不動産を所有している人は、毎年固定資産税を支払う義務があります。
たとえその不動産に誰も住んでいないとしても固定資産税は必ず払わなければなりません。
この記事では、空き家の固定資産税が最大6倍になるのはいつからか、それを避けるにはどのような方法があるのかについて解説します。

空き家の固定資産税が6倍になるのはいつから?
2023年12月13日から、特定空き家と管理不全空き家に指定された場合、固定資産税が最大6倍になると法律で定められました。
自治体の助言や指導に従わず勧告を受けた場合、住宅用地特例の対象から外れるため、この時点で翌年度の固定資産税が最大6倍に増えます。
固定資産税が6倍になるのはどんな空き家か?
固定資産税が6倍になる特定空き家と管理不全空き家とはどのようなものか、以下でそれぞれ解説します。
特定空き家
特定空き家とは、所有者による適切な管理が行われていないため防災、衛生、景観の面で周辺住民に悪影響がある空き家です。
具体的には、以下の要件に該当すると、特定空き家に指定される可能性が高いです。
- 倒壊などのおそれがあること
- 衛生上著しく有害となるおそれがあること
- 周辺の景観を著しく損なうおそれがあること
- 周辺の生活環境の保全のために放置が不適切であること
管理不全空き家
管理不全空き家とは、2023年に改正された空き家対策特別措置法によって設けられたもので、誰も住んでいない管理不十分な家です。
特定空き家とは異なり具体的な要件はなく、国が定めたガイドラインに沿って各自治体が判断し、決定します。
空き家の固定資産税を6倍にする理由は?
空き家の固定資産税を6倍にする理由は、空き家問題がなかなか解決されない背景があると考えられます。
国土交通省住宅局の発表によると、市区町村がこれまで把握した管理不全の空き家は累計約50万戸で、そのうち、空家法に基づく措置や市町村による対策で除却や修繕等がなされた空き家は14万戸とされています。
参照:空き家政策の現状と課題及び検討の方向性|国土交通省住民局
人口が減少していること、実家を相続したものの、すでに所有している家があるため住んでいないなど、空き家が増えている理由はさまざまです。
こうした状況を改善するために、特定空き家と管理不全空き家に指定された場合、固定資産税を最大6倍にし、所有者に対して空き家の管理の大切さを意識させることが主眼と考えられます。
空き家が固定資産税6倍になるのを避けるための対策は?
空き家が固定死産税6倍になるのを避けるための対策は、以下の3つが考えられます。
空き家を適切に管理する
自治体から指導を受けた時点で空き家を適切に管理しましょう。
先述のとおり、自治体の助言や指導に従わず勧告を受けると、固定資産税が最大6倍になる可能性があります。
例えば、樹木が伸びて隣の家に侵入していたり、屋根や窓ガラスが破損していたりする場合に自治体から指導が入るといわれています。指導の段階で適切に対応すれば、固定資産税が最大6倍になるリスクを避けられる可能性が高いでしょう。
なお、指導を受けた段階では、罰金を支払うなどのペナルティーはありません。
空き家の活用方法を検討する
空き家を活用する方法を検討してみましょう。
古い家にノスタルジーを感じる人が多い中、古民家を活用したビジネスを展開している人もいます。自治体でそうしたビジネスを応援する取り組みもありますし、一般財団法人などで古民家についての困りごとの相談窓口を設けているところもあります。
このような方法を選択して、空き家を活用できるかどうか考えてみるのもいいかもしれません。
空き家の売却を検討する
空き家の管理が難しいのであれば、売却を検討しましょう。
不動産会社に査定を依頼し、どのぐらいの金額で売れるのか検討をつけるといいかもしれません。
空き家の状態や場所によっては売却が難しいケースがあります。その場合土地だけの購入なら検討したいという人がいるかもしれないので、更地にして売却する方法も検討しましょう。
ただし、売却先が決まらないうちに更地にすると固定資産税が上がるので、時期に気を付けましょう。
まとめ
空き家の管理は想像以上に大変なものです。樹木や庭の雑草はあっという間に伸びてしまいますし、頻繁に換気をしなければ家は傷んでしまいます。管理ができていない空き家に関しては、今後ますます厳しい目を向けられる可能性があるので、所有者は気を付けたほうがよいでしょう。
実家を相続した場合、売却を決心できない人もいらっしゃると思いますが、遠方に住んでいるため管理が行き届かないと、隣近所の人とのトラブルにつながる可能性もあります。固定資産税だけでなく、こうした可能性も考えてよりよい方法を選択しましょう。
ネクスパート法律事務所では、不動産に強い弁護士が在籍しています。空き家をめぐってトラブルを抱えていらっしゃる場合は、ぜひ一度ご相談ください。