費用の資金の手当てを考える必要があります。

法人破産と代表者個人の自己破産を同時に行う場合の手続は?

法人破産と代表者個人の自己破産を同時に行う場合、先ほども解説したとおり通常同じ手続で行われます。

法人破産は、通常管財か少額管財で行われますので、代表者個人の場合も、それに合わせた手続となります。

そして、法人破産と代表者個人の破産の調査は同時に行う必要がありますので、同一の破産管財人が担当することになります。

破産管財人による調査が終了し、破産財団から滞納税金を納め、債権者に配当がなされれば、法人は解散して消滅し、個人は免責決定を受けることになります。

さいごに

法人破産も個人破産も、債権者への対応や資料の収集、破産管財人への対応等煩雑なことが多く、とても代表者個人で行うことはできません。

法人破産や代表者の自己破産をご検討中の経営者の方は、弁護士に相談しましょう。

当事務所は法人破産、個人破産のいずれにも精通した弁護士がそろっております。ぜひ一度ご相談ください。

  • 取引先や社員、株主に迷惑をかけたくない
  • 破産後の生活を考えて有利に手続を進めたい
  • 一部事業譲渡やM&Aも考えている
  • 会社だけ破産して個人は破産したくない
  • 補助金やコロナ融資を利用したが返済できない
  • 資金が枯渇するまでに手続を進めたい

など、お悩みではないですか?

  • 法人破産の特化部隊が迅速対応いたします
  • 30代から40代の弁護士がフットワーク軽く手続きを進めます
  • できる限りご要望に沿った手続をサポートをいたします
  • 業種問わずご相談可能です

\お問い合わせはこちらから/

  • 電話・メールとも24時間受付
  • 9:00~21:00以外はメール推奨
  • 電話ではまずは受付スタッフがご相談内容を確認させていただきます

コメント

コメント一覧 (3件)

目次