空き家の代執行とは?流れや代執行を避ける方法を解説

適切な管理がなされていない空き家が放置されていたら、周辺住民に迷惑がかかる可能性があります。

こうした状況を避けるため、行政は所有者に対して適切な管理を促しますが、それでも改善されない場合は、空き家の代執行が行えます。

この記事では、空き家の代執行とは何か、流れや代執行を避ける方法について解説します。

目次

空き家の代執行とは何か?

空き家の代執行とは、管理が行き届かず状態が著しく悪化している空き家を、行政が所有者に代わって解体・撤去することです。

所有者に対して何度も改善を要求したにも関わらず状況が変わらず、倒壊等の緊急性が高いと判断された場合に、行政代執行が行われます。

空き家の代執行の流れは?

空き家の代執行は、基本的に以下の流れで行われます。

特定空き家に指定される

行政が、管理が行き届いていない空き家に対して、特定空き家と判定します。

空き家の所有者に対して何度か改善を促したにも関わらず状況に変化がみられなければ、特定空き家に指定される可能性があります。

特定空き家に指定されるタイミングの例は、主に以下のとおりです。

  • 空き家の実態調査時に損壊状況等の基準を超えているものは全て特定空き家と判定
  • 周辺住民からの苦情で把握した空き家について損壊状況を調査して個々に判定
  • 倒壊の危険がひっ迫している場合に所有者の自主的な改善を促すために判定
  • 審議会や有識者を交えて慎重に検討後に判定

特定空き家に対し助言・指導・勧告・撤去命令を行う

行政が特定空き家に対して、助言・指導・勧告・撤去命令を行います。

最初に空き家の所有者に対して、空き家の修繕、樹木の伐採、危険物の撤去、建物の解体等の助言や指導が行われます。

それに対して何も改善がみられない場合は、勧告が行われます。
勧告に法的拘束力はありませんが、行政から勧告を受けると固定資産税の住宅用地の特例が受けられなくなり、固定資産税等の税額が上がります

空き家の所有者が勧告に従わない場合、行政は撤去命令を行います。
命令は法的効力が生じますので、正当な理由なく従わなければ、過料の対象となります。

特定空き家に対し戒告書・代執行令書による通知をする

空き家の所有者が撤去命令に従わなかったり、適切な対応をしなかったりした場合、行政は特定空き家の所有者に対して戒告書を送ります。

戒告書には、指定した期間内に適切な対応をしなければ行政代執行がなされる旨が記載されています。
戒告書が送られてくるのはかなり重い措置だと理解し、空き家の所有者として適切な対応をする最後のチャンスだと考えましょう

空き家の所有者が戒告・再戒告で指定された期限までにその義務を履行しないときは、行政は、代執行令書により、次の事項を所有者に通知します。

  • 代執行を実施する時期
  • 代執行のために派遣する執行責任者の氏名
  • 代執行に要する費用の概算による見積額

行政代執行を実施する

代執行令書で指定された時期に、行政代執行が実施されます。

緊急の場合や行政代執行の必要性が高い場合には、戒告や代執行令書による通知の手続きを得ずに、代執行が実施されることもあります。

空き家の代執行を避ける方法は?

空き家の代執行を避けるには、以下の4つの方法があります。

特定空き家に指定されないように管理する

特定空き家に指定されないように、空き家を適切に管理しましょう。

定期的に空き家に行き、屋根や壁等に異常はないか、隣に木の枝等が入り込んでいないか、庭に雑草が伸びていないか、不法投棄などがされていないかなどを確認しましょう。

近所の人とも良好な関係を築き、何か問題があった場合に連絡がもらえるようにしておくとよいでしょう。

行政指導等に従い空き家を適切に管理する

行政指導等に従って空き家を適切に管理しましょう。

例えば特定空き家に指定されても、その後に適切な措置をとれば、特定空き家の指定の取消しがなされる可能性があります。

特定空き家に指定された後、代執行が実施されるまでに助言・指導・勧告・撤去命令など、行政が段階を踏んでさまざまな働きかけを行います。遅くとも代執行令書が届く前に適切な措置をとれば行政代執行を逃れる可能性もあります

行政からなんらかの働きかけがあった時点で、早期に適切な対応をしましょう。

空き家を売却する

今後空き家に住む予定がなく、遠方に住んでいるために管理ができないのであれば、売却を検討しましょう。

空き家は誰も住まず、適切な管理をしなければ必ず傷んでいきます。「しばらく様子をみてから…」と売却を先延ばしにする方もいらっしゃるでしょうが、売却を決意した時点が売り時だと考えてもよいでしょう。

複数の不動産会社に査定をしてもらい、売却に向けて具体的に行動を起こしましょう。

空き家を解体する

空き家を解体して、土地の活用を検討しましょう。

場所によっては駐車場にするなど土地活用が期待できる場合があります。更地にすれば新築を建てたい人などを対象に売却ができる可能性があります。

ただし、更地にした場合は固定資産税が高くなります。

空き家の代執行に関するQ&A

空き家の代執行に関するよくある質問と回答を紹介します。

行政代執行と略式代執行の違いは?

行政代執行は、行政が特定空き家の所有者に代わって強制的に措置を行うことです。

略式代執行は、特定空き家の所有者が分からない場合に行政が措置を行うことです。

行政代執行は行政代執行法に基づいて行われ、略式代執行は空家等対策の推進に関する特別措置法に基づいて行われます。

代執行の費用は誰が負担する?

行政代執行が実施された後は、空き家の所有者に対して、行政代執行でかかった費用を納付するように納付命令書が届きます。支払いを怠ると、財産を差し押さえて強制的に徴収される可能性があります。

一般的な解体費用よりも高額になるおそれがありますので、行政指導が行われた段階で適切な措置をとるのが賢明です。

まとめ

実家等が空き家になっている場合、定期的に訪問して適切な管理を行いましょう。

隣近所にあいさつをして、良好な関係を築いておくのも重要です。管理が難しい場合は早めに売却を検討し、万が一行政から指導があった場合は早急に対応しましょう。

「どうせ解体しようと思っていたから、行政代執行してもらえば好都合」と考えるのは間違いです。通常よりも高額な解体費用がかかりますし、自治体のホームページで公開されたりニュースとして報道されたりして公になる可能性があります。そうならないためにも所有者としても義務を果たしましょう。

空き家に対してどのように対処すればよいか分からない場合は、弁護士や不動産会社に相談するなどして適切な措置を行いましょう。

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