育毛剤のビフォーアフター写真の広告について

育毛剤の販売や広告の際に、ビフォーアフター写真を載せることはできますか。

単にビフォーアフター写真が良いか悪いか、というだけでなく、ビフォーアフター写真を掲載することで、読み手に対し、効能効果の標榜と同様の影響を与えることが想定されます。医薬部外品であれば、承認を受けた範囲内での育毛にする効能効果を標ぼうすることができるので、その範囲で、かつ所定の条件を満たすと、ビフォーアフター写真の掲載が可能です。化粧品やその他のプリメントや雑貨についてはなかなか難しいと思われます。

目次

解説

ビフォーアフター表現規制について

(1)薬機法66条

前提として、薬機法66条では以下のとおり、医薬品、医薬部外品、化粧品等の虚偽誇大広告が禁止されています。

何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。   

薬機法第六十六条 第1項 

上記に違反した場合、薬機法85条4号に基づき、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金、又はこれらの併科の対象となります。

(2)通達 

医薬品等適正広告基準3(5)では、上記薬機法66条の解釈として、「効能効果等又は安全性を保証する表現の禁止」が定められており、さらに、この点につき、医薬品適正広告基準の解説及び留意事項等においては、以下のように定められています。

図面、写真等について   
使用前、後に関わらず図面、写真等による表現については、承認等外の効能効果等を想起させるもの、効果発現までの時間及び効果持続時間の保証となるもの又は安全性の保証表現となるものは認められない。

少しわかりづらいですが、これは、ビフォーアフター写真について、部分的に規制をしているものであり、逆に解釈すると、

①承認等外の効能効果を想起させるもの、②効果発現までの時間、効果持続時間、安全性の保証表現となるものはNGであるものの、①②以外の規制されていないビフォーアフター写真の掲載は可能ということになります。

医薬部外品として承認を得て販売する場合

医薬部外品としての育毛剤(養毛剤)の効能効果の範囲は、上記参考資料②記載のとおり、「育毛、薄毛、かゆみ、脱毛の予防、毛生促進、発毛促進、ふけ、病後・産後の脱毛、養毛」となります。

したがって、「育毛」「脱毛予防」「発毛促進」等を想起させるビフォーアフター写真は、承認等外の効能効果を想起させるものでなく(承認を受けた効能効果の範囲であり上記①に違反しないため)OKということになります。

化粧品として販売する場合

化粧品として販売する場合には、上記2の医薬部外品として販売する場合と比べて、効能効果についてより限定された表現しかできず、「育毛」関連の標ぼうは一切できません。
具体的には、56種の効能のみが表現可能となります。56種の効能の種類については、以下の関連記事からご確認いただけます。

そのため、「頭皮、毛髪をすこやかに保つ。」「毛髪にはり、こしを与える。」等の効能効果の標ぼうに限定されることになります。

例えば、毛髪の毛量が増加しているようなビフォーアフター写真を掲載した場合、承認外の効果である「育毛」関連の効能効果を想起させるものとして、上記①に反し、薬機法66条違反として規制対象になることになります。また、未承認医薬品の広告として薬機法68条違反等となる可能性もあります。

それ以外の場合(サプリ・雑貨等として販売する場合)

薬機法68条では、未承認医薬品の広告が禁止され、薬機法55条2項では未承認医薬品の製造販売が禁止されています。

医薬部外品としての承認を経ずに「育毛」等の効能効果を想起させるビフォーアフター写真を広告した場合には、「②医薬品的な効能効果」を標ぼうする以上「医薬品」とみなされ、薬機法68条違反等により規制対象になる可能性もあります。

医薬品該当性についての詳細は、こちらをご覧ください

以上、ご参考にしていだけますと幸いです。

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