立ち退き要求に注意!業者対応と非弁行為のリスクとは?弁護士が解説

「突然、不動産会社やよくわからない業者から『立ち退いてください』と言われた」
「強引に契約解除の話をされ、サインを求められた」
賃貸住宅に住む人にとって、こうした場面が起こるのは決して珍しくありません。
オーナー側には、建物の建替えや売却などの事情により、借主に退去を求めるケースが現実に存在します。

しかし、借主が不利益を一方的に受け入れなければならないわけではありません。

近年は、弁護士資格を持たないにもかかわらず、立ち退き交渉を代行する業者も現れています。これらは非弁行為と呼ばれ、法律で禁止されている行為です。
知らないまま応じてしまうと、借主が不利益を被る危険性もあります。

そこで今回は、立ち退き要求が行われる典型的な場面や合法と違法の線引き、そして借主が注意すべきポイントについて詳しく解説します。

目次

立ち退き要求が行われる典型的な場面

どのような理由で借主が立ち退きを求められるのかを整理しましょう。

建物の老朽化や建替え

安全性の観点から取り壊しや建替えが必要な場合、オーナーは入居者に退去を求めることがあります。

家賃滞納や契約違反

賃借人が家賃を滞納したり、無断転貸や用法違反をしたりした場合、契約解除や退去の手続を採られることがあります。

オーナーの自宅利用や売却

貸主自身や家族が住むため、あるいは建物を売却するために、入居者に出て行ってほしいと求めるケースもあります。

契約更新拒絶

普通借家契約の場合、更新時に正当事由があれば更新を拒絶できます。この場合も、立ち退き要求が行われます。

小括

上記の場合はいずれも、貸主が一方的に言えばすぐ退去が成立するわけではなく、法律上は厳格な要件が存在します。

立ち退き交渉を行えるのは誰か?

重要なことは、立ち退き交渉を誰ができるのかという点です。

法律上、借主に退去を求めたり、条件(立退料など)を交渉したりできるのは、貸主本人または弁護士に限られます。

不動産会社や管理会社は、オーナーから委託を受けて管理業務を行うことが一般的ですが、その権限はあくまで建物の維持管理や入居者対応の範囲にとどまります。

単に事務的な通知や手続を行うのは問題ありませんが、退去条件を交渉したり、借主に強い圧力をかけたりするような行為は弁護士法に抵触する可能性があります。

弁護士法第72条は、弁護士でない者が、報酬を得る目的で法律事件に関する業務を行うことを禁止しています。これに違反する行為を非弁行為と呼びます。

立ち退きにおける業者の対応が非弁行為とされるケース

では、具体的にどのようなケースが非弁行為にあたるのでしょうか。

業者が有償で退去交渉を代行する場合

たとえば立ち退き代行サービスと称して、報酬を受け取る形で交渉を行うのは典型的な非弁行為です。

示談書や合意書の作成・サインを強要する場合

借主にとって不利な契約を結ばせるような行為は、法律事務の範囲に該当します。そのため、業者が示談書や合意書の作成・サインを強要する場合も非弁行為に該当します。

成功報酬型での勧誘

「立退料を多く取れるように交渉します」「出ていってもらえれば報酬を払ってください」などと宣伝する業者は、一見すると借主に有利なサービスに見えますが、実際には非弁行為(弁護士法違反)に該当する違法な活動です。

法律的な知識や責任を持たないために交渉で不利になったり、不当に低い立退料で退去させられたりする危険があります。

さらに、成功報酬型の場合は業者が自分の報酬を優先し、借主の利益を十分に守らないまま契約を急がせるケースも多いです。

脅しや不安をあおる行為

「出ていかないと裁判で負けますよ」「強制的に追い出せます」といった発言は、法律的には誤った脅しとなります。

そもそも裁判での勝敗や強制執行の見込みは、弁護士にしか判断・助言できない事項であり、資格のない業者が行えば非弁行為(弁護士法違反)となります。

このような言葉に惑わされて退去を急がされると、本来得られる立退料や権利を失う危険があるため、毅然と拒否し、専門家である弁護士に相談することが重要です。

小括

これらに安易に応じてしまうと、正当な権利を守れず、適正な立退料を受け取れないまま退去させられてしまうおそれがあります。

立ち退き交渉を代行する違法な業者に注意すべきサイン

違法な業者を見抜くためには、次のようなポイントに注意しましょう。

  • 「弁護士と同じように交渉できます」と説明する
  • 成功報酬や手数料を求めてくる
  • 正式な契約解除通知を出さず、口頭や電話で迫る
  • 「すぐにサインしないと不利になる」と急がせる

こうしたサインが見られる場合、非弁行為の可能性が高いと考えられるので注意しましょう。

立ち退き交渉で非弁行為が疑われる場合に借主が取るべき対応

もし立ち退きを求められた場合、借主はどのように対応すれば良いのでしょうか。

慌ててサインしない

その場で書面に署名・押印するのは避けましょう。

なぜなら、弁護士資格を持たない業者が提示する合意書は、非弁行為に基づいて作成されたものである可能性が高いからです。

内容は借主にとって極端に不利である場合が多く、一度サインすると後から争うのは困難になります。

立ち退き交渉は貸主本人または弁護士との正式な手続を通じて行うのが原則であり、不審な業者からのその場の署名要請には絶対に応じないことが重要です。

通知の形式を確認する

正式な解除通知や内容証明郵便があるかどうかを確認してください。

口頭や電話だけでは効力に疑問があります。

不審な業者は拒否する

弁護士資格のない者が交渉を持ちかけてきた場合、「非弁行為の可能性があるので対応できません」と毅然と伝えて構いません。

弁護士に相談する

立ち退き交渉は、借主が単独で対応するのは負担が大きいものです。弁護士であれば、立退料の適正額を判断し、借主に有利な条件を引き出せる可能性があります。

まとめ

立ち退き要求は、貸主側の事情だけで一方的に進められるものではありません。交渉できるのは貸主本人か弁護士に限られ、業者の「代行」は非弁行為にあたる可能性があります。安易にサインせず、不審な業者の圧力に屈しないことが大切です。

立ち退き要求は、借主にとって不安とストレスをもたらします。しかし、法律は借主の権利を守る仕組みを用意しています。

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そんなときは、一人で抱え込まずに弁護士に相談しましょう。

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