【立ち退き料の相場】金額を決めるための要素とは?

立ち退き料は、その金額が法律で定められているものではなく、貸主がそれまで賃貸料を支払ってくれていた何らの落ち度のない借主に対し、物件から立ち退いてもらう際に、新しい住居を探すための費用や引っ越し費用などの借主に生じる経済的負担やその他の損害を補填するものとして支払われるものです。

そのため、明確な基準があるものではありません。ここでは、立ち退き料はどのような要素で決められるのかなどについて、解説していきます。

目次

立ち退き料の金額を決めるための要素

立ち退き料を決めるための要素としては、以下のものが考えられます。

・引っ越し代、新居の敷金・礼金、不動産会社への仲介手数料
・火災保険、地震保険などの保険料
・インターネットや電話回線などの移転費用
・経済的損失(店舗や会社の場合、営業利益の減収分など)
・精神的苦痛に対する慰謝料(住み慣れた場所を離れるなど)

個別の事情により、上記以外にも考慮するべきものがある場合は、立ち退き料についての話し合いの際に、すべて確認する必要があります。

反対に、長期間の債務不履行(家賃の未納)がある場合は、立ち退き料が支払われないので、注意が必要です。

立ち退き料の金額は交渉次第

金額については、明確な規定はないため、話し合いをもとに支払われるものになります。上記にあげた要素から決定されることが多く、すべてをまとめて、家賃の6か月分とされることも多いようです。ただし、再開発などで貸主が大きな利益を得る場合は、それに、プラスアルファされる場合もあるため、立ち退きの正当事由などを確認したうえで、双方が納得できる金額を話し合いましょう。

立ち退き料が支払われない場合がある

立ち退き料は、必ず支払われるというものではなく、下記の場合などのように、それまでの経緯や状況によっては、支払われない場合があります。

・借主に明らかな契約違反がある場合
 長期間の家賃の滞納、無断転貸、建物の用法遵守義務違反など
 ただし、家賃の滞納は、1~3ヶ月程度(敷金の範囲内)であれば、問題ないとされることが多い。

・定期借家契約の場合
 正当事由の有無に関係なく、契約の際に決められた期間の終了によって、契約が満了することになる。

・取り壊しが決まっている建物の賃貸借契約の場合
 正当事由の有無に関係なく、取り壊しまでの期間として契約した場合は、建物の取り壊し時に契約が満了することになる。

・一時的な使用目的の賃貸借契約の場合
 正当事由の有無に関係なく、建て替えまでの仮住居などのように、一時使用目的であることが明らかに認められる場合

支払った立ち退き料に税金はかかるの?

貸主が支払う立ち退き料に消費税はかかるのでしょうか。

立ち退き料は、主に引っ越し費用などの保証金としてのものであるため、対価を得て行う取引・資産の譲渡にはあたらないとして、消費税はかかりません。

では、貸主が支払う立ち退き料は、経費になるのでしょうか。

個人の場合と、法人の場合で異なり、何の目的によって支払うかによっても異なります。立ち退きの対象となる建物や土地を譲渡するために支払う立ち退き料については、個人の場合は、譲渡所得の金額として控除され、法人の場合は経費となります。

また、譲渡以外の立ち退き料は、個人の場合は、不動産所得の金額として必要経費として扱われ、法人の場合は経費となります。対象となる建物や土地を取得するために支払ったり、土地のみ賃貸していた場合の立ち退き料は、個人・法人どちらの場合もその取得費になります。

支払われた立ち退き料は課税対象となる

借主が個人の場合は、明け渡し等で立ち退き料を受け取った場合は、各種所得の収入になるので、所得税の課税対象となります。

資産の消滅による対価補償として受け取った立ち退き料は、譲渡所得の収入金額になり、明け渡した建物が店舗などの休業補償のようなものは、事業所得の収入になります。その他のものは、一時所得の収入金額になるので、確定申告が必要になります。

法人の場合は、法人税として、受け取った立ち退き料は益金となり、他の所得金額と合算します。

ただし、立ち退き料全体でひとつの項目になるのではなく、その内訳によっても変わってきますので、詳細については、税理士などに確認すると良いでしょう。

まとめ

立ち退きの場合には、必ず、立ち退き料が支払われるとは限りません。また、支払われる場合でも、明確な金額の規定はありません。立ち退きの理由や、条件、それまでの経緯などで、金額が決まることになります。また、立ち退き料に関する税金などについては、理由などによっても変わるので、不明点が多いことと思います。それらを含めて、まずは弁護士に相談することをお勧めします。

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