住居用物件や、店舗・事務所などの事業用物件について立ち退きを求められた場合、借主の権利や貸主に必要な正当事由について、正確な理解が不可欠です。例えば、貸主の都合のみで一方的に契約解除を迫ることはできず、法律上、正当事由の有無や相応の立ち退き料の支払いが伴うかどうかが争点になります。立ち退き問題は単に貸主・借主の意思だけではなく、契約形態や法律上の要件、物件の性質など複数の要素が絡んで結論が左右されます。スムーズに交渉を進めるには、契約内容を正しく理解し、事前に必要書類や相場をチェックしたうえで臨むことが重要です。本記事を通じて、立ち退きに関する知識やトラブル回避のための視点を身につけていただければ幸いです。
立ち退きとは?
ここでは、立ち退きの概念や法律上の位置づけについて解説します。
立ち退きの概念と法律上の位置づけ
立ち退きとは、貸主が契約終了や契約解除を根拠として、物件からの退去を借主に要求する行為です。借地借家法では、単なる貸主の都合だけで更新を拒絶したり契約を終了させたりして借主に退去を求めることはできず、正当事由が必要とされています。これにより、借主は不当な要求から保護される法的地位を得ています。
立ち退きの評価には賃借人保護の観点が重視されます。貸主の意思だけでなく、借主の生活や事業継続をどのように守るのかという点が重要であり、必要に応じて立ち退き料の支払いが行われるケースもあります。
普通借家契約と定期借家契約の違い
普通借家契約は、契約期間の満了時に基本的に更新が可能な契約形態です。更新拒絶を行うためには正当事由が必要となり、立ち退きを要求する場合も同様に法的ハードルが高いのが特徴です。借主としては突然の退去要請を受けにくい反面、貸主側の事情による信頼関係の破壊があった場合などに問題が深刻化しやすい面もあります。
定期借家契約の場合は、契約期間があらかじめ定められており、基本的には更新されない形態となります。契約期間が満了すると、法律上は当然に契約が終了します。事前に契約内容を把握し、トラブルを未然に防ぎましょう。
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立ち退きが問題となるケース|住居用と事業用の違い
立ち退き問題は、住居用の物件と事業用の物件とで事情や交渉内容が変わる場合があります。それぞれの注意点について解説します。
居住用物件の注意点
住居用の物件では、契約更新の権利が借主に与えられやすく、正当事由がなければ退去を拒否できるケースが多いのが特徴です。例えば貸主側に、家族の住居確保や老朽化による建て替えなどの理由が考えられますが、裁判などで認められるには適切な証拠や合理性が求められます。これは借主を保護する法律の精神によるもので、生活の安全が脅かされることを避けるための仕組みです。
居住用物件の立ち退きでは、借主の転居先を確保するために立ち退き料が支払われることが一般的です。実際にかかる引っ越し代や残りの契約期間に応じた損失などが考慮されるため、想定以上の出費をカバーできることもあります。交渉時には、現実的な費用や精神的負担を考慮して話を進めることが重要です。
店舗・事業所など事業用物件での注意点
事業用物件では、立ち退きがビジネスの継続に直結する問題となるため、居住用以上に交渉が難航しがちです。例えば、店舗を移転すると固定客が離れるリスクや移転による売り上げ減少の懸念が生じるため、立ち退き料には営業補償など事業継続のための費用が含まれる場合があります。これらのポイントを十分に把握しておかないと、交渉で不利な条件を受け入れざるを得なくなることも考えられます。
事業用物件は賃料が高額になるケースも多いため、貸主側にとっても契約の更新や解除が経営上重要な判断になることがあります。契約内容に違反がない場合は正当事由が求められますが、家賃滞納や違反行為があれば、解除・立ち退きが成立しやすい点にも注意しなければいけません。事業を継続したい場合は、契約更新前から専門家に相談し、状況を整理しておくとスムーズに交渉を進められます。
立ち退きに必要な正当事由とは?
借地借家法は、貸主が立ち退きを求める際に正当事由を示すことを原則とし、借主の権利を保護しています。立ち退きの際に必要な正当事由とは何か、解説します。
正当事由が必要となる背景
正当事由とは、貸主にとってやむを得ない理由が存在することを意味します。例えば、自己使用の切実な必要性や物件の老朽化による建て替えなどが代表的です。それだけでなく、貸主と借主それぞれの生活状況や経済的事情なども総合的に判断されます。一つの要因だけでなく、複数の要素を併せて考えるのが正当事由の特徴です。
借地借家法が正当事由を要求する背景には、住まいの安定や事業の継続を守るという公益的な目的があります。もしも貸主が一方的に契約を終了させられると、借主は損害を被る可能性が高まります。そこで、当事者間の力関係に差がある賃貸借契約において、借主を保護する仕組みが整えられています。
正当事由を示さなければならないルールがあることで、お互いが冷静に協議する土台が作られます。貸主も軽々しく立ち退きを求められず、借主に対して正しい情報と補償を提示するインセンティブが働きます。その結果、立ち退き交渉がスムーズになり、トラブルを法的手続きで長期間争うリスクも減らすことが期待されます。
正当事由を構成する主な要素
正当事由とみなされる要素としては、貸主・借主双方の事情が挙げられます。
貸主側の事情としては、建物の老朽化や自己使用の必要性、もしくは収益物件の経営合理性などが考慮されます。
借主側の事情としては、生活根拠の確保や事業の継続性などが重要視されます。これらの事情を総合的に判断しなければならないため、証拠の準備や具体的な説明がポイントです。
物件の利用状況や契約形態も正当事由の判断を左右する要因です。普通借家契約で長期間借りている場合などは、借主の居住権や営業権が強く保護される傾向にあります。
定期借家契約では期間満了時点で契約終了となるため、維持できる権利は限定されます。これらの要素を踏まえて、裁判所は総合的に結論を導きます。
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家賃滞納や契約違反がある場合の扱いは?
借主に家賃滞納や契約違反がある場合、貸主は契約の解除や明渡請求を行う法的根拠を得られます。以下でケース別に解説します。
債務不履行が立ち退きに影響するケース
家賃の滞納や契約違反などの債務不履行がある場合、貸主は法的手続きとして明渡請求を行うことが認められています。明渡請求とは、借主に対して速やかに物件を明け渡すよう求める手続きで、判決が確定すれば強制執行に移る可能性もあります。これに対し、借主側は支払いを行う、または違反行為を是正するなどの対策を早急に講じる必要があります。
債務不履行による立ち退きでは、貸主と借主との信頼関係が破壊されたと判断されやすく、契約解除や明渡しが認められやすい傾向にあります。貸主からの警告や督促があったのに改善が見られない場合は、信頼関係が破壊されたと判断されるケースが多いため、最終的に契約解除となることも少なくありません。
信頼関係の破壊が立ち退きに影響するケース
貸主と借主の間に築かれる信頼関係は、賃貸契約を継続するうえで重要です。例えば、家賃滞納の常習化や、度重なる迷惑行為、契約違反などが続けば、両者の関係は取り返しがつかないほど悪化するケースがあります。一度信頼関係が破綻したと認められると、契約解除と立ち退きが認められやすくなります。
裁判などで信頼関係の破壊を理由に立ち退きが認められたケースでは、借主側が事前通告を受けても行動を起こさなかったり、十分な改善策を示さなかったりした事情が重視されます。信頼関係を完全に修復するのは難しいため、トラブルが生じた段階で早めに対処しなければなりません。
立ち退き料とは?算定基準と相場
立ち退き料は、借主の損失や移転にかかる費用を補填する目的で支払われる金銭であり、さまざまな要素が考慮されます。以下で立ち退き料の算定基準や相場について解説します。
立ち退き料の法的意義
立ち退き料は、単なるお金のやり取りにとどまらず、借主の権利を守りつつ立ち退きを促すための法的枠組みの一部です。貸主が正当事由を主張しても、裁判所などが立ち退き料の支払いで借主の不利益が緩和されるなどと判断すれば、立ち退きが認められる可能性が高まります。
立ち退き料の額があまりに低く、その理由が乏しい場合は、正当事由が補完されないとみなされるケースもあります。こうした仕組みは、居住用だけでなく事業用物件にも当てはまります。事業用物件の場合は営業補償や設備の移転コストなどが考慮されるため、高額になるケースも珍しくありません。立ち退き料の法的意義は、両者が折り合いをつける際の基盤となる点にこそあります。
立ち退き料に相場が存在しない理由
立ち退き料に相場が存在しない理由としては、物件の利用目的や地域の賃料相場、契約期間の長さなどが物件ごとに異なることが挙げられます。例えば、築年数や周辺の再開発状況、さらには借主の経済的背景なども考慮されるため、一概に何か月分の家賃が妥当という決め方はできません。
借主が事業用物件で長年ビジネスを営んできた場合には、営業権や顧客リストなどの無形資産へのダメージも配慮されることがあります。こうした多面的な要素があるからこそ、立ち退き料の金額はケースバイケースで大きく変動します。そのため、事前に専門家へ相談し、具体的な根拠を示しながら交渉を進めることが不可欠です。
住宅用物件と事業用物件で立ち退き料の違い
住宅用物件では、借主の生活基盤が大きく変わることから、引っ越し代や新居の初期費用などが加味されることが多いです。加えて、子どもの転校や通勤など、生活スタイルへの影響も考慮される場合があります。そのため、貸主が正当事由を立証しても、ある程度の立ち退き料が求められるのが一般的です。
事業用物件の場合は、単なる引っ越し代だけでなく、営業補償や設備移転費用などが立ち退き料に含まれることがあります。特に店舗を移転せざるを得ないケースでは、顧客の流出や改装費などが発生するため、住宅用と比べると補償額が高額になりやすいのが特徴です。
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立ち退き交渉の進め方は?
立ち退き交渉では、正当事由の確認から合意書の作成まで、段階的な進め方を把握することが重要です。以下で進め方の手順を解説します。
交渉前の事前準備と確認事項
交渉を始める前に、契約書を丁寧に読み直し、更新条項や契約解除の条件などを把握しましょう。普通借家契約か定期借家契約かによって、更新の拒絶が可能かどうか変わります。貸主側・借主側どちらの都合で交渉を始めるのかによっても、準備すべき書類や想定すべき主張内容が異なります。
近隣の相場や移転先の条件についても、おおまかに調べておきましょう。交渉を円滑に運ぶカギは、双方が合理的に判断できる材料をどれだけ持ち寄れるかにかかっています。
正当事由や契約条項の洗い出し
本格的な交渉に入る前に、貸主が主張する正当事由が妥当かどうかを確認します。貸主の自己使用や建物の建て替えなどが具体的に示されているか、あるいは借主側に契約違反があるのかどうか、契約書に照らし合わせて洗い出すことがポイントです。こうした下準備によって、実際の交渉時に意見のすれ違いを最小限に抑えられます。
賃貸借契約の特約事項も重要です。特別な条項が定められている場合は、その効力がどの程度認められるのかを確認しなければいけません。裁判所の傾向として、借主保護の観点から一方的に不利な条項を無効とする場合もあるため、事前に弁護士等の専門家の意見を聞きながら検討するのがよいでしょう。
立ち退き時期・立ち退き料の提案と合意
具体的な交渉段階に入ると、立ち退き時期や立ち退き料の額などを提案し合います。貸主が正当事由を主張している場合でも、借主が受ける損失を考慮した金額を提示しないと合意が難しいケースが多いです。借主側も譲歩可能な範囲を明確にしておくことで、話し合いを建設的に進めやすくなります。
合意に至った内容は、後々のトラブルを回避するために書面化し、両者署名捺印のうえ保管しましょう。合意書には金額、支払い時期、明け渡し期限などを詳細に盛り込むことが重要です。
交渉決裂時の調停・訴訟手続き
もし交渉が決裂してしまった場合は、裁判所に調停や訴訟を申し立てます。調停では、中立的な立場の調停委員が両者の主張を確認しつつ、話し合いによる解決を促します。裁判ほどのフォーマルなプロセスにはなりませんが、合意に至らなければ次のステップとして訴訟に移る場合があります。
訴訟では、立ち退きの正当事由や立ち退き料の額が法的に判断されます。判決が確定すれば強制執行も視野に入ってくるため、時間的コスト・経済的コストを要する可能性があります。その点を踏まえ、当事者間での納得いく合意を目指すのが最善策といえるでしょう。
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立ち退きを拒否できるか?拒否が難しいケース
立ち退きを求められても、正当事由が不十分であれば拒否できますが、条件によっては強制執行が避けられない場合もあります。以下で詳しく解説します。
拒否が可能なケース
借主が立ち退きを拒否できるのは、正当事由が不足していたり、契約更新の拒絶理由が成り立っていなかったりするケースです。例えば貸主が、自分が住みたいから立ち退いてほしいと主張したとしても、その主張が切実でないと判断されれば、正当事由は否定される可能性があります。貸主側が立ち退き料を全く提示しない場合も、正当事由を補完できていないとみなされる場合があります。
ただし、これらの状況でも裁判所での立証作業が必要になるケースがあります。拒否が正当かどうかを最終的に判断するのは裁判所であり、書面や証拠に不備があると正当性を認めてもらいにくくなる点には注意しましょう。
拒否が難しいケース
再開発計画があり行政の認可を取得しているケースなどでは、立ち退きの拒否は難しいと考えたほうがよいでしょう。このような場合、借主の生活や事業に与える影響は大きいものの、正当事由が明確であるため、拒否を続けても最終的には立ち退きを余儀なくされる可能性が高いです。
借主による家賃滞納や度重なる契約違反が認められた場合も、裁判所は強制執行を認めやすくなります。
強制執行までの一般的な流れ
立ち退き交渉が決裂し、訴訟で貸主側が勝訴し判決が確定すると、強制執行手続きへ移行します。手続きでは執行官が物件を訪れ、借主の荷物などを強制的に運び出すこともあります。これは借主にとって大きな負担となり、心理的にもダメージが大きいものです。
裁判所が強制執行に踏み切る背景には、正当事由や信頼関係破壊などが法的に認められた事実があります。裁判段階での和解や調停が不成立の場合にのみ行われる最終手段であるため、できるだけトラブルを長引かせず、早期に合意を図ることが望ましいでしょう。
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借地にある持ち家の立ち退きはどう進める?
借地に自分の持ち家を建てているケースでは、建物の所有権と土地を借りる権利(借地権)が別々であるため、交渉や権利関係が複雑になりがちです。借地にある持ち家の立ち退きはどう進めるか、解説します。
普通借地権と定期借地権の概要
普通借地権は、契約期間が長期にわたって設定され、更新が可能な形式が一般的です。地主が立ち退きを求める際には正当事由が必要であり、借主の建物が存在することからも交渉は容易ではありません。一方的な契約解除は法律によって厳しく制限されているため、追い出しが簡単に認められない点が特徴です。
定期借地権では契約期間が満了すると契約が終了するため、地主側が更新を拒否すれば借地上の建物は取り壊しや移転の対象となります。借主は契約時点から期限を把握しておく必要があり、終了が近づいた際には立ち退き交渉に備えた準備が必須となります。
契約更新と立ち退き交渉
普通借地契約の場合、契約更新の可否や更新条件をめぐって交渉となるケースが多いです。再開発が計画されている場合や土地の転用を考えている場合、貸主は正当事由を提示して借地契約を終了させたいと考えるかもしれません。
借主は自分の持ち家が土地上にあるため、移転コストや建物の処分が負担となります。こうしたケースでは、交渉が長期化することも珍しくありません。貸主側は計画を具体化し、借主に納得できる条件を提示する必要がある一方、借主側はリスクを最小化するために専門家への相談や他の土地の確保などを検討します。
借地持ち家における立ち退き料と相場の特徴
借地持ち家の場合、土地を借りる権利と建物の所有権が分離しているため、立ち退き料の算定が複雑です。建物の価値、ローン残債、解体費用、移転先の確保など、検討すべき項目が多岐にわたるからです。実際の交渉でも、これらの個別要素をどのように反映させるかがポイントとなります。
事業用として利用している場合は、設備費用や顧客維持のための費用も考慮しなければなりません。通常の住宅用賃貸物件と比べて立ち退き交渉が長期化しやすく、高額の立ち退き料が発生するケースが多いです。
立ち退き交渉を弁護士に依頼するメリット
法的な知識や手続きが必要となる立ち退き交渉では、弁護士などの専門家に依頼することでメリットが得られます。以下で詳しく解説します。
法的立場を明確にして交渉ができる
弁護士に依頼する利点は、法的な立場を明確にして交渉を進められる点です。自身が立ち退きを求める側であっても求められる側であっても、双方の主張を法律に照らし合わせることで交渉を有利に展開できる可能性があります。誤った法解釈で無理に主張を続けても不利益となる場合が多いです。
弁護士は、裁判や調停を見据えた議論の進め方ができます。何をどのように主張すれば裁判所にとって説得力があるか、どのタイミングで資料を提出すればいいかなど、法手続きのノウハウを活かして交渉に臨めます。
的確な立ち退き料の交渉ができる
弁護士であれば、的確な立ち退き料の交渉ができます。立ち退き料に関しては、借地借家法上の正当事由を補完する意味合いが強いため、増減額交渉が難航することが多いです。弁護士は地域の事例や過去の裁判例、さらに物件の特性などを踏まえて、適切な立ち退き料を算定するサポートができます。これにより、単に感情論や曖昧な相場観だけで交渉が進んでしまうリスクを軽減できます。
合意に至った場合でも、合意書の作成がずさんだと後から契約違反や追加請求などのトラブルが生じかねません。弁護士が書面を作成し、細部にわたる条件を盛り込むことで、問題が再燃するリスクを最小限に抑えられます。
訴訟や調停手続への対応を任せられる
交渉がまとまらず訴訟や調停に進んだ場合でも、弁護士が代理人として対応すれば、法的リスクを最小限に抑制できます。訴訟では、立ち退きの正当事由、立ち退き料、契約違反の有無など、専門的な論点が争われることが多いため、的確な戦略と主張が求められます。
弁護士によるアドバイスで、不要な紛争を避けながら最大限の成果を得られる可能性が高まります。特に裁判所の手続きは専門的で煩雑なため、弁護士のサポートがなければ、労力と時間を費やすおそれがあります。
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立ち退きに関するよくある質問
立ち退き問題をめぐっては、契約更新や立ち退き料に関する疑問が多く寄せられます。ここでは代表的な疑問点を整理し、立ち退きに関する判断を行う際に最低限知っておきたい情報をまとめます。実際の事例とは異なる場合もあるため、最終的には弁護士等の専門家に相談するのが望ましいでしょう。
立ち退き料は必ず支払わなければならない?
立ち退き料の要否や金額はケースバイケースで、必ず支払わなければならないとも不要とも一概にはいえません。
立ち退き料は、貸主が正当事由を補完するために支払うケースが多いです。ただし、成立要件がそろわない場合や、借主に大きな過失がある場合などでは支払われないこともあります。例えば、借主が家賃を長期間滞納している場合には、貸主側が立ち退き料を負担せずとも裁判所が立ち退きを認めるケースがあります。
正当事由がぎりぎりの案件であれば、立ち退き料を上乗せすることで裁判所が立ち退きの必要性を認める可能性が高まります。
定期借家契約なら更新拒絶されても立ち退料はなし?
定期借家契約の場合、契約期間が満了すれば自然に契約が終了するのが原則です。そのため、契約更新がない分、貸主が正当事由を主張しなくても契約を終わらせられます。ただし、契約終了後でも貸主に一定の配慮義務が求められるケースがあり、状況によっては立ち退き料が発生することもあります。
特に、当初から契約更新を前提としていない定期借家契約においては、借主が心得ているはずですので、立ち退きに伴う補償は少なくなる傾向があります。しかし、貸主都合の早期打ち切りなど特別な事情が絡む場合は別途交渉が必要です。
弁護士費用は相手方に請求できるか?
日本の民事訴訟では、基本的に弁護士費用は自分で負担するのが原則です。ただし、例外的に不法行為や契約違反などのケースで、弁護士費用相当額の損害として請求を試みる場合もあります。しかし、裁判所がこれを全面的に認めることはまれで、奪還できる金額は限定的です。
実務的には弁護士費用も含めて総合的に交渉するか、裁判所が認める範囲内で回収を図るのが一般的です。結果的に、立ち退き交渉で弁護士を依頼した費用を相手方に負担させるのは、よほど特殊な事情がない限り難しいでしょう。
まとめ
立ち退き問題を円滑に解決するためには、早い段階からの情報収集と適切な交渉準備が重要です。貸主に正当事由があるかどうかなど、判断が難しいケースが多いため、その際は弁護士のサポートとアドバイスが不可欠です。問題がこじれる前に不動産案件を多数手掛けている弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
ネクスパート法律事務所には、不動産案件を多数手掛けてきた経験がある弁護士が在籍しています。初回相談は30分無料ですので、立ち退き問題でお悩みの方は、一度ご相談ください。


