立ち退きの正当理由の有無はどう判断されるか?

貸主が貸主に対して立ち退きを求める場合、正当事由が必要です。

しかし、正当事由といわれてもピンとこない方がほとんどだと思います。

この記事では、立ち退きを求めるにあたって正当事由の有無はどう判断されるか解説します。

目次

立ち退きを求めるには正当事由が必要

借主に契約違反がないのにも関わらず、賃貸借契約の更新拒絶や解約を申し入れる場合には、正当事由が必要です。

正当事由に一般的な定義はなく、建物の状況や賃貸人や賃借人の事情、立ち退き料の支払い等の事情を含めて総合的に判断されます。

立ち退きの正当事由の有無を判断する主な要素

立ち退きの正当事由の有無を判断する主な要素は、以下の5つです。

  • 賃貸人と賃借人が建物の使用を必要とする事情
  • 賃貸借契約に関する従前の経過
  • 建物の利用状況
  • 建物の現状
  • 財産上の給付(立退料の提供)

賃貸人と賃借人が建物の使用を必要とする事情

貸主や借主が建物を必要とする事情につき、どちらの必要性が強いかが重要な判断要素とされています。

例えば貸主が高齢になり、その建物を利用しなくては生活に支障が出るおそれがある場合や、建物および土地を売却しなければ生活ができなくなるおそれがある場合などが考えられます。

借主側の事情としては、建物に居住した期間が長く生活の基盤になっており、他の場所に転居するには賃貸料が何倍にもなるおそれがある場合などが考えられます。

借主が他の場所に移っても特に問題がないと考えられるなら、貸主の立ち退きに対する正当事由が認められやすくなります。

賃貸借契約に関する従前の経過

貸主が建物を賃貸借した経緯やその際の賃料は適切だったかなど、従前の契約のままでは貸主にとって不利益な場合は、正当事由として認められるケースがあります

この場合、契約締結時の事情、契約中の事情、契約期間満了時の事情の3つに分けて考えられます。

契約締結時の事情としては、貸主が一時的な使用のために賃貸借契約を結んだのか、それとも経済的利益を得るために賃貸借契約を結んだのか、賃料や賃貸借契約の期間などが挙げられます。

契約中や契約期間満了時の事情については、借主の賃料の支払い状況や更新料の授受、周辺の状況からみて賃料が安いまま改定されずにいたり、借主側による信頼関係を損なう行為があったりした場合などが挙げられます。

建物の利用状況

借主がどのような状況で建物を使用しているかで、正当事由の有無を判断します。

例えば、あまり使用しておらず借主にとって必要不可欠とは考えられない、契約内容に沿った使用目的で使用されずに用法違反がないかどうか、などで判断されます。

建物の現状

建物の現状も考慮要素の一つです。

建物を使用するにあたって、老朽化による建て替えや修繕の必要がないか、従前の使用目的が標準的な使用にあたるかなどで、正当事由の有無を判断します。

貸主側が修繕義務を怠っていた場合は、借主側に有利な判断になるケースがあります。

もっとも、老朽化を立証することは容易ではありません。
仮に、老朽化の原因として建物の耐震性を主張する場合には、相応の費用は掛かりますが、1981年に建築基準法が改正され新耐震基準が定められたので、老朽化や建て替えの判断基準の一つとして耐震診断などを実施することもひとつです。

耐震診断の結果、耐震改修工事をする際に助成金を出す市町村もあるので、事前に建物が所在する地域の役所に確認してみることをお勧めします。

財産上の給付(立退料の提供)

立ち退き料の提供や代替不動産の提供など財産上の給付については、それだけで正当事由にあたるわけではなく、正当事由を補完するものとして判断されます。

例えば、借主がその建物に住む必要があるにもかかわらず、貸主の都合で立ち退きを求める場合などに、正当事由の補完のために財産上の給付を行います。

立ち退き料は、貸主・借主双方の事情を比較した際に、不足分として支払われる意味合いがあります。借主側に有利な条件になっていれば高額になりますし、貸主側に有利な条件になっている場合は金額が抑えられます。現金以外にも、代替不動産を提供して立ち退き料の代わりにするケースもあります。

立ち退き料を決めるための要素としては、以下のものが考えられます。

  • 引っ越し代、新居の敷金・礼金、不動産会社への仲介手数料
  • 火災保険、地震保険などの保険料
  • インターネットや電話回線などの移転費用
  • 経済的損失(店舗や会社の場合、営業利益の減収分など)
  • 精神的苦痛に対する慰謝料(住み慣れた場所を離れるなど)

まとめ

立ち退きの話し合いをする際に、その正当事由が重要な内容となります。正当事由はいろいろな要素が重なり合っているため、正当事由の有無は判断が複雑になるので、弁護士への相談をお勧めします。

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