不動産トラブルにはさまざまな事例があり、解決のために弁護士など専門家のサポートが必要になるケースも少なくありません。弁護士への依頼を検討する際、費用面について疑問や不安を感じる方も多いでしょう。
本記事では、不動産トラブルで弁護士に依頼する際に知っておきたい、以下のポイントについて解説します。
- 不動産トラブルにおける弁護士費用の内訳や相場
- 弁護士費用が変動する主な要因
- 具体的なトラブル事例
- 弁護士費用を抑えるコツ
- 不動産トラブルに強い弁護士を選ぶポイント
あなたの状況に応じた効果的な弁護士の選び方を確認しましょう。
不動産トラブルにおける弁護士費用の主な内訳は?
不動産トラブルに限らず、弁護士費用は複数の項目で構成されており、請求内容や事件の進め方によって変わります。問題の性質や解決の段階に合わせてどのような費用が発生するのかを事前に把握しておくと安心です。
相談料
相談料は、弁護士と実際に法律相談を行った際に発生する可能性がある費用です。多くの場合、30分から1時間単位で料金が設定されており、1万円前後が目安とされていますが、近年は初回相談を無料としている事務所も増えています。相談後に改めて着手金や報酬金の最終的な見積もりを提示する場合もあります。
無料相談を行っている事務所なら、まずは大まかな方針や費用感を確認しやすいため、費用面でのリスクが軽減されます。どの程度のサポートが期待できるか、事前に詳しく聞いておくと安心です。
着手金
着手金は、正式に弁護士に依頼をする段階で支払う費用です。一般的には10万円から30万円程度の幅がありますが、不動産の評価額や交渉範囲の広さ、裁判の有無などによって変動します。
交渉レベルの解決が中心か、訴訟手続きに進む可能性が高いかなどで見積もりも変わります。特に高額な不動産が絡む場合、経済的利益が大きいと判断されるため、相場を上回る着手金が発生することも珍しくありません。
着手金は、納得のいく結果が得られなくても原則として返還はされない点も知っておきましょう。
成功報酬
成功報酬は、不動産トラブルの解決によって得られた経済的利益や回収金額に応じて支払う費用です。全体の経済的利益の10%から20%程度に設定されていることが多いですが、家賃滞納の回収や売買契約の損害賠償請求等、事案による違いを考慮して事前に詳細を確認しておきましょう。
成功報酬の定義は事務所によって異なる場合もあるため、不動産価値や減額分をどこまで評価対象とするか、明確に取り決めておくと予期せぬ追加費用を回避できます。
実費・日当
弁護士が裁判所へ行く際の交通費や郵送費、印紙代などの実費は、別途請求されます。遠方の裁判所であれば日当も加算されるため、解決までに何度も出廷が必要な事案では、想定以上の費用が発生する場合もあります。
こうした費用は後日まとめて精算されるケースが多く、契約時に一定額を預かり金として預ける仕組みもあります。実費の概算については見積もり時に説明を受けておくと安心です。
弁護士費用が変動する主な要因とは?
同じような不動産トラブルでも、費用が異なる場合があります。原因となる主な要因を把握しておきましょう。
事案が複雑なケース
事案が複雑なケースは、弁護士費用が高くなる可能性があります。例えば、関係当事者の数や請求金額の規模、物件自体の評価額が挙げられます。複数の共有者が関わる問題であれば、打ち合わせの回数や訴訟準備が増え、結果的に費用が増える可能性があります。
また、不動産にかかわる契約書の内容が複雑だったり、物件が複数にまたがっていたりすると、弁護士の調査時間や書面作成コストがかさみやすいため、費用に反映されやすいのが特徴です。争点が多岐にわたる場合は解決スピードが遅れる傾向があるため、実費や日当などの付随費用も積み上がることがあります。
訴訟に進む可能性があるケース
調停や訴訟に進む場合は、弁護士費用が高額になりやすい傾向があります。
不動産トラブルの解決手段には、話し合いによる任意交渉から調停・裁判に至るまで段階があります。任意交渉だけで解決できれば比較的費用は抑えられますが、相手方と折り合いがつかなければ調停や訴訟を検討せざるを得なくなります。
訴訟となると提出書類の作成や裁判所出廷回数が増え、弁護士費用の総額が膨れあがることがあるため、トラブルが生じたら早めに対策を講じるのが賢明です。
相手方に資金力があるケース
相手方が資金力のある法人や経済的に余裕のある個人の場合、交渉が長期間に及んだり訴訟戦略が複雑化したりするケースがあります。これに応じて弁護士事務所が提示する想定費用が高めに設定される場合があります。
一方で、相手方に支払い能力が全くない場合などは、費用倒れにならないように着手金や成功報酬の条件を慎重に検討しましょう。
不動産トラブルの具体的事例
不動産トラブルにはさまざまなケースが存在し、それぞれに応じた費用感が生じます。事件の内容によって費用の基準や成功報酬割合は異なるため、まずは弁護士に事案の概要を伝えたうえで見積もりを取ることが大切です。
実際の支払い額は、交渉による解決か訴訟に進むかによって変わります。さらに、回収見込みや相手方の対応次第で追加費用が発生する場合もあるため、契約前に費用の増減要素を把握しておくと良いでしょう。
ここでは、代表的なトラブル事例とおおまかな費用例を見ていきましょう。
家賃滞納・明渡請求に関するトラブル
家賃滞納による建物の明渡請求は、任意交渉のみで終わる場合と、訴訟を経なければならない場合があります。交渉だけで合意が取れれば費用は比較的低めに抑えられますが、訴訟に移行すると着手金や成功報酬、日当などが加算されやすいです。
滞納家賃の回収額に応じて報酬の割合が決まるケースも少なくありません。早期に弁護士へ相談することで、法的手続きや費用の全体像を把握でき、時間とコストのロスを軽減しやすくなります。
売買契約によるトラブル
不動産売買契約でのトラブルには、手付金の返還請求や契約解除、損害賠償請求など多岐にわたるパターンがあります。請求金額が高額になることも多く、着手金や成功報酬の設定が大きく変わりやすい領域です。
相手方との交渉歴や書類の有無によっても、弁護士の業務量・調査量が左右されるため、金額面での見積もりが幅広くなるケースがあります。
共有不動産の分割問題によるトラブル
共有不動産を誰がどのように管理・利用するかは、利害関係者が多いほど交渉難易度が高くなります。話し合いで解決できない場合、最終的には裁判所で分割や売却の判断を仰ぐこともあり、弁護士費用は長期化に伴い上昇しやすくなります。共有者同士、あるいは第三者を含めた利害調整が必要になることから、事件全体の複雑化に備えて予算を確保しておくことが重要です。
相続関連の不動産トラブル
相続財産に不動産が含まれる場合、相続人同士の話し合いがまとまらず、遺産分割協議が長引き、トラブルになるケースは少なくありません。遺留分の侵害請求や相続放棄など、法的手続きが複雑化すると、その分費用もかさみがちです。
誤った方法で相続手続きを進めると、やり直さなければならない場合もあり、二度手間となって費用が膨らむ可能性があります。早めに弁護士に相談・依頼をして進めることが望ましいです。
不動産トラブルで弁護士費用を抑えるためのコツは?
不動産トラブルの相談や依頼時に、よりコストを抑えるためにできる工夫があります。少しでも負担を減らすヒントを押さえておきましょう。
早期相談によるトラブル拡大の防止
トラブルの早期発見・早期対応は、紛争が大きくなる前に収束させるための有効な手段です。
トラブルの兆候が見え始めた段階で迅速に相談することで、適切な対応策を検討できます。解決が早まれば、結果として費用が抑えられるだけでなく、精神的負担も軽減されやすいでしょう。特に家賃滞納や契約不備などは、初期段階での交渉が進めやすく、結果的に弁護士費用を低く抑えられる可能性があります。
顧問弁護士契約・弁護士保険の契約を検討する
あらかじめ弁護士保険や損害保険の特約に加入していれば、費用を一部または全額カバーできる場合があります。特に不動産関連の紛争が起きやすいリスクがある方は、保険内容を一度確認してみると良いでしょう。
法人の場合、顧問弁護士を契約しておくことで、日常的に法的リスクを回避し、緊急時にもスピーディに対応できるため、結果的に費用を下げることにもつながります。
不動産トラブルに強い弁護士を選ぶポイントは?
不動産トラブルに実績のある弁護士を選ぶことは、スムーズな解決と費用面の安心につながります。選ぶ際のポイントを確認しましょう。
不動産分野に実績があるかをチェックする
不動産分野に実績がある弁護士かどうかをチェックしましょう。弁護士事務所のホームページやパンフレットなどに不動産関連の事案取り扱い実績が掲載されているか確認し、過去に似たようなケースを取り扱ったことがあるか見極めることが大切です。多くの不動産事案を扱っている事務所ほど、複雑なトラブルにも柔軟に対応できる可能性が高いので、安心につながります。
コミュニケーションの取りやすさをチェックする
コミュニケーションが取りやすい弁護士かどうかをチェックしましょう。
相談を受け付ける段階や進捗報告のタイミングなどで、連絡がスムーズに取れる弁護士事務所かどうかを見極めることは、トラブルを素早く解決する上で重要です。
打ち合わせの回数や連絡手段など、自分の希望に合ったスタイルで相談ができるか事前に確認し、ストレスなくやり取りができる相性かを見極めましょう。
料金体系が明確かどうかをチェックする
料金体系が明確に提示されているかを確認しましょう。
ホームページや相談時の説明で、着手金や報酬金、実費の目安が具体的かどうかは非常に重要なポイントです。裁判になった場合の追加費用や、家賃滞納回収の場合の成功報酬の算定方法など、細かく確認しておきましょう。
曖昧なまま契約してしまうと、後から予想外の金額を請求される恐れがあるため、契約前に費用面のリスクをしっかり話し合うことをおすすめします。
まとめ
不動産トラブルにおける弁護士費用は、事案の内容や解決方法によってさまざまですが、ポイントを押さえれば無駄な出費を抑えることができます。自分のケースに合った料金形態を提示してくれる経験豊富な弁護士を見つけ、迅速に対処することが重要です。適切な事務所選びと費用についての正しい理解をもって、安心して不動産トラブルに臨みましょう。
ネクスパート法律事務所には、不動産案件を多数取り扱ってきた実績を有する弁護士が在籍しています。不動産トラブルを抱えてお悩みの方は、初回相談30分無料ですので、ぜひ一度お問い合わせください。


