立ち退きの際に営業補償は受け取れる?補償の種類と内容を解説

賃貸物件で店舗を営業している場合、貸主の都合で立ち退きを求められたら休業する期間の損失補償はどうなるのでしょうか?
この記事では、営業補償の種類と内容について解説します。

目次

立ち退きの際に営業補償は受け取れるか?

貸主の都合で立ち退きを求められた場合、営業補償が受け取れます。

店舗を営業している人にとって、慣れ親しみ常連さんがいる場所を離れるのは痛手となります。移転をするにあたってさまざまな費用がかかりますので、そうしたものを貸主に対して請求できます。

立ち退きの営業補償の種類と内容は?

立ち退きの営業補償には、営業休止補償営業廃止補償の2種類があります。

それぞれどのような内容なのか、以下で解説します。

営業休止補償

現在の店舗を立ち退いた後に新たな場所で店舗を営む場合は、営業休止補償の受け取りが可能です。

営業休止補償とは、店舗移転に伴う休業期間中に生じるさまざまな費用を補填するもので、以下のものが含まれます。

移転休業期間中の収益の補償

店舗の移転休業期間中に、通常の営業を行っていたら収受できたであろう収益の補償が受け取れます。

移転休業期間中の収益の補償は、年間の収益休業期間によって求められます。

年間の収益は、営業利益に営業外収益を足し、そこから営業外費用を差し引いたものです。

休業期間は移転先の状況等により異なりますが、移転前後の準備期間を加えた期間となります。

移転休業期間中の固定費の補償

移転休業期間中に通常の営業を行っていた時と同様に支出がある固定経費の補償が受け取れます。

例えば、休業期間に生ずる以下のような費用です。固定資産税などの公租公課

  • 電気・ガス・水道・固定電話などの基本料金
  • 営業用資産の維持管理費
  • 借入地代・家賃、従業員の福利厚生費 など

移転休業期間中の従業員賃金の補償

移転休業期間中の従業員賃金の補償が受け取れます。

金額の算出方法は、従業員の平均賃金に補償率と休業期間を乗じることによって求められます。

補償率は80%が標準とされていますが、60%~100%の間で定められます。

移転休業に伴う顧客損失の補償

店舗を一時休業することにより一時的に得意先を損失し、減収すると想定される収益に対する補償が受け取れます。

具体的には、以下の計算式で求められます。

従前の1か月の売上高×売上減少率×限界利益率

この時、売上減少率は公の土地収用の場合の基準である用対連基準細則に基づき算出され、限界利益率は個々の営業体の営業実態・営業実績等に基づき、固定費に利益を足した金額を売上高で割ったもので求められます。

ただし、長年同じ場所で営業していて固定客が多い店舗の場合は、借主の使用の必要性が高いと判断され、補償額が変わるケースがあります。

営業廃止補償

現在の店舗を立ち退いた後、他の場所に移転せずに営業を廃止する場合は、営業廃止補償の受け取りが可能です。

営業廃止補償は、営業廃止に伴って生じるさまざまな費用を補填するもので、以下の内容となります。

営業権に対する補償

長年にわたり現店舗で築いてきた営業権に対する補償が受けられます。

営業権に対する補償は、近傍または同種の営業権等の取引価格を基準とし、立地条件、収益性、その他取引により価格を決めるための諸要素を総合的に考慮して求められます。

固定資産・流動資産の売却損に対する補償

営業廃止に伴って生じる、建物・備品等の固定資産の売却損、商品・原材料などの流動資産の売却損、その他の資本に関して通常生ずる損失の補償が受けられます。

従業員を解雇したことに対する補償

営業廃止に伴って生じる従業員を解雇したことに対する補償が受けられます。

解雇予告手当相当額は、労働基準法に規定される平均賃金に基づき、解雇することとなる従業員の平均賃金の30日分以上で求められます。このとき、通常賃金の一部と考えられる家族手当などは、平均賃金に含まれるかどうかが検討されます。

ただし、解雇の予告が30日以上前になされた場合は、解雇予告手当の支払いはありません。

転業期間中の休業手当相当額に対する補償

営業廃止に伴って、新たな営業を開始するための準備期間となる転業期間中の休業手当相当額に対する補償が受けられます。

転業期間として必要な期間は半年から1年とされ、この期間にも従業員を雇用する必要があると認められた場合の補償です。

補償率は80%が標準とされていますが、60%~100%の間で定められます。

転業に伴う必要経費に対する補償

新たな営業を開始するための準備期間となる転業に伴い、必要となる経費に対する補償が受けられます。

営業地の地理的条件、営業の内容、借主側の事情等を考慮して、年間の収益額に転業に要する期間をかけたもので求められます。

転業に要する期間は、およそ2年とされますが、借主が高齢などの理由で転業に期間が必要と認められた場合は、3年になるケースもあります。

解雇する従業員に対する補償

営業廃止に伴い、解雇する従業員に対する補償が受けられます。

再就職が困難と認められた従業員に対しての補償で、本人の請求により支払われるものです。

補償額は、算定時前6か月以内に被補償者に支払われた賃金、年齢を考慮した雇用条件・勤務期間・労働力の需給関係等、雇用保険法で定められた雇用保険相当額で求められます。

社会保険料等に対する補償

営業の廃止や転業に伴い、転業期間中に事業主が負担している社会保険料、雇用保険料、健康保険料などに対する補償が受けられます。

休業期間中に支出することが妥当であると認められた場合の経費の補償です。

立ち退きによる営業補償の相場は?

立ち退きによる営業補償の相場はありません

なぜなら業種や営業形態、規模によって条件が異なるからです。

ただし、判例では小規模な店舗であれば営業補償は賃料の2年から3年分としているケースが多いです。

立ち退きの交渉は弁護士に依頼を

立ち退きの交渉は、不動産案件を得意とする弁護士に依頼をしたほうがよいでしょう。

立ち退きに際して提示された営業補償が適切な金額がどうか、弁護士であれば的確な判断が可能だからです。

この記事で述べたとおり、営業補償にはさまざまな種類があり、算出方法があります。

慣れ親しんだ場所を立ち退くにあたって、負担に見合う補償が得られるかどうか的確な判断ができる弁護士のサポートがあると安心です。

立ち退きを求められたら早い段階で弁護士に依頼をしてください。

まとめ

借主が該当物件で営業をしていた場合の補償は、この記事で記載したものだけではなく、個人経営または法人経営、あるいは業種などで変わってきます。

複雑な事情や条件を整理し検討するために、まずは弁護士に相談しましょう。

ネクスパート法律事務所には、不動産案件に強い弁護士が在籍しています。

初回相談は30分無料となりますので、お気軽にお問い合わせください。

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