【完全保存版】立ち退き合意書の書き方・必須記載事項と注意点

立ち退き合意書 押さえておくべきポイントを解説

立ち退き合意書は、賃貸人と賃借人がお互いに納得したうえで賃貸借契約を終了させる重要な書類です。合意内容が明確に書面化されていれば、後で条件をめぐるトラブルが生じにくくなります。さらに、条件をめぐる紛争が生じた場合には、裁判手続きにおける有力な証拠として機能するため、慎重に作成することが求められます。

本記事では、立ち退き合意書に必要となる内容や作成上の注意点、円滑な交渉のヒントを網羅的に解説します。正しい金額や明け渡し期日、残置物や敷金の取り扱いなどを明文化し、双方が納得する形での立ち退き合意を実現させましょう。

目次

立ち退き合意書とは?その定義と必要性

立ち退き合意書は契約当事者間における立ち退き条件を取り決め、明確に示すための書面です。正当な理由や相場を押さえつつ、双方にとって納得できる内容にすることが求められます。立ち退き合意書は、単なる覚書とは異なり、賃貸人・賃借人双方が立ち退き条件に正式に合意したことを示す契約書としての性質を持つ書類です。適切な内容と手続きを踏んで作成すれば、後々の紛争や裁判において強力な証拠となります。

立ち退き合意書が持つ法的効力と役割

立ち退き合意書の大きな役割は、後にどちらかが合意内容を反故にしようとした場合でも法的に拘束力を発揮できる点にあります。契約書類として成立していれば、合意内容が裁判でも証拠として採用されやすくなり、トラブル時のリスクを大幅に減らせます。さらに、明け渡しの期日や立ち退き料の支払時期などを正確に規定しておくことで実務上の混乱を避けられます。

口約束によるトラブルを未然に防ぐポイント

立ち退きの合意内容を口頭だけで済ませると、後からお互いの認識違いが表面化しやすくなります。例えば、退去期限や立ち退き料の金額をめぐって紛争に発展するケースも珍しくありません。重要なのが、賃貸人・賃借人双方が署名捺印し、書面化しておくことです。合意書には最低限必要な事項を具体的に盛り込むとともに、清算条項など将来的な請求を防ぐ項目もしっかり入れましょう。

立ち退き交渉が長引くと、貸主・借主双方にとって精神的・経済的負担が増大しやすいため、条件が固まり次第、早めに書面化することが望ましいといえます。特に、立ち退き料や原状回復費用など金銭的要素が含まれる場合は必ず明確に記載しましょう。

立ち退き合意書に必須となる記載事項

契約解除や明け渡し期日のほか、金銭的条件や物件返還の詳細など、細かな取り決めを明示することがトラブル回避の重要なポイントです。

合意内容が曖昧だと、後々どちらがどの責任を負うかで対立が生じるおそれがあります。特に、退去日時や立ち退き料の金額を明確化しておかないと、急な支払いトラブル、不正な追加請求などの紛争を引き起こしかねません。物件の原状回復や残置物の処分など費用負担が発生しやすい項目についても、誰がどの程度負担するのかを明確にしておく必要があります。合意解約の条項から敷金精算の手順まで、要点を漏れなく書き込むことが大切です。

①賃貸借契約解除(合意解約)に関する条項

賃貸借契約を合意に基づき解除する旨を明確に記載します。解除の効力がいつ発生するかを日付で定めるとともに、両者が同意していることを示す文言を加えます。書面上に契約当事者の氏名と契約解除の事実をはっきり書き込むことで後の混乱を防ぎます。

②明け渡し期日と猶予期間

退去日をあいまいにしておくと、借主がいつまで住めるのかが不明確になりトラブルを招きます。明渡し期日は具体的な日付または期間で設定し、必要に応じて猶予期間を定めましょう。猶予期間は、引っ越し準備や新居契約などに要する時間を見越して設定するとスムーズです。

③立ち退き料の金額と支払い条件

立ち退き料の金額については、交渉段階で算定根拠を整理しておくことで、合意形成がスムーズになり、結果として紛争を防ぎやすくなります。支払いの時期や方法を合意書内に詳細に記載することで、いつ誰がどのように支払うかを明確にできるでしょう。また、実費計算だけでなく、地域の相場や正当事由なども踏まえて金額設定すると納得感が高まります。

④残存物・残置物の取り扱い

借主が荷物を置いたまま退去する場合は、処分費用の負担や処分方法が問題となることがあります。合意書で処分手順と処分費の負担割合を明記しておけば、後からの請求・紛争を減らせます。残置物に電化製品や家具などが含まれる場合は、引き取りの可否や処分方法を必ず書面で明確にしておく必要があります。

⑤敷金の精算・返還の方法

敷金を差し引いて原状回復費用や未払賃料を精算する形式が一般的です。どのタイミングで敷金を精算するか、返還額がいくらになるかを双方の合意で明記しておくことが重要です。原状回復後に残った額をいつまでに返還するのかなど、具体的な日時を記すと安心です。

⑥原状回復と契約終了後の使用損害金

原状回復の範囲は建物の劣化原因や使用状況によって異なるため、写真などで記録しておくと認識相違を防ぎやすくなります。期限を過ぎても借主が居座った場合は、日割の使用損害金を設定しておくことで実損を回収できる可能性が高まります。使用損害金を明文化しておけば、貸主・借主双方の無用な紛争を防ぐことにつながります。

⑦清算条項|将来的な請求を防ぐために

清算条項とは、この合意書に書かれていない事項についてはお互いに一切請求しないことを明確にするものです。特に、後から追加の立ち退き料を請求されたり、逆に貸主から何らかの費用を求められたりするリスクを抑える意義があります。合意書にこの条項をしっかり盛り込むことで、将来的なトラブルの芽を摘んでおきましょう。

立ち退き合意書を作成する際の注意点

法的な書類である立ち退き合意書は、不備があると強制執行が困難になったり、後から問題が深刻化したりすることもあるため、作成時の注意点を把握しましょう。

合意書は内容が曖昧だと効力を十分に発揮できません。署名捺印の不備や印紙税の扱いを誤ると、思わぬトラブルへつながるケースもあります。また、文章の文言が曖昧だと強制執行を進める際に不利になる可能性もあるため、弁護士のアドバイスを得ながら内容を詰めるのが理想です。

印紙税の有無と立ち退き料の支払いタイミング

立ち退き合意書に印紙税がかかるかどうかは、印紙税法上の課税文書に該当するかどうか、すなわち文書の性質や記載内容によって判断されます。合意書に金銭の受領や貸借証書としての性質が含まれる場合には印紙税の対象となる可能性があります。さらに、立ち退き料の支払い時期を明確にしておくと、決済のミスや紛争を防ぎやすくなるでしょう。

書面化の重要性|署名・捺印・2部作成の手順

立ち退き合意書は、双方が同じ内容の書面に署名捺印し、それぞれが原本を1部ずつ保管するのが一般的です。2部作成しておかない場合、後で原本がどちらにあるか不明になり、証拠能力が減少するリスクがあります。契印を施して書類が差し替えられていないことを示すなど、適切な手続きを踏むことが大切です。

強制執行を視野に入れた合意書の文言

借主が期限を過ぎても退去を拒むケースでは、強制執行手続きに進む可能性があります。合意書に、退去に応じない場合には法的手続きを検討する旨を明記しておくことで、後の交渉や手続きを円滑に進めやすくなります。こうした記述は裁判所による執行官の介入をスムーズにし、貸主の負担を減らす役割を果たします。

立ち退き交渉を円滑に進める実践的なポイント

合意書作成だけでなく、立ち退き交渉そのものをスムーズに進めるには、相手の状況に配慮しつつ適切な条件を提示することが重要です。

立ち退きの交渉を行う際は、借主の生活状況や経済的事情をまったく無視して進めると、不信感を招きやすくなります。正当事由の有無をふまえつつも、どうして立ち退きを求めるのかを具体的に説明し、納得感を得る努力が必要です。立ち退き料や猶予期間などの条件については、地域の相場や借主の引っ越しにかかる負担を考慮することで、交渉をスムーズに進められるでしょう。

立ち退き理由や正当事由を丁寧に説明する

立ち退き理由をあいまいにすると、借主が不安を感じて対立が深まる場合があります。法律的に認められる正当事由があるなら、その根拠や背景を丁寧に伝えると理解を得られやすくなります。感情論だけではなく、建物の老朽化や改修の必要など具体的な内容を示すことが大切です。

立ち退き料の相場・算定根拠を把握して提案する

立ち退き料は地域や事情によって大きく異なるため、一般的な相場や実費根拠をあらかじめリサーチしましょう。算定根拠を借主に説明することで、透明性を高めて交渉に応じてもらいやすくなります。立ち退き料を一方的に設定するのではなく、お互いに納得できる着地点を探ることが重要です。

相手の状況を踏まえた猶予期間の設定

すぐに立ち退きを求めると、借主が新しい住まいを見つける余裕がなくなる可能性があります。生活再建や子どもの転校、各種手続きなど、現実的な面を考慮して猶予期間を設定することが円満解決に繋がります。適切な猶予期間を提示することで、借主とのコミュニケーションもスムーズになりやすいでしょう。

立ち退き合意書のひな形

一般的な立ち退き合意書のシンプルなひな形を提示します。状況に合わせて適宜調整してください。

建物賃貸借契約の解約および明け渡しに関する合意書

貸主 [氏名](以下「甲」という)と、借主 [氏名](以下「乙」という)は、甲乙間で締結した以下の物件(以下「本物件」という)の賃貸借契約(以下「本契約」という)を合意解約し、本物件を明け渡すことに関し、次の通り合意する。

【物件の特定】
所在地:[住所を記載]
名称・号室:[建物名・部屋番号を記載]

第1条(合意解約)
甲および乙は、本契約を令和[ ]年[ ]月[ ]日(以下「解約日」という)をもって合意解約することを確認する。

第2条(明け渡し期日)
乙は、甲に対し、本物件を解約日までに完全に明け渡し、本物件の鍵を返却しなければならない 。

第3条(立ち退き料)
甲は、乙に対し、本物件の明け渡しおよび本契約解約の対価として、立ち退き料として金[ ]円を支払う。支払いは、本物件の明け渡し完了後[ ]日以内に、乙が指定する以下の口座に振り込む方法で行う 。
(振込先口座:[銀行名・支店名・口座番号・名義人])

第4条(残置物の取り扱い)
乙が明け渡し期日までに本物件から搬出しなかった動産類(ゴミおよび私物等)について、乙はその所有権を放棄し、甲がこれを任意に処分することに同意する。処分の費用は[乙/甲]の負担とする 。

第5条(敷金の精算および原状回復)
乙は、本物件を[現状のまま/原状に回復して]明け渡すものとし、甲は乙に対し、原状回復義務を[免除する/別途協議のうえ敷金から精算する]。

第6条(明け渡し遅延の損害金)
乙が第2条の期日までに本物件を明け渡さない場合、乙は甲に対し、期日の翌日から明け渡し完了に至るまで、月額賃料の倍相当額の使用損害金を支払うものとする 。

第7条(清算条項)
甲および乙は、本合意書に定める事項のほか、本物件に関し、何らの債権債務が存在しないことを相互に確認する 。

第8条(秘密保持)
甲および乙は、本合意の内容および本合意に至る経過について、正当な理由なく第三者に開示または漏洩してはならない。

本合意の成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙署名捺印の上、各自1通を保有する。

令和[ ]年[ ]月[ ]日

(甲)住所:
   氏名:          印

(乙)住所:
   氏名:          印

弁護士へ依頼するメリットと相談の流れ

立ち退き問題は感情と法的問題が絡む繊細な場面が多いため、専門家のアドバイスにより早期解決を目指す選択肢も考慮しましょう。

合意書の作成や交渉が複雑化した際、法的知識をもつ弁護士を交えればスムーズに進む可能性が高まります。すべてを自己判断だけで行うと、あとで法的な落とし穴や不備が見つかることがよくあります。早期に専門家へ相談すれば、問題が長引くリスクを抑えられ、心身の負担軽減にもつながるでしょう。

専門家による法的サポートでスムーズに問題解決

弁護士は、立ち退き交渉の場面で必要となる法律知識を的確に活用できる専門家です。相場を踏まえた立ち退き料の提示や合意書の文言調整など、トラブルの芽を早期に潰すサポートをしてくれます。万一、裁判や強制執行が必要になった場合も、一貫してサポートを受けられる点が大きなメリットです。

相談先の選び方・依頼費用の目安

立ち退き問題を多く取り扱っている弁護士事務所を選ぶと効果的です。費用は着手金や報酬金の形で請求される場合が多く、事務所によって料金体系が異なります。複数の弁護士に無料相談を行い、対応の丁寧さや費用を比較した上で依頼を検討すると良いでしょう。

まとめ

立ち退き合意書をしっかりと作成しておけば、後々のトラブルを軽減できる可能性があります。必要事項を網羅し、法的に有効な書面とすることで、双方が納得する円満な合意形成を目指しましょう。

立ち退き合意書は、退去の日程や立ち退き料、敷金精算などの金銭面を明確にすることでトラブルを避ける大きな役割を果たします。特に重要なのは、両者が納得したうえで書面化し、署名捺印して有効な合意として残しておくことです。要件を満たした合意書を作成できれば、強制執行や裁判においても有利に進められ、長期化や深刻化を回避できます。もし不安や不明点がある場合には、早めに弁護士へ相談するなどして、安心かつ円満な立ち退きを実現してください。

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