モラル・ハラスメントとは、言葉や態度によって巧妙に人の心を傷つける精神的暴力です。
傷やアザなど被害状況が目に見える身体的な暴力とは異なり、家庭内で起こる精神的暴力は、周囲の人に気づいてもらえないことが多いです。
理不尽なことや些細なことで非難・侮辱され、その繰り返しが続くと「自分が悪いから仕方がない。」「自分はおろかで価値のない存在だ。」という心境に陥り、自分が被害を受けていることに気づけない方も少なくありません。
配偶者からモラハラ被害を受けていると感じたときは、なるべく早く弁護士に相談することをおすすめします。
モラハラ離婚の進め方と必要な準備
ここでは、モラハラ離婚の進め方と別居・離婚に必要な準備を紹介します。
モラハラを理由に離婚するための必要な準備|脱出までのステップ
情報と支援者を得る
すぐに離婚に踏み切れないときも、そうでないときも、初めの一歩として、具体的かつ現実的な情報集めをしましょう。
お住まいの地域(自治体等)で、母子家庭あるいは父子家庭に対してどのような経済的支援がされているか調べてみましょう。児童扶養手当や生活保護など直接的なお金の給付のほか、医療費の助成や税の軽減、公共交通機関の運賃割引、公益住宅への入居の優遇など、ひとり親世帯への福祉的な施策は意外とたくさんあります。
以下のような方法で、支援者を確保することも重要です。
- 実家や友人の協力・支援を依頼する
- 精神科医やカウンセラーの適切なケアを受ける
- 公的機関に相談する
公的機関に相談すれば相談記録が残るので、モラハラの事実を立証するための証拠として役立つ可能性もあります。
具体的かつ現実的な情報や支援者がいれば、「別れても何とかやっていけるんだ!」という気持ちを持て、離婚手続きを進めるエネルギー源にもなります。
モラハラの証拠を確保する
別居後にモラハラの証拠を入手するのは困難な場合が多いです。
そのため、同居中に、モラハラの被害を受けているときの音声や映像の記録をできるだけ集めておきましょう。
とはいえ、いつ始まるか分からない暴言や侮辱、説教等をタイミング良く録音できないことや、音声を録音していることがバレるのが怖くて実行できないこともあるでしょう。
そのような場合でも、以下のような証拠を複数組み合わせることで、モラハラの事実を立証できることもあります。
- 加害者からのLINE・メールなど
- モラハラの内容を記載した日記やメモ
- 親族や友人などの第三者の証言
- モラハラによってうつ病やPTSDなどの精神疾患を発症した場合は医師の診断書等
どのような証拠が有効か、ご自身が確保された証拠でモラハラの事実が立証できるかなど、証拠集めで迷うことがあれば、悩まずに弁護士にご相談ください。

証拠が確保できないことを理由に、無理に別居を先延ばしにしたりせず、辛いときはためらわずに避難してください。
別居する
モラハラに気づいたらご自身やお子さまを守るために、なるべく早く別居することをおすすめします。
抑圧された状況下では、自分が離婚したいのかどうかについて、冷静な判断ができなくなるおそれがあり、ストレスを受けたままでは話し合いもうまく進みません。
離婚に踏み切るにせよ、別居したまま生活費(婚姻費用)をもらって婚姻関係を継続するにせよ、とにかく加害者と離れることが大切です。
別居期間の長さは、証拠不足を補うのにも有効です。モラハラの事実を立証する決定的・客観的な証拠がない場合でも、別居期間が長ければ離婚が認められる可能性が高まります。






相手が実家に押しかけてくるなど、執拗に探索・追及される恐れがある場合には、事前に弁護士に交渉代理を依頼して「今後はこの弁護士に問い合わせてください。」と書き置きを置いて出るのも有効な手段です。
自立に向けた生活設計を組み立てる
別居を行動に移し、あなたの心と体の健康を取り戻せたら、今後どうするかを考えましょう。
精神的にも物理的にも、加害者ときっぱり縁を切ることは、現実には簡単にいかないこともあるでしょう。
しかし、今、あなたがどんなに困難な状況に置かれていようと、周囲のサポートとあなたの強い意志があれば、かならずモラハラ被害から脱出できることを知っておいてください。
有益な情報と支援者からのサポートを得ながら、自立に向けた生活設計を立てましょう。
弁護士から法的アドバイスを受ける
弁護士に相談すれば、配偶者の言動や態度がモラハラ行為に該当するか判断してもらえます。モラハラに該当する場合は、離婚や慰謝料の請求に必要な証拠収集や手順についてのアドバイスを受けられます。
弁護士は法律トラブルや交渉ごとのプロであり、モラハラ加害者に支配されない術も心得ています。弁護士に依頼すれば、紛争や混乱が拡大しないよう、ご自身の安全を確保したうえで離婚手続きを進められます。
モラハラで離婚する場合の進め方
協議離婚
モラハラの加害者は、異常に勝ち負けにこだわる傾向があります。対話において自分が優位に立つために、話を噛み合わせずに相手を混乱させて疲弊させるのも加害者の特質です。
そのため、ご自身が直接接触しないで済むよう、信頼できる第三者を立てて、その人を通じてのみ協議をすべきです。
どんな些細なことでも全て弁護士を通す、唯一の窓口となってもらうことは、相手方との支配関係を断ち切る上で大きなメリットとなります。
調停離婚
第三者を立てても当事者での話し合いが困難な場合は、家庭裁判所に調停を申し立てる方法があります。調停とは、家庭裁判所の調停委員を通じて話し合いをする手続きです。
互いに顔を合わせないで済むように最大限配慮されるため、相手と直接顔を合わさずに済みます。
しかし、調停の場そのものが、加害者のさらなる攻撃や関係者による二次的加害行為の場になることも問題視されています。調停委員は、調停に一般市民の良識を反映させるため、社会生活上の豊富な知識経験や専門的な知識を持つ民間人の中から選ばれます。モラハラやDV問題についての研修を経るようになんっているとはいえ、調停委員全員が必ずしもモラル・ハラスメントに深い理解を有しているとは限りません。
中には、「その程度は耐えるべきである」とか、「あなたにも不足なところがあるのではないか」、「相手方も反省しているみたいだから、もう一度チャンスをあげてみたら」など、相続力や思いやりに欠ける発言、威圧的な態度に出るなどの問題も指摘されています。
もちろん、そのような調停委員ばかりではなく、丁寧に被害者の訴えに耳を傾け、言葉や態度による暴力を理解し、真摯に問題に向き合ってくれる方もたくさんいます。
なるべくストレスなく調停をスムーズに進めるためには、モラハラ問題をきちんと理解している弁護士の継続的サポートを受けるのが望ましいでしょう。
弁護士は、調停の席での話し合いの名を借りた相手方の攻撃や関係者からの二次被害からあなたを守るとともに、あなたの正当な言い分を背後にいる裁判官に正確に伝えるなど全力でサポートします。
裁判離婚
モラハラ事案では、当事者間の円満な話し合いが困難な場合もあり、訴訟による解決を検討せざるを得ないケースも少なからずあります。
ただし、裁判所に見えない暴力を的確に理解してもらうためには、客観的な証拠の提出とともに、その証拠が裏付ける事実関係を法的に整理して主張し、モラハラの事実を立証しなければなりません。
客観証拠が乏しくモラハラの事実を立証できない場合には、いったんモラハラの事実を認定させることを脇に置いて、修復が見込まれないほど婚姻関係が破綻していると裁判官に判断してもらえるよう主張すべき場合もあります。
そのため、一般に、モラハラを原因とした離婚等請求訴訟を弁護士のサポートを受けずに進めることは困難であると考えられています。
モラハラを含む離婚問題に精通した弁護士であれば、裁判所の判断基準や有効な証拠を把握しているので、最大の目標である離婚を実現するためにどのような主張を行うべきかアドバイスできます。
親権、養育費、財産分与や慰謝料など離婚に付随する問題の解決にあたっても、あなたにとって精神的・時間的・経済的に負担のない解決方法を一緒に考えてくれるでしょう。
モラハラ離婚における弁護士の役割・サポート内容
ここでは、配偶者からのモラハラで離婚を考えている方に弁護士ができることを解説します。
相手方との交渉等の窓口
モラハラの加害者は、被害者の自尊心を破壊し判断力を奪い、逆らえない心理状態に追い込みます。そのようなマインドコントロールを受けている状態で、離婚について加害者と話し合うことには多大な困難が伴います。
支配下に置いていたはずのあなたから離婚を申し出られるというだけで激しく憤ったり、言葉巧みにあなたを言いくるめたりして、支配をさらに強めようとするでしょう。
このような場合、弁護士が間に入って論理的に交渉することで、離婚がまとまる可能性があります。
モラハラの加害者は、被害者に対し、あたかも自分が法律に詳しいかのように振る舞うこともありますが、弁護士であれば根拠のない理屈に言いくるめられることもありません。
話し合いがまとまらずに調停や訴訟に発展した場合の見込みなどを論理的に説明し、互いに納得ができる解決策を提案することで、協議での離婚を成立できる可能性が高まります。
弁護士に盾になってもらい、相手方と物理的・精神的な距離を取るタイミングが早ければ早いほど、傷ついた心の回復も早くなります。相手方との交渉を弁護士に一任することで、時間的・精神的負担を大きく軽減できるので、離婚後の生活に向けた準備も進められるでしょう。
別居の準備や別居後の生活に関するアドバイス
モラハラ加害者と別居する場合には、相手への事前相談は不要です。
加害者から、「夫婦には法律上、同居義務がある。勝手に出て行くのは法律違反だ。」「承諾なく別居するのは悪意の遺棄にあたるから、慰謝料を請求する。」などと脅されても、心配する必要はありません。
法律は、相手が暴力(精神的暴力も含む)を振るっている場合にまで同居義務を強いることはありません。モラハラから逃れて家を出ることには、正当な理由があり、悪意の遺棄にも該当しません。
別居を開始する当日まで普段通りに生活し、水面下で着々と準備を進め、別居先も秘匿して黙って出て行きましょう。
弁護士に相談すれば、個々のご事情に応じた別居までに必要な準備や注意点をアドバイスしてもらえます。別居後の婚姻費用の請求や離婚に伴う財産分与や慰謝料の請求に備えて、収集すべき資料等も教えてもらえるでしょう。
調停や訴訟手続きの代理
調停や裁判で解決を図る場合には、申立書や訴状、主張書面・準備書面などを作成したり、適切な証拠を効果的に提出したりしなければなりません。
手続きが始まると、基本的に裁判所が指定した期限までに書類を提出する必要があります。
弁護士に依頼すれば、書類の作成や証拠の選定、裁判所とのやり取りを任せられます。
加害者が言葉巧みに調停委員の同情を誘い、あるいはあなたの罪悪感を刺激して攻撃したり、嘘を並べた書面を提出したりした場合も、弁護士があなたの言い分を調停委員や裁判官に適切に伝えたり、あなたの言葉を補ったりしてくれます。
モラハラに強い弁護士に無料相談|東京の相談先一覧
ここでは、モラハラ離婚について無料相談できる東京の法律事務所を7つ紹介します。
ネクスパート法律事務所
基本情報
当事務所の特徴
ネクスパート法律事務所の特徴は、以下のとおりです。
- 平日21時までの相談に対応
- 男性・女性弁護士の選択が可能
- 離婚後の経済的な生活を見据えた現実的な解決策を提案
- 弁護士費用のクレジットカード決済・分割払いが可能
- 全国10箇所に拠点あり|最寄りの事務所に相談可能
- 他士業・専門家との提携によるワンストップサービスを提供
※なお、本サイトはネクスパート法律事務所が監修をしています。
渋谷第一法律事務所
基本情報


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おすすめポイント
渋谷第一法律事務所をおすすめする理由は、以下のとおりです。
- 代表弁護士が直接対応
- 専門用語を多用しない分かりやすい説明
- LINEでの相談予約が可能
- 明確な料金体系
グラディアトル法律事務所
基本情報


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おすすめポイント
グラディアトル法律事務所をおすすめする理由は、以下のとおりです。
- 男女問題をめぐる慰謝料請求に注力している
- 経営者の離婚事案のノウハウが豊富
- 電話での相談が可能
- 東京と大阪に拠点がある
- 専門用語を多用しない分かりやすい説明
弁護士法人東京スタートアップ法律事務所
基本情報


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おすすめポイント
弁護士法人東京スタートアップ法律事務所をおすすめする理由は、以下のとおりです。
- 3,000件以上の男女問題に関する相談実績がある
- 全国12箇所に拠点あり|最寄りの事務所に相談可能
- 専門用語を多用しない分かりやすい説明
- 明確な料金体系
アイシア法律事務所
基本情報


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おすすめポイント
アイシア法律事務所をおすすめする理由は、以下のとおりです。
- 代表弁護士が国内有数の法律事務所で実績を積んでいる
- テレビ、ラジオ出演実績がある
- 専門用語を多用しない分かりやすい説明
- 明確な料金体系
弁護士法人鈴木総合法律事務所
基本情報


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おすすめポイント
弁護士法人鈴木総合法律事務所をおすすめする理由は、以下のとおりです。
- 迅速な対応、随時の報告が受けられる
- 専門用語を多用しない分かりやすい説明
- 相談受付は24時間対応
- 明確な料金体系
弁護士法人若井綜合法律事務所
基本情報


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おすすめポイント
弁護士法人若井綜合法律事務所をおすすめする理由は、以下のとおりです。
- 年間2000件以上の男女問題・男女トラブルの相談実績がある
- 出会い系・パパ活トラブルに関しても実績が豊富
- 専門用語を多用しない分かりやすい説明
- 相談受付は24時間対応
- 明確な料金体系
モラハラ被害から脱出するために弁護士に被害を話す勇気を!
配偶者からの以下のような行為により、心が傷ついていませんか?
- 大声で怒鳴る
- 人の前で馬鹿にしたり、命令口調でものを言ったりする
- 「誰のお陰で生活できていると思っているんだ」「甲斐性なし」などと言う
- 何を言っても無視して口をきかない
- 友人や実家との付き合いを認めず、行動を細かく監視する
- 大切にしているものを壊したり、捨てたりする
- 外出を制限したり、仕事を辞めさせたりする
- 「土下座して謝れ」などといって謝罪を強要する
- 「どれだけバカなんだ」などと言って侮辱、非難する
- 殴る素振りや物を投げるふりをする、命令する
言葉や態度による暴力を、殴ったり蹴ったりすること比べて、小さく考えていませんか?
モラハラの被害者は、加害者から一種のマインドコントロールを受けている状態にあると言えます。自分に非があると思い込み、自分さえ我慢すれば家庭が円満になると考えているため、別居や離婚という結論に辿りつけない人も多いです。
この記事を読んでおられるあなたは、モラハラという不法行為を受けていることに気づき、とにかく加害者と離れて今後のことを考えるために、誰かの支えを求めているのではないでしょうか?
モラハラの加害者は、一見穏やかな人に見えるなど外面が良いため、周りの人から「よい夫」「よい妻」と評価されている場合もあります。そのため、被害者は周囲の人に被害や悩みを訴えてもなかなか理解してもらえないことや、愚痴をこぼす相手すら見つからないこともあるかもしれません。
モラハラの加害者は、ストレスの解消法として配偶者に嫌がらせをし、屈服する姿を見て快感や優越感を得ています。長い年月をかけて支配関係が作られ、それに依存して手放そうとしないため、そのような相手と離婚について話し合おうとしても、うまく進まないことがほとんどです。
加害者の言葉に惑わされることなく対等に話し合うためには、専門的な知識を持ち、冷静に対応できる弁護士のサポートが必要になります。
モラハラ加害者は、直接話せばあなたが必ず自分のもとに戻ってくるという自信を持っています。それを断ち切り、盾になるのが弁護士の役割です。
モラハラが原因で離婚をお考えの方は、一人で悩まず、まずは弁護士に心の内をお聞かせください。
【この記事の監修者】
弁護士 寺垣 俊介(ネクスパート法律事務所)