ネット上の逮捕歴を削除する方法・削除できなかった場合の対応を解説

ネット上に逮捕歴が残っていると、生活に悪影響を及ぼすかもしれません。

実際に、採用活動で実名検索を義務付けている企業もあるようです。

ある程度の期間が経過したら記事を消すニュースサイトもありますが、掲示板やSNSには残り続けてしまいます。

逮捕歴を削除するには、以下の方法があります。

  • 投稿されているサイトへ削除請求する
  • 裁判所へ削除仮処分命令を申立てる

以下、ネットの逮捕歴の削除方法をご案内します。今の生活への悪影響でお困りの方は是非最後までご参考ください。

目次

ネット上の逮捕歴は削除できる?

ネット上の逮捕歴を削除できるかどうかは、以下2点のどちらが優先されるかによって決まります。

  • プライバシー侵害を止めるよう請求(差止請求)する権利
  • 事件を公表することによる社会への利益

逮捕歴の削除請求はプライバシー侵害への差止請求権

最高裁は、逮捕歴の削除請求をプライバシー侵害差止請求権だと捉えています。

しかし、逮捕歴の報道は、憲法が保障する表現の自由・報道の自由・知る権利をもとにした行為であり、逮捕歴の削除はこれらの権利を制限することになりますので、簡単に削除できるわけではありません。

逮捕歴削除にあたって考慮されるポイント4つ

プライバシー侵害の判断は、公表する利益より公表されない利益が優越するかを検討し、逮捕歴の削除請求の場合は主に以下の事情を考慮します。

事件から何年経過しているか

事件からどれくらい経過しているかが重要です。

通常、事件から長期間経過している方が世間の関心は薄まり、公表する利益も小さくなります。

何年か経過していれば確実に削除されるものではなく、事件の性質によって削除請求が認められる期間は変わります。

もっとも、サイト管理者への削除請求では、より短い期間でも削除してもらえることがあります。

事件の内容

事件の内容によっても公表する利益は変わります。

一般的に、被害が大きい事件や被害者が多い事件の方が、世間の関心が高く、公表する利益が大きくなります。

刑事処分の内容

裁判でどんな判決がされたかも考慮します。

有罪で実刑判決となれば、世間の関心も高まり、公表する利益が大きくなります。

逮捕はされたものの、不起訴や無罪の場合では、逮捕歴を公表する利益は小さく、削除請求が認められる可能性があります。

本人の現状

ネット上に逮捕歴が残っていても悪影響がない場合は、公表されない利益が小さくなります。

本人が社会復帰し更生に向かっている中で、ネット上に逮捕歴が残っていることで、更生の利益が妨げられたり、日常生活や仕事で悪影響を受けたりしている場合は、公表されない利益が大きくなります。

ネット上の逮捕歴を削除しないデメリット4つ

仮に誤認逮捕や冤罪だったとしても、逮捕された事実が報道され、ネットに逮捕歴が残ることがあります。

ネット上の逮捕歴を残したままにすると、以下のデメリットが考えられます。

仕事への悪影響

現在の職場・将来の転職先の両方に悪影響が予想されます。

有罪になり前科がついていることがわかった場合には、懲戒処分を受けるおそれもあります。

就職活動中の人や、転職を考えている人にとっても、応募先企業がネットで実名検索し逮捕歴がわかった場合には、不採用になる可能性があります。

結婚への悪影響

逮捕歴が結婚の妨げになることも。仮に恋人に納得してもらえたとしても、恋人の家族が納得しない場合もあります。

家族への悪影響

ネットで逮捕歴を見た近隣住民によって噂が広まり、家族にも嫌な思いをさせるかもしれません。子供のいじめの原因になる可能性もあります。

不動産契約への悪影響

不動産の賃貸借契約の際には、入居審査が行われます。ネットで実名検索し逮捕歴がわかったら契約してもらえない可能性があります。

ネット上の逮捕歴を自力で削除する方法

ネット上の逮捕歴を自力で削除したい場合は、サイトの管理者へ削除請求をします。

サイト管理者がわからない場合は、WHOIS検索を使いドメイン登録者やサーバー管理者を調べ、そちらに削除請求します。

削除請求の方法はサイトによって異なりますが、以下の方法が多いです。

お問い合わせフォーム

サイトに設置されている、お問い合わせフォームや、削除依頼フォームから削除請求します。

必要事項を記入する必要があり、削除対象のURLや削除請求の理由を記入します。

メール

お問い合わせフォームが設置されていない場合は、メールで削除請求します。

サイトのトップページにサイト管理者の情報が掲載されていることが多く、問合せ先としてメールアドレスが掲載されていることがあります。

ネット上の逮捕歴を自力で削除できなかった場合|弁護士に依頼する

削除請求をする際は、削除請求の理由が必要です。どんな権利侵害によって削除を求めているのかを法的な根拠をもって説明しなければなりません。

自力で削除請求をしても削除されなかった場合は、削除請求の理由が的確ではなかったことが考えられます。こうなると、続けて自力で対応することは難しいと思われますので、弁護士に依頼することを検討してみてください。

依頼を受けた弁護士は、以下の対応をします。

弁護士から再度削除請求

お問い合わせフォームやメールから再度削除請求します。

削除請求の理由を法的根拠によって的確に記入することで、削除してもらえる可能性があります。

送信防止措置依頼書

サイトによっては、お問い合わせフォームやメールでの削除請求ではなく、送信防止措置依頼書で削除請求することを求めているものもあります。

送信防止措置依頼書の正式名称は、侵害情報の通知書 兼 送信防止措置依頼書といい、プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会が策定した削除依頼のための書式です。

こちらも侵害情報を記入しなければなりませんので、的確な内容を記入します。

引用元:プロバイダ責任法ガイドライン等検討協議会

裁判所へ削除仮処分命令申立

サイト管理者へ削除請求しても削除してもらえなかった場合は、裁判所へ削除仮処分命令を申立てます。

裁判所に必要書類を提出する必要がありますので、自力での対応は難しいかもしれません。

削除の仮処分命令が発令されれば、ほとんどのサイトが削除します。

逮捕歴削除請求の弁護士費用相場

ネット上の逮捕歴の削除請求を弁護士に依頼する場合の弁護士費用の相場は、以下のとおりです。

着手金報酬
削除請求任意5~10万円5~10万円
 仮処分20万円15万円

この他、日当や実費が発生する場合もあります。

ネット上の逮捕歴の削除請求を弁護士に依頼するメリット

削除請求を弁護士に依頼することで、以下のメリットがあります。

代理で削除請求できるのは弁護士だけ

弁護士でない者が、報酬を得る目的で、ネット上の投稿の削除請求を代理することはできないことが、弁護士法に定められています。

削除請求の代理は、弁護士に依頼するのが安全です。

早期の削除が期待できる

的確な削除請求の理由を記入することで、早期に削除してもらえることが期待できます。

何を記入していいかわからない場合は、早めに弁護士に依頼して、多くの人が見る前に削除できるように対応することをお勧めします。

裁判手続きにも対応できる

サイトへ削除請求しても削除されなければ、裁判手続きが必要です。

裁判所へ提出する書類の作成や対応が煩わしいと感じる人も多いと思います。弁護士に依頼することで、書類作成や対応を任せることができます。

まとめ

昔の逮捕歴がネット上に残っていることで、今の生活に多くのデメリットがあります。

法的根拠をもとに削除請求の理由を考えるには、専門知識が必要です。

できれば早めに削除してしまいたいけど、自力での対応は難しそうだと感じた人は、是非、弁護士に依頼することを検討してみてください。

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