有責配偶者からの離婚請求は原則として認めないとする裁判所の基本的な考え方が、一般知識として浸透しているため、「不倫をした自分からは離婚したいとは言えない。」と諦めている方も多いでしょう。
しかし、この裁判所の考え方があるからといって、どんな場合でも有責配偶者からの離婚請求が認められないわけではありません。
この記事では、有責配偶者からの離婚請求が認められる可能性があるケースや、離婚請求にあたって弁護士のサポートを得るメリットを解説します。
有責配偶者は離婚できない?有責行為から何年経てば離婚できる?
ここでは、有責配偶者の離婚手続きや有責配偶者からの離婚請求の制限について解説します。
夫婦間で合意に至れば離婚できる
自ら離婚原因を作った有責配偶者からの離婚請求は、原則として認められないというのが裁判所の考え方です。
しかし、有責配偶者だからといって絶対に離婚できないわけではありません。夫婦間で話し合い、相手方配偶者から同意を得られれば離婚できます。
夫婦間の協議では離婚の合意が得られなくても、離婚や裁判で話し合いを継続した結果、離婚の合意に至るケースもあります。
相手方配偶者が断固として離婚を拒絶している場合は、裁判で離婚を求めることになりますが、裁判でも一定の条件を満たす場合には離婚が認められることもあります。
有責配偶者という扱いは何年続く?
配偶者の有責行為を理由とした損害賠償(慰謝料)請求権には消滅時効がありますが、有責配偶者からの離婚請求の制限には時効という概念がありません。
ただし、夫婦関係の破綻を招く行為(例えば不貞行為)があった後、双方の努力で夫婦関係が完全に修復され、そこから何年も経ってから別の理由で不仲になったなどの経過があれば、当該不貞行為によって夫婦関係が破綻したと評価されない余地はあります。
有責配偶者の離婚請求に関する判例の動向と離婚が認められる要件
ここでは、有責配偶者からの離婚請求に関する判例の動向と、裁判において離婚が認められ易いケースを解説します。
有責配偶者の離婚請求に関する判例の動向
従来、最高裁判所は、婚姻関係が破綻している場合でも、有責配偶者からの離婚請求は許されないという立場を長らくとってきました。
しかし、どうみても夫婦としての実態がなくなっているのに、形だけの夫婦関係を継続させることが双方にとって望ましいと言えるかという観点から、最高裁判所は従来の考え方を変更し、一定の条件のもとに、有責配偶者からの離婚請求を認めるようになりました。
裁判で離婚が認められるための要件
最高裁昭和62年9月2日判決は、以下の3つの要件のもとで、有責配偶者による離婚請求が認められる場合がある旨判示しました。
- 夫婦双方の年齢や同居期間と比べて、別居期間が相当の長期間に及ぶ場合
- 未成熟子(親から独立して生計を営めない子)がいないこと
- 相手方が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態に置かれないこと
有責配偶者からの離婚請求を認めたこの判例では、①の別居期間は36年でしたが、その後の裁判例では6~8年の別居期間で離婚を認めたケースもあります。
未成熟子がいない場合や、相手方に対して離婚後の生活を補償する手厚い経済的給付を予定している場合には、離婚が認められる方向になりやすいと言えます。
このような場合は、少なくとも、裁判官から和解による離婚を進められる可能性は十分にあり得ます。
有責配偶者が離婚について弁護士に相談・依頼するメリット
ここでは、有責配偶者が離婚について弁護士に相談・依頼するメリットを解説します。
有責配偶者にあたるか判断してもらえる
民法770条は、次の5つを裁判上の離婚原因として定めています。
- 不貞行為:配偶者以外の者と性的関係をもつこと
- 悪意の遺棄:生活費を渡さない、同居を拒否する、愛人宅に入り浸るなど
- 3年以上の生死不明:最後に生存が確認されてから3年以上生死が不明な場合
- 強度の精神病:回復が見込まれないほど強度の精神疾患を患った場合
- その他婚姻を継続し難い重大な事由:暴力、虐待、親族との不和、長期間の別居など
この5つのいずれかに当てはまる行為をした場合には、有責配偶者となる可能性があります。
しかし、夫婦のどちらか一方だけに責任があるケースばかりではありません。例えば、夫婦双方に不貞行為の事実があるなど、双方同じ程度に夫婦関係の破綻をもたらした場合であれば、不貞行為をした人でも離婚請求は認められます。
弁護士に相談すれば、ご自身が有責配偶者にあたるかどうか判断してもらえます。相手方配偶者にも有責性がある場合には、弁護士が的確に指摘してくれるでしょう。
相手方配偶者との交渉を任せられる
有責配偶者による離婚請求は、相手方配偶者が感情的になり、話し合い自体が困難な場合もあります。
相手方配偶者が、離婚に応じる条件として、高額な慰謝料を請求したり、慰謝料に代えて多額の財産分与を求めたりすることもあります。
弁護士に交渉代理を依頼すれば、相手方配偶者の請求額が妥当かどうかを判断できます。過当な請求と思われる場合には、裁判になった場合の判決の見込みを踏まえて適切な金額まで減額できるよう粘り強く交渉してもらえます。
裁判での解決にかかる時間や精神的・経済的負担を説明することで、協議による離婚に応じてもらえることも少なくありません。
後のトラブルが生じないよう離婚条件をまとめてくれる
離婚時には、お金の問題(慰謝料、財産分与など)やお子さまの問題(親権者指定、養育費、面会交流など)も解決しなければなりません。
離婚を急ぐあまりにこれらの取り決めをないがしろにすると、後のトラブルや後悔に繋がりかねません。
例えば、離婚時に慰謝料を支払う約束をしていない場合でも、離婚後3年以内は相手方から慰謝料を請求される可能性が残ります。離婚獲得のために子どもの親権を手放した結果、相手方が面会交流を拒否して、お子様との繋がりが絶たれることもあり得ます。
弁護士に相談すれば、将来トラブルが生じないように、適正な離婚条件をまとめてくれます。
有責配偶者からの離婚請求を相談できる東京の法律事務所7つ
ここでは、有責配偶者からの離婚請求について初回無料相談に対応している東京の法律事務所を7つご紹介します。
ネクスパート法律事務所
基本情報
当事務所の特徴
ネクスパート法律事務所の特徴は、以下のとおりです。
- 平日21時までの相談に対応
- 男性・女性弁護士の選択が可能
- 離婚後の経済的な生活を見据えた現実的な解決策を提案
- 弁護士費用のクレジットカード決済・分割払いが可能
- 全国10箇所に拠点あり|最寄りの事務所に相談可能
- 他士業・専門家との提携によるワンストップサービスを提供
※なお、本サイトはネクスパート法律事務所が監修をしています。
渋谷第一法律事務所
基本情報

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おすすめポイント
渋谷第一法律事務所をおすすめする理由は、以下のとおりです。
- 代表弁護士が直接対応
- 専門用語を多用しない分かりやすい説明
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グラディアトル法律事務所
基本情報

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グラディアトル法律事務所をおすすめする理由は、以下のとおりです。
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弁護士法人東京スタートアップ法律事務所
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弁護士法人東京スタートアップ法律事務所をおすすめする理由は、以下のとおりです。
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アイシア法律事務所
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アイシア法律事務所をおすすめする理由は、以下のとおりです。
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弁護士法人鈴木総合法律事務所
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弁護士法人若井綜合法律事務所
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離婚問題に詳しい弁護士であれば、相手方が早期に離婚に応じるメリットや納得を得られる条件を適切に提示できます。弁護士が間に入ることで感情的にならずに協議を進められるので、当事者で話し合う場合に比べてスムーズに話がまとまることもあります。
離婚をお考えのあなたが有責配偶者に該当する可能性がある場合は、弁護士のサポート受けながら離婚手続きを進めていくことをおすすめします。
まずは無料相談でお話をお聞かせください。
【この記事の監修者】
弁護士 寺垣 俊介(ネクスパート法律事務所)