個人再生のよくある質問|押さえておきたいタイミング
個人再生は、裁判所の認可を受け、借金の圧縮と返済条件の変更をしてもらう手続きです。
どのタイミングで個人再生に踏み切ればよいか分からない方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、個人再生のタイミングについて、次の解説をします。
- 個人再生をするタイミングはいつ?どのような場合?
- 個人再生の流れと書類を提出するタイミング
- 個人再生で官報に載るタイミングはいつ?
- 個人再生に関するよくある質問
個人再生を検討されている方は、ぜひご参考になさってください。
目次
個人再生をするタイミングはいつ?どのような場合?
個人再生はいつ・どのような場合に検討すればよいでしょうか。
借金を完済できそうにないとき
多額の借金があり任意整理では完済できない場合、個人再生の利用を検討します。
住宅ローン特例を利用する場合は滞納6カ月以内が目安
マイホームを残したい方は、住宅ローンの滞納から遅くとも6カ月以内に個人再生を検討することをおすすめします。
住宅ローン特例(住宅資金特別条項)を利用できるのは、保証会社による代位弁済から6カ月以内です。代位弁済は滞納から2~3カ月で実施されるのが一般的です。
個人再生の流れと書類を提出するタイミング
個人再生のスケジュールは、申し立てる裁判所によって異なります。ここでは、東京地方裁判所の運用を例に、個人再生の基本的な流れと書面提出のタイミングを説明します。
手続内容 | 申立日からの日数 | |
申立★ | 0日 | |
個人再生委員選任 | 0日 | |
手続開始に関する個人再生委員の意見書提出 | 3週間 | |
開始決定 | 4週間 | (約1カ月) |
債権届出期限 | 8週間 | |
債権認否一覧表、財産目録・報告書提出期限★ | 10週間 | |
一般異議申述期間の始期 | 10週間 | |
一般異議申述期間の終期 | 13週間 | |
評価申立期限 | 16週間 | |
再生計画案提出期限★ | 18週間 | (約4カ月) |
書面による決議に付する旨の決定 | 20週間 | |
書面による決議 | 20週間 | |
回答書提出期限 | 22週間 | |
認可の可否に関する個人再生委員の意見書提出 | 24週間 | |
再生計画の認可・不認可決定 | 25週間 | (約6カ月) |
申立人が書面を提出するタイミングは、原則として上記★印の3回です。
手続きの流れや提出書面の詳細は、下記関連記事をご確認ください。
個人再生で官報に載るタイミングはいつ?
個人再生では官報に何回掲載されるのでしょうか。ここでは、実際に掲載されるタイミングを解説します。
個人再生の官報公告は3回
個人再生で官報に掲載されるのは、次の3回です。
- 再生手続開始決定があったとき
- 書面決議に付する決定があったとき
- 再生計画案の認可決定があったとき
実際に官報に掲載されるタイミング
具体的には、次のタイミングで掲載されます。
- 再生手続開始決定の約1~2週間後
- 書面決議に付する決定から約1~2週間後
- 再生計画案の認可決定から約1~2週間後
個人再生のタイミングに関してよくある質問
ここでは、個人再生に関するよくある質問を解説します。
個人再生申立後にボーナスが出たらどうなる?
清算価値の基準時
清算価値の基準時は再生計画認可時です。そのため、申立てから再生計画認可決定までのタイミングにボーナスが支給された場合、最低弁済額の基準額より多い金額で再生計画案を作成しなければならないかもしれません。
再生計画の返済額は、破産した場合の配当より高くしなければなりません。これを清算価値保障原則といいます。ボーナスが支給されたら清算価値に参入して計算し、最低弁済額の基準額といずれか高い方を返済します(小規模個人再生の場合)。
もっとも、再生計画案を決議に付する旨の決定(付議決定)がされた後は再生計画案の修正をすることができないので、実務上は再生計画案提出時(修正がある場合には修正後の再生計画案提出時)の清算価値を基準にされることが多いです。
最低弁済額や清算価値保証原則について、詳細は以下の記事をご参照ください。
個人再生で車やバイクが引き上げられるタイミングはいつ?
個人再生で車やバイクが引き上げられるタイミングはいつでしょうか。
引き上げの時期
車やバイクの引き上げの時期は、早ければ受任通知発送後から1カ月後が目安です。
引き上げまでの期間
引き上げまでの期間は、一般的に次のとおりです。
- 受任通知発送から2週間程度:債権者(又は信販会社)による引き上げ通知
- 受任通知発送から1カ月程度:債権者(又は信販会社)による引き上げ実施
引き上げられないケース
次の場合、車やバイクが引き上げられない可能性があります。
- 車やバイクのローンを完済している
- 銀行のマイカーローンで車を購入した(所有者が金融機関名義になっていない場合)
個人再生後に繰上げ・一括返済はできる?
再生計画に基づく弁済は、繰上げ返済(一括返済)できるでしょうか。
繰上げ・一括返済が可能なケース
次の2つを満たす場合は、繰上げ・一括返済が可能です。
- 債権者全員に返済する(債権者平等の原則)
- 債権者の同意を得る
タイミングによっては財産隠しが疑われる
再生計画による弁済開始後、早い時期に一括弁済をすると、債権者に「(再生手続中)財産を隠していたのではないか」と疑われるおそれがあります。一括返済するときは、次のことに気をつけましょう。
- 一括返済の時期に注意する(例:返済開始1年以内は一括返済を控える)
- 債権者への返済原資の説明を備える(例:「相続でまとまったお金が入った」)
まとめ
個人再生ではスケジュールが細かく設定されており、それぞれの期限を守らなければなりません。個人再生をご自身で進めるには高度な知識が必要です。
弁護士に依頼すると手間や労力を省け、スケジュール管理も安心して任せられます。
当事務所では個人再生を積極的に取り扱っております。お気軽にご相談ください。