【立退きの際の営業補償はどうなる】営業休止補償・営業廃止補償とは?

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貸主から立退きの請求があった際に、借主が賃貸物件で営業していた場合、他の場所で営業するまでの間営業を休止することにより生じる損失の補償はどうなるのでしょうか。

立退料の一部として考慮されますが、貸主と借主の双方の事情が考慮されるため、貸主に正当事由が認められる場合その金額が低くなることもあります。ここでは営業補償にはどのようなものが含まれるのか、解説していきます。

営業休止補償

  1. 休業期間中に通常の営業を行っていたら収受できたであろう収益の補償
    年間認定収益と休業期間によって求められます。年間認定収益とは、営業利益に営業外収益を足し、そこから営業外費用を差し引いたもので、休業期間は移転先の状況等により異なりますが、移転前後の準備期間を加えた期間となります。
  2. 休止期間中に通常の営業を行っていた時と同様に支出がある固定経費の補償
    固定資産税などの公租公課、電気ガス水道電話などの基本料金、営業用資産の維持管理費、借入地代・家賃、従業員の福利厚生費などが休業期間によって求められます。
  3. 休業することにより収入を失うこととなる従業員の賃金相当額
    従業員の平均賃金に補償率と休業期間を乗じることによって求められます。補償率は80%が標準とされていますが、60%~100%の間で定められます。
  4. 店舗を一時休業または移転することにより一時的に得意先を損失し、減収すると想定される収益に対する補償
    従前の1ヶ月の売上高×売上減少率×限界利益率により求められます。この時、売上減少率は公の土地収用の場合の基準である用対連基準細則に基づき算出され、限界利益率は個々の営業体の営業実態・営業実績等に基づき、固定費に利益を足した金額を売上高で割ったもので求められます。
    ただし、長年同じ場所で営業していて固定客が多いような店舗の場合は、借主の使用の必要性が高いと判断され補償額が変わることがあります。

営業廃止補償

  1. 営業権等の補償
    近傍または同種の営業権等の取引価格を基準とし、立地条件、収益性、その他取引により価格を決めるための諸要素を総合的に考慮して求められます。
  2. 資産、商品、仕掛品の売却損の補償等
    営業廃止にともなう、建物・備品等の固定資産の売却損、商品・原材料などの流動資産の売却損、その他の資本に関して通常生ずる損失を補償します。
  3. 解雇予告手当等の補償
    解雇予告手当相当額は、労働基準法に規定される平均賃金に基づきを、解雇することとなる従業員の平均賃金の30日分以上で求められます。このとき、通常賃金の一部と考えられる家族手当などは、平均賃金に含まれるかどうかが検討されます。ただし、解雇の予告が30日以上前になされた場合は、解雇予告手当の支払いはありません。
  4. 転業期間中の休業手当相当額の補償
    新たな営業を開始するために必要な期間は半年から1年とされ、この期間にも従業員を雇用しておく必要があると認められた場合の補償です。補償率は80%が標準とされていますが、60%~100%の間で定められます。
  5. 転業に通常必要とする期間中の従前の収益相当額
    営業地の地理的条件、営業の内容、借主側の事情等を考慮して、年間の認定収益額に転業に要する期間をかけたもので求められます。転業に要する期間は、およそ2年とされますが、借主が高齢などの理由で転業に期間が必要と認められた場合は、3年となることもあります。
  6. 解雇する従業員に対する補償
    転業に際して、再就職が困難と認められた従業員に対しての補償で、本人の請求により支払われるものです。補償額は、算定時前6ヶ月以内に被補償者に支払われた賃金、年齢を考慮した雇用条件・勤務期間・労働力の需給関係等、雇用保険法で定められた雇用保険相当額で求められます。
  7. その他労働に関して生じる損失の補償
    営業の廃止や転業に伴い、転業期間中に事業主が負担している雇用保険料、社会保険料、健康保険料などがあり、休業期間中に支出することが妥当であると認められた場合の経費の補償です。

まとめ

借主が該当物件で営業をしていた場合の補償は、上記に記載したものだけではなく、個人経営なのか法人経営なのか、また、業種別により、複雑な事情や条件によって変わってきます。それらを整理し、検討するために、まずは弁護士に相談しましょう。

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